■高市早苗氏、大化けする可能性も
高市早苗元総務相が想像以上に支持を集めているらしい。今回の自民党総裁選、野田聖子氏の出馬で決選投票にもつれ込むことは確実。となると、ひょっとしたら高市氏は大化けするかもしれない。
ちまたでは、高市氏が「総理になっても靖国参拝を続ける」「選択的夫婦別姓に反対」などと主張していることから、「高市=極右」のイメージで捉える人がいるようだが、とんでもない心得違いだ。
振り返ってみてほしい。安倍前首相は就任当初は国際社会で極右と警戒されたものの、実際は全然違ったので、在任年数を重ねるたびに国際社会で高い評価を得るようになった。
■「安倍晋三=極右」という曲解。国際社会で高く評価され、日本の存在感を高めた
安倍氏が総理就任後、靖国参拝したとき、中国は靖国神社に東條英機首相(対英米戦開戦時の首相)が合祀されていることを理由に、「靖国参拝はヒトラーの墓参りをするようなもの」と口を極めて罵り、全世界で安倍批判キャンペーンを繰り広げた。しかし、この時、中国のキャンペーンに同調して安倍氏を非難した国はほとんどない。たぶん韓国だけだ。北朝鮮もそうかな。
当初、安倍氏を警戒していたリベラルなオバマ政権は、国務省を通じて「失望した」という声明を出したけれども、それは日米韓の軍事的、政治的連帯が崩れることを嫌ったためだった。
オバマ政権はその後、安倍氏との連携強化に舵を切り、安倍政権による国家安全保障会議(日本版NSC)の創設、特定秘密保護法の制定、集団的自衛権の限定容認を含む安保法制の制定、インドやオーストラリアとの関係強化、中国の海洋進出への厳しい批判とASEAN支援、戦後70年談話発表などを高く評価し、安倍氏訪米を歓迎して特別に米連邦議会(上下両院合同)での演説を実現させた。オバマ大統領(当時)の歴史的な広島訪問が実現したのも、お膳立てをしたのは外相の岸田さんだが、安倍氏への信頼がその前提にあったことは疑う余地がない。
モリカケサクラにこだわる視野狭窄の左巻き連中は認めたくないだろうが、安倍氏に対する国際的評価は極めて高い。先日も産経の正論で神谷万丈氏が書いていた。
新首相に求められるのは、安倍晋三・菅義偉両政権の下での積極外交の継続だ。
今日の世界で日本の存在感はきわめて大きい。米国は、中国との競争の中で同盟国・日本の力をかつてなく頼りにしている。英空母クイーン・エリザベスの横須賀寄港が象徴するように、欧州諸国も日本を外交・安全保障政策上の頼れるパートナーとみている。
だがわれわれは、こうした日本への高評価を当然視してはならぬ。わずか10年前、ポスト小泉純一郎の日本に世界がいかに厳しい目を向けていたか。経済大国日本には世界のために貢献できる能力がある。にもかかわらず、政治的リーダーシップの弱さと「決められない政治」の蔓延(まんえん)により行動をとらないのはどういうことか。国際会議の場で批判を浴び悔しさを覚えたことを思い出す。
(中略)
ナショナリストとして知られる安倍前首相がこうした国際協調主義的な外交を展開したことは、当初、世界を驚かせた。だが前首相は日本を偉大にするための積極外交は、他国との協力なくしては成り立たないことを理解していた。中国などのリビジョニズム(修正主義)を前に、既存の国際秩序の維持を主導し世界での日本の存在感を高めたい。そうした願望の達成が日本単独では不可能であることを認識していたことが、安倍積極外交の成功の鍵だった。
その安倍氏は、主に中国への配慮から総理在任中の靖国参拝は一度にとどめ、その後は控え続けた。
■「毎年、靖国参拝する」を公約に掲げた小泉純一郎氏
一方、総理在任中、靖国神社参拝を毎年欠かさなかった人がいる。誰あろう小泉純一郎氏だ。私は、安倍氏も小泉氏にならって、中国や韓国が何を言おうと毎年靖国参拝してほしかったので、今回、高市早苗氏が靖国参拝を明言したことを高く評価したい。高市さんは、靖国参拝に関する限り、小泉純一郎氏の後継者なのだ。「高市=極右」説を採る人は、在任当時絶大な人気を誇った小泉元首相も極右と言うつもりだろうか?
そもそも総理大臣の靖国参拝をもって右翼とか極右とか批判する勢力が幅を利かしている国は、日本、韓国、中国ぐらいなものだ。かつてブッシュ(息子)大統領が靖国参拝を日本側に打診してきたのは有名な話だ。その時は、なんと親中の外務省が反対して明治神宮参拝に変更してしまった。
もちろん、ブッシュは共和党だからということもある。共和党政権時代のアメリカは、小泉首相の靖国参拝にただの一度も抗議していないし、失望も表明していない。これと比べ米民主党の大統領の方が、靖国参拝には難色を示す可能性はある。ただ日本側がきちんと説明すれば、理解を得ることは決して難しくない。事実、オバマ政権は「失望した」と(ホワイトハウスではなく)国務省が批判したにとどまる。
■痛恨の極み、プーチンの靖国参拝をつぶした弱腰外務省
ロシアは、エリツィン大統領が訪日時に靖国神社に参拝している。そして、かのプーチンも靖国参拝してもいいと言ってきたことがある。小泉首相が訪ロしてモスクワの無名戦士の墓を詣でたことに敬意を表し、訪日したら靖国参拝したいと申し出たのである。ところが、あろうことか、この時も中国の顔色をうかがう外務省が反対してつぶしてしまった。この話は堤堯氏(元文藝春秋編集長)が元外務官僚の佐藤優氏から直接聞いたというから、間違いないだろう。
第2次大戦の二大戦勝国首脳のブッシュとプーチンの靖国参拝が実現していれば、中韓の反対など吹き飛んでしまっただろう。弱腰外務省は本当に取り返しのつかないことをしてくれたものだ。
■選択的夫婦別姓の導入は日本社会の在り方を根底から覆すもの!
なお、高市氏の選択的夫婦別姓制への反対は、女性蔑視とも女性差別とも無関係だ。こんなレッテル張りをする連中は、日本の司法制度を侮辱するに等しいと知るべきだ。なぜなら、日本の最高裁は、現行の夫婦同姓制度を合憲、つまり「差別にはあたらない」と結論付けているからだ。
また、かの連中は日本国民の民意をも無視している。これまで何度も書いてきたように、内閣府の5年ごとの家族に関する調査では、一貫して夫婦同姓支持派が選択的夫婦別姓支持派を上回っている。そもそも選択的夫婦別姓の導入を提言した法制審議会の提言自体、提言発表当時の民意を完全に無視したものだ(当時は同姓堅持派が選択的夫婦別姓支持派の約2倍と圧倒的多数だった)。
夫婦同姓堅持は、日本社会に完全に定着している制度を維持し保守しようとうする態度である。これに対し、「選択的夫婦別姓制を導入せよ」という主張は、日本社会の在り方を覆そうというもので、そもそも男女が平等か否かという問題とは全く関係がない。選択的夫婦別姓にすれば、日本人のファミリーネームは消えてなくなり、それはむしろグローバルスタンダードに反する行為である。日本に「革命」は必要ない!