ぐだぐだ言い訳して代表続投に未練たっぷりだった立憲民主党・枝野代表が、ついに辞任の意向を表明した。当然のことだ。オーナー企業じゃあるまいし、「自分が立ち上げた党だから自分で好きなように切り盛りする」という理屈は通らない。仮にも野党第一党なのだ。
しかも、今回の総選挙は、これまでとは違い、枝野代表自身が自ら進んで政権を取りに行った選挙である。「ポスト安倍は私だ」「(党の支持率が低くても)世論調査は関係ない、投票結果を見てほしい」と自信満々で臨み、掲げた目標も「政権交代」。
目標を達成できなかったら、それは戦いに負けたということである。責任を取らない敗軍の将などあり得ない。遅ればせながら辞意表明したことで、枝野氏はかろうじて面目を保った。
一方の日本共産党はどうか。志位委員長も小池書記局長も、「候補者一本化で一定の効果があった」、「政権交代に向かって一歩進んだ」みたいな発言をしていたように思う。2人とも、公党間で約束したことだから、今後も同じ方向性で共闘していくのは当然、という話をしていた。
彼らには「責任を取る」という観念がないのだろうか。堂々と「責任はない」と言い切る無責任さには開いた口がふさがらない。
共産党もまた「政権交代」を目標に掲げてこの選挙を戦ったはずだ。方針は間違っていなかったというが、間違っていたから敗北したのだろう。違いますか?
方針が正しかったら、候補者を一本化したところは軒並み勝っていなければおかしい。なぜなら、国民は格差拡大、弱者切り捨て、大企業優先の自公政治に苦しんでいる、というのが共産党の認識だったはず。その認識が正しいのであれば、有権者の票は自公に対峙する野党統一候補に雪崩を打って流れたはずだ。
でも、そうならなかった。候補者一本化は、せいぜい「一定の効果」があっただけだ。比例票は前回より約24万票減らし、議席も2つ減らした。共産党の認識も方針も間違っていたからこうなったのだ。
それより決定的なのは、目標とする政権交代を果たせなかったことだ。政権交代できなければ、市民連合と結んだ20項目(?)の政策も全て実現できない。それでも責任はないと言い張るのは、無責任だろう。もっとも、「市民連合」の方からも責任を問う声は聞こえてこないから、所詮、政権交代など本気じゃなかったのかもしれないが。
しかし気の毒なのは立憲民主党だ。立民は比例票が伸びなかった。議席も減らした。そうなった原因は、日本共産党との共闘にあるといわれているのに、当の共産党が「責任はない」と言うのだから。責任問題をめぐっては、共産党は立民と共闘する気がないらしい。
はっきり言えば、日本共産党の非現実的な「日米安全保障条約の破棄」、「天皇制の将来的な『解決』」(=廃止を示唆)が嫌われたのだ。選挙結果は、政権交代に近づいたどころか、むしろ後退である。足を引っ張ったのは共産党なのである。
立民内部では「結果は惨敗だった」という声や「執行部は責任を取るべき」という声が噴出したという。
目標を果たせなかったのだから、本来なら共産党の内部でも、志位・小池執行部に対して批判や非難、怒りの声が噴出しなければおかしい。曰く、
- 「政権交代をかえって遠のかせてしまった」
- 「委員長が21年も同じ顔では勝てるはずがない」
- 「委員長と書記局長が2人とも男ではジェンダー平等とは言えない」
- 「執行部は敗北の責任を取るべき」
等々だ。
ところが、そういった声は全く聞こえてこない。選挙戦のさなか、威勢良く「政権交代で4つのチェンジ」「自公政権打倒」「国政私物化と立憲主義破壊を許さない」などと叫んでいた共産党の候補者たちは、沈黙したままである。なぜ彼らは黙っているのだろう? ここ数年、ソンタク、ソンタクとうるさかったくせに、自分たちの親分の顔色をうかがうだけで何も言えない共産党議員たち。
敗北責任を取らない志位執行部にもの申す勇気ある共産党議員はいないのか。共産党には、執行部の顔色をうかがうソンタク議員、執行部の言いなりに動くことしかできないロボット議員しかいないのか。
同じ人物が21年も党首の座に居座っているというだけで、十分異常な政党だと思うのだが、もっと異常なのは、党首交代を求める声が全然表面化しないことである。そして今回、総選挙で掲げた目標を果たせなかったのに、執行部は敗北責任を取ろうとしない。執行部に敗北責任を取らせようという動きもない。異常というには、あまりにも異常な政党だ。
こんな政党と、たとえ限定的な閣外協力とはいえ、共闘した立憲民主党も異常だったと思う。
立憲民主党は早く夢から覚めて、共産党や同じく非現実的な政策を掲げる市民連合なる団体とは手を切り、維新の会のように自公の補完勢力となるべきだ。自民党並みの外交・安全保障政策を掲げて、もっぱら内政面で政策を争う政党に脱皮すべきだと思う。
自公の補完勢力として大きなかたまりになれば、自公が信を失ったとき、自動的に政権が転がり込んでくる。そのくらいの割り切りがなければ、政権を取るなんて夢のまた夢だ。