迂闊にもこの発言は知らなかった。「(自民党の)部会でギャーギャー言っているよりも副大臣、政務官チームを非公式に作ったらどうか」については、以前のブログで批判したが、「与党(の役割)は首相指名まで」とは絶句するほかない。
これが河野太郎氏の言う自民党改革なのか。これでは政務官や副大臣、大臣として行政府に入る議員以外は、政府提出法案に無条件で賛成する存在でしかなくなる。国会で法案を通すための頭数の役割しかないということだ。
こんなのが「改革」であるはずがない。やはり河野太郎は、絶対に総理大臣にしてはいけない男だ。
現行の慣習では、政府提出法案は事前に与党に示される。自民党や公明党内で議論され(自民党の場合、その主な舞台が「部会」である)、修正されたり、出し直しを余儀なくされたりしながら、徐々に形が出来上がる。与党のゴーサインが出て政府から国会に提出されても、そこで新たな問題点が発覚した場合は、自民党議員も国会で政府を問いただし、法案修正を求めることがある。
議院内閣制の下では、与党は政府を支える立場だが、それは決して無条件ではないのだ。もちろん、自民党側から政府に新規立法の必要性を訴え、政府に法案作りを求めることもある。
マスコミは「安倍・菅内閣は政高党低だ」と批判するが、議院内閣制とはそういうものなのだ。議会の多数派が行政府の長を選び、裁量権を与えて仕事をさせるのだから、政府の権限が強くなくては満足な仕事はできない。
しかし、だからといって、与党は政府のやることを黙ってみていればいいというわけではない。与党は政府と一体となって仕事をし、政府の暴走や不作為をチェックしなければならない。
要は「政高党低」といっても両者のバランスが大事で、政府の方が若干強い程度がちょうどいいのだろう。基本は「政府・与党一体」、両者の力関係が大きく崩れるようなことはあってはならない。安倍・菅政権では、このバランスは十分保たれていたと思う。
河野太郎氏の考え方は、このバランスを全く無視し、「政高党低」を極限まで徹底しようというものだ。こんな極端な思想を自民党若手議員や自民の党員・党友がなぜ支持するのか、さっぱりわからない。
河野内閣が誕生しても、党に残る議員(その多くは1、2回生)や党執行部には、何の出番もない。政府の使い走りとなって働けと言っているようなものだ。部会での議論も無視されるだろう。
これは党改革でも何でもない。「改革」ではなく「ぶち壊し」だ。河野氏を支持する議員たちは、自民党をぶち壊したいのか。投票の前に、頭を冷やして考え直してもらいたい。