共同通信配信の奇妙な記事を読んだ。韓国KBSが東京パラリンピック大会を総括した報道を紹介した後、韓国のメダル獲得数の順位が「15位」だと書いている。
この「15位」という数字、別にウソではないが、パラリンピック公式サイトでは「41位」になっている。
韓国の公共放送KBSは6日朝、東京パラリンピック閉会式の様子を報じ、東京からリポートした記者が「世界に夢と希望を与えた13日間の熱戦は幕を下ろした」と伝えた。
韓国はメダル総数では上位に食い込めなかったが、記者は「夢に向かう選手の情熱と闘志は、新型コロナウイルスで疲れた国民に大きな感動をもたらした」と評価した。また「3年後にはパリでパラリンピックの感動が続く」とも語った。
韓国はイラン、コロンビアと同数のメダル24個で全体15位だった。(共同)
韓国のメダル数や順位は、昨日のブログで書いたばかりだったので、これには呆れた。
時事通信がまとめたパラランキングは韓国41位。これは朝日新聞だろうが毎日新聞だろうが産経新聞だろうがみな同じ。
共同通信は、なぜわざわざパラリンピック公式サイト以下、主立ったパラ関連サイトが発表している「41位」というランクを報じないで、金・銀・銅の総メダル獲得数の順位を報じたのだろう? 両方報じるならわかるが、共同はサブの「15位」だけ報じてメインの「41位」を隠している。そこが奇妙であり、不思議でもある。
韓国は東京パラリンピックで思うような成果を出せなかった。その事実を日本のメディアが報じるときに、韓国に忖度してどのサイトにも出ている「41位」を隠して、総メダル数の順位という、時事通信も朝日新聞も毎日新聞も産経新聞もランキングページに出していない「15位」を報じる神経が理解できない。
共同通信には、そこまでして韓国に忖度しなければならない格別の事情でもあるのだろうか。
もっとも、私自身勘違いしていたことがある。昨日のブログではKBS WORLDの記事から、次の一文を引用した。
今回の東京パラリンピックでは韓国選手団は総合20位を目標としています。そして4つの金メダル、9つの銀メダル、21個の銅メダルが目標です。
昨日の時点では、ここにある「総合20位」を金メダル獲得数を基準とした順位(=この順位がパラリンピック公式サイトや各社のメダルランキングの標準的な、もしくは優先的な記載である)のことだと勘違いしていた。
実際はそうではなく、この「総合20位」は金・銀・銅の総メダル獲得順位のことだった。ここは私の勘違いであるが、ということは、韓国は共同通信が報じるように「総合15位」だったのだから、20位以内の目標を達成して、誇るべき結果を出したことになる。
パラリンピック公式サイトを見ると、ランキングの太文字で強調された「順位」とは別に、表の右端に「合計別順位」が書かれていて、それによると確かに韓国は15位である。
おそらく共同通信は、韓国が合計別順位で20位以内を目標にしていることを知っていて、「韓国はよくやった」という意味を込めて「メダル24個で全体15位だった」と書いたのだろう。
しかしおかしい。共同通信は「韓国はメダル総数では上位に食い込めなかったが」と書くのだが、これではまるで「メダル総数では上位に食い込めなかったが、個別の金メダルや銀メダル、銅メダルの数では上位に入った」とでも言いたげである。
もちろん韓国は金・銀・銅のいずれのメダル数でもトップ10に入っていない。
つまり、共同通信の記事は、ごく短いものとはいえ、徹頭徹尾韓国に寄り添った書き方になっている。これでは、韓国に忖度した記事を書くのが共同通信の社是なのかと疑われても仕方あるまい。
韓国は決して東京パラリンピックで惨敗したわけではない。しかし獲得した金メダルは2つで目標4つの半分、銀メダルは10個と目標の9個を1つ上回ったものの、銅メダルは12個で目標21個に遠く及ばなかった。今回は成績が振るわなかったと総括するほかない結果だ。共同通信は、韓国に忖度することなく、はっきりそう書くべきであった。