吊りしのぶ

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鈴木エイトさん、世界日報は「統一教会の機関紙」ではありませんよ。訂正し世界日報社に謝罪すべき!

7月18日の拙ブログの後半で、日刊ゲンダイDIGITALが世界日報のことを統一教会の「機関紙」と書いているので、デタラメ言うなと批判した。

しかし、改めて日刊ゲンダイDIGITALを見てみたら、情報提供元は鈴木エイト氏だった。

www.nikkan-gendai.com

この画像に載ったのは112人リストのうち30数人だが、初めて読んだ時、その中に「統一教会の機関紙『世界日報』」という記述を見つけてぶっ飛んだ。

これは悪質な印象操作と言うしかない。

もし世界日報が統一教会の機関紙だとしたら、自分はこれまで統一教会の主張やPRを読まされていたんだろうか。

「機関紙」という言葉を、ウィキはこう説明している。

ja.wikipedia.org

機関紙とは、政党や各種団体などの機関(主に執行機関)が組織およびその見解等の広報・宣伝、会員や同じ階層に向けた情報交換などのため、定期的に発行する新聞である。

この定義に従えば、世界日報は「(統一教会という)組織およびその見解等の広報・宣伝、……情報交換などのため、定期的に発行する新聞」ということになる。

しかし、世界日報の発行元は統一教会ではない。それに、世界日報には統一教会の見解なんか載ってない。

統一教会を猛批判する作家・ジャーナリストの青沼陽一郎氏も、次のように述べている

jbpress.ismedia.jp

『世界日報』は、反共を掲げる統一教会を反映するように保守系の色合いが強く、一方で統一教会に関する記事がほとんど載らないのが特徴でもある。

「統一教会に関する記事がほとんど載らない」統一教会の機関紙なんてものがあり得るのか?

機関紙の定義と完全に矛盾するではないか。

実際、ここしばらく電子版を有料購読している自分の印象では、旧統一教会が広報・宣伝、情報交換のために発したと思われる記事には、お目にかかったことがない。

但し、関連団体に関する記事は載ることがある。創設者が教祖や教祖夫人だったりする団体のイベントだ。

世界日報は前々から統一教会系で有名だったが、その知識を持たない読者も、たまに載るこういったイベント記事で「ああ、統一教会系だな」と気づくことになる。

もっとも、そんなことは、ネット時代の今なら「世界日報」で検索すれば、すぐわかることだが。

ここでもう1つ但し書きをしなくてはならないが、8月あたりから旧統一教会に関する記事は増えてきた。これは当然だ。同教団と政治の関係が社会問題となっているからだ。

そして、世界日報自身も批判にさらされているから、それに対する反論も目立つようになった。

話を元に戻すと、この新聞を指して堂々と「統一教会の機関紙」と書いた文章は、これまで目にしたことがない。

教団の機関紙なら、

  • 教団内のいろいろな行事
  • 教祖のありがたい教えやお言葉
  • 各支部の動向や各国の教団の動向
  • 信者たちの活動紹介
  • 信者たちの体験手記
  • 教義の紹介や解説
  • 布教の進捗状況

などが、嫌というほど載っているはずだ。

「統一教会の機関紙」という言葉を目にした人は、宗教団体の機関紙の代表格とも言える「聖教新聞」のようなものを思い浮かべるのではないか。

リンク先は「聖教新聞」のホームページ。左側の画面をクリックすると、1面だけ丸ごと見られる。

www.seikyoonline.com

一般の人は、これの統一教会バージョンがあると想像して、「こんな新聞に山谷えり子や下村博文や石破茂は載ったのか。こりゃあ、教団に利用されたってことだろ。とんでもない!」と考える可能性が高い。

もちろん、実物を見れば「聖教新聞」とは全く違う新聞だとすぐ分かる。

しかし、大半の人は「世界日報」の紙面を見たことがないから、上のような感想に誘導されやすいだろう。

だから、悪質な印象操作だと冒頭に書いた。

世界日報電子版は、残念ながら縮小したサンプルしか見られない。下がそれ。少なくとも「聖教新聞」とは異なり、一般紙の趣があることは分かるだろう。

「機関紙」というのはどれも似たり寄ったりで、実家に帰ると日蓮宗の機関紙が来ているので見ることがあるが、だいたい上に箇条書きしたような内容から成っている。

さて、ついでにこの問題を別の角度から考えてみよう。

世界日報には、日韓関係に関して、統一教会の教義だと言われている内容とは異なる見解や主張が載る。

統一教会の教義では、日本は韓国を植民地支配した許されざる加害者であり、その罪を償わなければならないとされているそうだ(詳しいことは知らない。一般にそう言われているのでそれに従う)。

かつて、韓国に嫁いだ日本人女性信者たちが、謝罪のパフォーマンスをやっていた。

しかし世界日報では、「これ以上韓国に謝罪する必要はない」という趣旨の記事や論説が多い。

2015年に安倍内閣が決断した「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決の合意」も高く評価していたと思う。文在寅政権が合意を一方的に破ってからも、日本が妥協する必要はないという論調だ。

考えてみればおかしな話で、マスコミは「安倍元首相と旧統一教会は深い関係にある」と言うのだが、日韓関係に関する両者の思想は正反対なのである。

  • 韓国に謝罪し、罪を償うべきとするのが統一教会。→→この考えは朝日新聞や日本の左翼リベラル派と同じ!
  • 韓国への謝罪は終わりにして、対等の関係で付き合うべきとするのが安倍元首相。

韓国から出た宗教団体にとって、日韓関係をどう捉えるかというのは根源的な問題のはず。その問題をめぐって教団と安倍氏の認識は水と油である。

しかし、世界日報という新聞は、統一教会系でありながら、教団の教義とは異なった主張を紙面で展開しているわけだ。

ここから言えることは3つ。

  1. 世界日報は、教団の見解を広めたり広報したりする新聞ではない。
  2. 世界日報には、教団とは異なる独自の主張がある
  3. よって、世界日報と何らかの関係を持ったからといって、統一教会と関係を持ったことにはならない。

早い話が「統一教会は嫌いだが、世界日報は評価する」ということがあり得る。自分もその1人だ。

「創価学会は嫌いだが、公明党はいい」という人がいるのと同じことである。

以上は付け足しの話。

結論として自分が言いたいのは、「世界日報は統一教会の機関紙」という決めつけは、「機関紙」の定義に照らして120%間違いだということ。

鈴木エイト氏は速やかに記述を訂正し、世界日報社に謝罪すべきである。