吊りしのぶ

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霊感商法弁連が旧統一教会の「解散命令」を要求。被害実態ないのに…狂気の吊し上げ!

まさに狂気のつるし上げだ。とうとう霊感商法対策弁連が旧統一教会の「解散命令」の請求を要求する声明を出してきた。

世論の後押しを受けて一気に事を運ぼうというもので、法律家の見識を疑う。

一方、正論を説き続けている識者の1人、池田信夫氏は「統一教会の『魔女狩り』をやめて宗教法人法を改正せよ」と主張している。

jbpress.ismedia.jp

一読して、もっともだと思った。

 2015年に「世界統一平和家庭連合」に改称してからは、宗教法人として不法行為が認定されたのは民事の2件だけで、刑事事件はゼロである。テレビでいう「被害」は相談件数であり、ほとんどは裁判所に認定されていない。

 かつて統一教会が多くの問題を起こしたことは事実だが、今は霊感商法が規制され、被害はほとんど出ていない。ワイドショーに出てくる「元信者」の話は、20年以上前の昔話ばかりだ。

世間の「空気」に支配されず、冷静にこの問題を見ている人物がいることは救いだ。

■2009年以降、激減した「霊感商法の被害」

マスコミはものすごい数の被害が出ているように言うが、実際には20年前、30年前に問題になった「霊感商法」を、さも旧統一教会が今もやっているかのように印象操作している。

「ツボ」「壺」という言葉がネット上で飛び交っているのが、人々が印象操作に引っかかり、事実誤認している証拠だ。

大理石の壺の販売は、過去の「霊感商法」騒動の結果として、もう終わっている。「今はもうやっていません」という言葉を、随分前に何度も新聞などで目にした記憶がある。

下は産経ニュース8月8日の「霊感商法被害、3万人の1千億円超を確認」という記事に出ていたグラフだ。

産経ニュース8月8日から

www.sankei.com

産経は「3万人の1千億円超の被害」と言うのだが、この数字は昭和62年から令和3年までの合計額。30数年間のトータルの数字だ。

(産経は30数年間に3万人の「霊感商法被害」が出たと強調しながら、ほぼ同じ期間に、その7分の1にも当たる4300人もの信者が、拉致監禁という非合法手段によってホテルなどに監禁・軟禁され、「脱会するまでここから出さない」と脅されながら棄教や改宗を強要された事実には、一言も触れていない)

グラフを見れば明らかな通り、「被害額」が大きかったのは平成5年(1993年)まで。その後は、年間30億円前後で推移し、平成22年(2010年)にガクンと減って年間20億円以下に減り、第2次安倍内閣時代は年間10億円前後になった。

平成30年(2018年)に一時的に金額が増えたが、直後にまた下がって令和3年は過去最低水準になっている。

トータルの「被害額」を大きくしているのは、昭和末から平成21年(2009年)までの数字が大きかったからで、それが問題だというなら、なぜ立憲民主党の前身の民主党は、政権を取ったときに「解散命令」を出さなかったのか。

「被害」の実態は、旧統一教会側の説明の通り、2009年のコンプライアンス宣言以降、激減していることは明白だ。

旧統一教会発表の「コンプライアンス宣言」

教会員の献金奨励・勧誘活動及びビデオ受講施設等における教育活動等に対する指導について | 世界平和統一家庭連合 NEWS ARCHIVES

米本和広氏による「コンプライアンス宣言とその解説」

あと10年をポジティブに生きる記録 記事以降(09年7月)の動き-刑事事件編 - 米本和広ブログ

■第2次安倍内閣が消費者契約法で規制を強化

しかも、第2次安倍内閣は、2018年の消費者契約法改正に「霊感商法」の取消権を盛り込んだ。

「2018年改正消費者契約法の 概要とポイント」より

この規定は旧統一教会側にとって不利なものだが、第2次安倍内閣は容認している。「自民党が積極的に盛り込もうとしたわけじゃない」という指摘もあるようだが、政府・自民党が賛成しなかったら、改正案が通ることはなかったはずだ。

それが通ったということは、自民党と旧統一教会が「ズブズブの関係」なんかではなかった1つの有力な証拠だ。

■取消権が行使されたことはない―「被害」が減ったからでは?

さらに驚くべきことが、消費者庁「第1回霊感商法等の悪質商法への対策検討会」で明らかになった。

既に報道されているように、2018年に「霊感商法」への取消権が設けられたにもかかわらず、今に至るまでこれが行使された例はない、というのだ。

紀藤正樹弁護士らは、法律が有効に機能していないというようなことを言っていたが、ムチャクチャな解釈だ。

話は逆で、取消権を行使するような「被害」が発生していないと考えるべきだろう。そう考えれば、産経ニュースが載せたグラフと整合する。

「被害」は2009年以降に激減した。過去3年でさらに減った。だから取消権の行使もなかった。そう考えれば辻褄が合うし、そうとしか解釈できない。

また、そう考えることで、過去10年以上、「霊感商法」にまつわる事件がマスコミで報道されなかった理由もわかるだろう。

少なくとも自分が知る限り、大きな事件があったとテレビや新聞が報じたことはなかった。見聞きしたのは、過去の裁判の判決が出た、という程度の記事ばかりだ。

旧統一教会をめぐって特に事件は起きなかったのだから、国会議員ら政治家たちが、「霊感商法の話は過去のこと。彼らはコンプライアンス宣言も出して、もうおかしなことはやっていないのだから、付き合ってもいいだろう」と考えたとしても不思議はない。

それどころか、拙ブログで何度か採り上げたように、朝日、毎日、中日、東京新聞をはじめ大手紙や地方紙は、統一教会の関連団体のイベントを幾度となく好意的に紙面で取り上げてきた。

安倍元首相がUPF(天宙平和連合)のイベントにメッセージ動画を送ったのが問題だというが、多くの大手紙がUPFのイベントである「ピースロード」を、「世界平和の実現を願う素晴らしいイベント」だと記事にしていた。

「ピースロード」のウェブサイトを見れば、このイベントがUPFによるもので、そのUPFは統一教会教祖の文鮮明・韓鶴子夫妻が創設したとはっきり書いてあるのに!

過去10年以上のマスコミ報道がそんな調子だったのだから、多くの政治家が統一教会との関係を知らずに関連団体のイベントに出席したり、祝電を送ったりするのは、ごく自然なこと。

マスコミだって知らなかったのだから。

一体マスコミはどんな資格があってそうした政治家を非難するのか。全く厚顔無恥の鉄面皮にもほどがあると言いたい。

■「一切関係ない」と宣言した河野太郎大臣も、2004年に「関連団体」イベントに祝電を送っていた

今回、消費者庁検討委員会を立ち上げた河野太郎大臣だって、「一切関係ない」と言っておきながら、旧統一教会の関連団体「平和統一聯合」の創設大会に祝電を送っていた。

friday.kodansha.co.jp

祝電を送る前に上記団体のことを調べれば、旧統一教会との関係性はわかったはず。

しかも、記事によれば、河野大臣が祝電を送ったのは2004年7月。旧統一教会がコンプライアンス宣言を出す5年前だ。

大騒ぎになった「霊感商法」の余韻がまだ残っている時期であり、騒ぎが静まった2009年以降のイベントに祝電を送った国会議員よりも、その「罪」はずっと重いのではないか。

■自らの意志で信者になった人を「被害者」と呼ぶ倒錯

河野大臣の話は余談だが、いずれにせよ、どの観点から見ても、

  • 今も「霊感商法」が堂々と行われている
  • 「被害」は今も数多く発生している

といった霊感対策弁連やマスコミ、一部識者らの言い分は事実に反する。

要するに、デタラメなのだ。

最初にワイドショーなどが20年前、30年前の「霊感商法」をセンセーショナルに煽ったため、多くの国民が「今もやっている」と思い込まされてしまった。

彼らはそうした印象操作に乗じて、とてつもない「被害」が出ていると吹聴しているのだ。

池田信夫氏の言う通りである。

もっとも、このような批判は彼らも意識していると見えて、今回の魔女狩り報道が始まってから、話の論点を徐々に「霊感商法」から「強制献金」とへシフトさせてきた。

そして、恐るべきことに、彼らは自分を被害者だと思っていない信者までも、「強制献金の被害者」に仕立て上げている節がある。

多額の献金をした本人が、それでいいと思っているのに、親族などが霊感対策弁連に相談を持ちかけると、彼らはその相談件数や相談金額を「被害件数」「被害額」に含めている疑いがある。

推測だが、池田信夫氏が指摘した「テレビでいう『被害』は相談件数であり」は、そのことを言っているのではないだろうか。

「被害」の水増しを疑うのは理由がある。1つだけ挙げておこう。

リンク済みの産経ニュースの記事に出てくる霊感対策弁連・渡辺博弁護士の次の発言だ。

渡辺弁護士は「旧統一教会と正体を明かされても、その段階で被害者はすっかり信者になっていて訴えない」と指摘。

と記事にある。

ここを読んで妙な感じを受けない人がいるだろうか。「被害者はすっかり信者になっていて訴えない」と言っている。

信者になったということは、何か物品を買ったにせよ、高額献金したにせよ、だまされたとは思っていないということだろう。だまされたどころか、良かったと思うから信者にまでなるのではないか。

良かったと思っていないのに、どうして信者になるだろうか。その段階では旧統一教会だとちゃんと明かされているのだ。

■「名称変更で正体隠し」の言いがかり。教祖夫妻の名前は同じじゃないか!

「家庭連合に名称変更してわからなくしているのだ」という批判は当たらない。名称変更しても、教祖の名前が変わるわけじゃない。教祖は文鮮明、韓鶴子で同じ。

教祖が韓国人というところで「おやっ」と思わない日本人はいないはず。ネットで検索すれば、悪評がうじゃうじゃ出てくる。

つまり、わかったうえで信者になっている。

親族や霊感対策弁連の弁護士が「訴えよう」と勧めても訴えない。こういう人を「被害者」と呼んでいいのか! 明らかにおかしい。それでも、渡辺弁護士は「被害者」呼ばわりして恥じるところがないようだ。

もし彼らが本人の意向を無視して、親族の相談だけを根拠に「被害者」と決めつけているのだとしたら、彼らが出してくる「被害額」「被害件数」も眉唾ということにならないか?

公然と「被害」の水増しが行われている可能性を疑わざるをえないのだ。