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坂上忍の組織委員会批判、真の狙いは「東京五輪つぶし」か

東京五輪開会式の冒頭4分間の楽曲制作に関わったが、二十数年前のいじめ自慢が白日の下にさらされ、辞退に至った小山田圭吾氏。彼の行ったいじめ、またそれを何の反省もなく公開の場で楽しそうに語っていた行為、いずれも許されるものではない。犯罪として立件されたわけではないから、彼を犯罪者扱いすることはできないが、倫理的に見てその罪が重いことは言うまでもない。

しかし、ワイドショーで坂上忍氏が、小山田氏よりもむしろ五輪組織委員会の武藤事務総長を非難していたのが、どうにも理解しがたい。

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そもそも坂上氏は「東京五輪は中止すべき」と言っていたのではなかったか。東京五輪は存在しないものにしてしまえ、と言っていた人物が、意に反して開かれることになった東京五輪に対して、何か物を言う資格があるのだろうか。

新型コロナの感染拡大は東京を中心に今も続いている。五輪は感染拡大をさらに悪化させ、それは人の命を危険にさらす、人が死ぬ、というのが彼の主張だったはずだ。ならば、とことん反対の声を上げ続け、「今からでも遅くない。東京五輪は中止せよ」「開会式などもってのほか」「来日した選手団にはさっさと帰ってもらえ」と言うべきだし、それなら筋が通っている。

ところがどうだ、五輪開催が動かないとみるやころっと態度を変え、小山田氏の問題に飛びついた。「ひどい障害者いじめをやった人物の楽曲を使うのは確かに問題だ。だが、もっと問題なのは組織委員会だ。組織委はキャスティングした責任をとれ」と言っている。

だったら聞きたい。いわゆる“身体検査”で問題のない人物が楽曲を提供し、同様に倫理的に問題ない人物たちが作り上げた開会式ならやっていいのか。

繰り返すが、坂上さん、あなたは「五輪は中止せよ」と言い続けてきたのだ。いつ立場を変え、いつ考えを変えたのだ。

坂上氏の持論に従えば、このまま東京五輪開催を強行すれば、感染者はもっと増え、より多くの人命が失われることになる。ことは「地球よりも重い」人間の命に関わることである。あなたの立場からしたら、開会式に誰のどんな楽曲が使われようと、そんなのは些末な問題のはずだ。

あなたが本気で五輪開催が原因で人の命が奪われると信じているなら、また命がけでこの五輪開催問題に取り組んでいるというなら、最後の最後まで「五輪反対」を訴え続けるべきだろう。

なぜそうしないのか。それは結局、これまでの発言が全部、世論受けするただのパフォーマンスだったからではないか。

もっとも、あなたが組織委の武藤事務総長を糾弾して「責任をとれ(=辞任しろ)」と言うのも、わからないではない。今、組織の要である事務総長が辞めれば、ただでさえ開会式冒頭の4分間をどうするかで頭を抱えているであろう現場に更なるダメージを与え、コロナ対策も含めて大会全般を統括する重要幹部を失って大会は大混乱に陥ること必至である。

もし東京五輪を中止させられないのなら、五輪を大失敗に追い込んでやれ!」というのが坂上忍氏の真の狙いだとしたら、なかなかいい所を衝いている。だが、そうなると彼の東京五輪への悪意は相当なものだ。

いずれにせよ、自らの信念で「五輪開催は絶対に許されない。断じて容認できない」と思っている人間なら、個々の五輪競技など見たくもないはずだ。

「五輪は中止すべき。でも今日の女子ソフトボール。日本チームはよくやったなあ」などと言う人間がいたら、その人間の言う五輪中止論も、所詮は本気でないということだ。

さて、これから続々と始まる五輪競技に、坂上忍氏はどんなコメントをするんだろうか。