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アフガン政権崩壊は「日本外交、最大級の失態」、古森義久氏の分析

古森義久氏の産経ニュースのコラム「日本外交、最大級の失態」を読んだ。

www.sankei.com

倒したはずのタリバンが復活して、今アフガニスタン全土を乗っ取ろうとしている。親米政権の下で自由と民主主義の価値を多少なりとも知ったアフガニスタン国民は、今後、どうなるのだろうか。

いくら経済援助をしようとも、いくら貧困の解消のために助力しようとも、それだけでは国を維持することも、守ることもできない。

自由と民主主義を破壊する者たちから祖国を防衛するには、武器を取って戦う命知らずの軍人と軍隊、治安を守るために身を挺して働く勇敢な警官と警察、そして彼らを支援する国防意識の高い国民がいなければならない。

新生アフガニスタンには、20年の歳月をかけて膨大な人的、経済的資源を注ぎ込んでも、それらを根付かせることができなかった。30万人いたはずの政府軍兵士たちがあっという間に雲散霧消してしまった。

「自ら戦わない国のためにアメリカは戦わない」というバイデン大統領の言葉は、私たち日本人にとって決して他人事ではない。

「戦争絶対反対」「平和憲法は世界遺産だ」「安保法制は戦争への道」「徴兵制は絶対イヤだ」「唯一の被爆国日本は核廃絶の先頭に立て」などと言って、お花畑の世界に遊んでいる国民が多数を占める国が、ひとたび外敵の武力攻勢にさらされたときどうなるか。考えただけでも気が滅入る。

古森氏は書いている。

 私にとって02年2月、タリバンが敗走した後のカブールでの取材で、過酷な支配からの解放を喜ぶ市民たちが日本への期待や親しみを述べていたことは忘れ難い。国づくりへの日本の支援はまちがいなく歓迎されていたのだ。

 だがいま政権を奪ったタリバンはイスラム原理主義の下で民主主義、人権尊重、法の支配という価値観を目指したアフガニスタン共和国政権を全面否定する。日本政府は米国と同様、この急展開をまったく予想できなかった。日本の巨額の援助もその相手が消滅したのだから水泡に帰したといえよう。

 軍事忌避の日本にとって軍事面の動きを無視した経済外交は失態につながるという教訓でもあろう。米国の失策を対岸の出来事と批判することもできない。今回のアフガニスタンの事態は戦後の日本外交の最大級の失態を生んだのだ。

「軍事忌避」という戦後日本に染みついた悪癖(安倍前首相が「戦後レジーム」と呼んだものの一つだろう)と訣別しない限り、日本はこれからも同じ失敗を繰り返すだろう。また、いつか大きな災厄が日本を襲い、国土の一部を奪われるか、もっと深刻な被害を受けることになるだろう。