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「世界日報」が紀藤正樹弁護士と自称「ジャーナリスト」の鈴木エイト氏を厳しく批判~「詭弁を弄する人物たちの人権感覚に啞然」と

1週間前の記事で古くなってしまったが、「世界日報」9月5日付けの人気コラム「メディアウォッチ(TV)」で、マスコミに引っ張りだこの紀藤正樹弁護士と自称「ジャーナリスト」の鈴木エイト氏が厳しく批判されていた。

批判の対象となったのはミヤネ屋(8月12日放送)での発言。自分は見ていないので、あくまでコラムを読んだ感想だが、発言が事実とすれば本当に情けない。

親族から拉致・監禁され、解放されるまで実に12年以上。被害者の後藤氏にしてみれば、「青春を返せ」どころの騒ぎじゃない。

最高裁で違法と認定された、長期間の拉致監禁による強制改宗を、紀藤正樹弁護士は「説得」、自称「ジャーナリスト」鈴木エイト氏は「ほぼ引きこもり状態」と言ったのだそうだ。

確かに彼らの人権感覚には啞然とするしかない。

www.worldtimes.co.jp

以下に引用する。

同じ信仰をめぐる家庭問題でも、マスコミが触れたがらない深刻な人権侵害がある。教団信者を拉致監禁して行う強制改宗だ。宗教2世問題とは逆に、親の意に反して教団会員になった子供の信仰を棄てさせようとするケースだ。

教団によると、これまでに被害に遭った信者は4300人以上に達する。中には、監禁中のレイプ事件、精神病院への強制入院などの悲劇も起きているというが、密室で行われるだけになかなか表に出てこなかった。

親子の間で冷静な話し合いが行われるなら家庭問題の範疇だろうが、たとえ親や親族が実行したとしても、成人を長期間、密室に閉じ込めて改宗・棄教を迫るのは明らかに人権侵害である。

当然、刑事事件になってしかるべきなのだが、警察は動かず検察も起訴してこなかった。

その代表例が現在、「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会」代表を務める後藤徹に対する12年5カ月に及んだ拉致監禁。

刑事告訴では不起訴になったが、関わった親族や“脱会屋”とキリスト教牧師を相手に起こした民事訴訟は最高裁まで争われた結果、後藤が勝訴。

強制改宗の違法性が認められて、損害賠償として親族と脱会屋・牧師に対する総額2200万円の支払い命令が確定した(2015年)。

後藤裁判に、わずかに触れたのが「情報ライブミヤネ屋」(日本テレビ、8月12日放送)だ。後藤を招いて直接話を聞くべきなのだが、そんなことはしない。

一方、出演した全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹は何と言ったか。「家族や親族が集まって12年5カ月説得を続けた。一時期やめるやめないの議論があったが、最終的に(教会に)戻った」。

ジャーナリストの鈴木エイトに至っては「原告(後藤)はほぼひきこもり状態」だったという。

最高裁が事実認定した、長期間の拉致監禁による強制改宗を「説得」「ひきこもり」と、詭弁を弄する人物たちの人権感覚には唖然としてしまった。

親の信仰から離れる宗教2世の人権は尊重するが、信仰を貫こうとする信者の人権は無視していいとでも思っているのだろうか。

今、世間では宗教2世の悲劇が盛んに報じられているが、「無理やり棄教させられる信者」の悲劇はほとんど顧みられることがない。

「無理やり」というのは、物理的な実力行使を伴う拉致・監禁によって信者を密室に閉じ込め、所属教団やその関係者に居所を知らせず、外部との連絡は一切断ち、その環境の中で「信仰を捨てるまでここから出さない」と言って棄教を迫るから、「無理やり」なのである。

この場合、脱会カウンセラーは、信者が監禁されている事実を百も承知の上で「説得」を行う。

本人は善意で説得しているつもりかもしれないが、監禁された信者の立場で考えてみたらいい。こんなものが説得であるはずがない。

宗教2世の境遇には同情を禁じ得ないが、彼らはこうした強制的な改宗の強要、すなわち強制改宗が、過去4300人以上に対して行われた事実をどう思っているのだろうか。

いや、そもそもこうした事実を知っているだろうか?

何しろ、ひとたび拉致監禁されてしまったら、棄教するまで解放してもらえないのである。

より正確に言うと、本人が「もうやめます。棄教します」と言っても、「偽装脱会ではないか」と疑われ、すぐには解放してもらえない。

偽装脱会ではないことを証明するため、同じように拉致監禁された信者の監禁場所へ連れて行かれ、その信者に向かって早くやめるよう「説得」する役回りを強制されたりする。

合同結婚式に参加した信者は、「やめたのだから当然、離婚するんだろうな」と迫られ、婚姻無効裁判を起こすよう強制されたケースもあるのだ。

部屋に監禁されれば、それだけで人間の神経はおかしくなる。1週間、1カ月と続けば確実に精神は病むだろう。気力は失せ、脱力し、喜怒哀楽の感情が消えていく。

こういう状態で行う「脱会や棄教のための説得」を、普通は「説得」とは呼ばない。アメリカではこれを「ディプログラミング」(逆洗脳)と呼んでいる。もちろん違法である。

実は、自分はこの「逆洗脳」という言葉があまり好きではない。なぜなら、これこそが正真正銘の洗脳だからである。

オープンな環境で人を洗脳するのは容易でないが、密室に閉じ込めた状態で行えば比較的たやすい。

「言うことを聞かなければ(=統一教会を脱会しなければ)一生この部屋から出さないぞ」と言われた人間は、何としても部屋から出て自由になりたいために、じきに何でも言うことを聞く(=「脱会する」と言う)ようになるものだ。これが洗脳である。

いったん洗脳に成功すれば、部屋から出して自由にした後も、その人物をマインドコントロールすることができる。

「さからうと、また監禁するぞ」と脅すだけで十分だ。再び監禁されるかもしれないという恐怖から、「何でも言うことを聞く状態」がずっと続いてしまう。

強制改宗の現場では、一定期間監禁してディプログラミングを完了すると、監禁状態を解いて軟禁に移行することがある。逃げようと思えば逃げられるのだが、なぜか逃げない人が多いらしい。

マインドコントロールが利いているのである。

こういった話は、山上容疑者が手紙を送ったジャーナリスト、米本和広氏の『我らの不快な隣人』や信者の体験記を本にまとめた『監禁二五〇日 証言「脱会屋」の全て』、『人さらいからの脱出』などに出てくる。

信者を拉致監禁して行う「説得」の実態はこのようなものだ。

最高裁で違法判決が下り、今では山口広弁護士でさえ「強制はダメ」と言うようになった。

紀藤正樹氏も鈴木エイト氏も素直にそう言えばいいのに。

過去に同じようなやり方で「説得」が行われてきたことについても、正直に認めればいいのに。

なぜそうしないんだろう?