極左過激派の中核派、と言っても今の20代、30代は知らないかもしれない。しかし、かつて革マル派と内ゲバを繰り返し、日本共産党の穏健革命路線に反発して武装闘争を繰り返した恐ろしい集団だ。
その恐ろしさは暴力団に匹敵する。
中核派がデモに参入することは前から分かっていて、25日のアゴラが彼らの様子をネットから拾って注意喚起していた。
それにしても、デモの一画を占めた中核派の国葬当日の動きを、よもや好意的に報道するマスコミがあるとは想像もしなかった。
「朝日新聞系のAERAdot.ならやりかねない」と言うべきか、「AERAdot.でもそこまではやらないだろうと思ってたのに、本当にやったのか」と言うべきか。
以下、中核派に関する記述を一部引用しよう。
千代田区神田淡路町の淡路公園には「改憲・戦争阻止!大行進」実行委員会主催の「安倍国葬粉砕! 9.27 武道館へ怒りのデモを!」集会が開かれた。
労働者、市民などいろんな人たちが参加している。その中には「革命的共産主義者同盟(革共同)中核派」の姿も。
革共同政治局員の石田真弓氏(35)はこう話す。
と書いて、なんとAERAdot.は中核派メンバーの主張をそのまま垂れ流した。
信じられない。いつからAERAdot.は中核派の宣伝機関と化したのか。
三流大衆紙ならともかく、まともなメディアが暴力団の言い分をそのまま紙面に載せることはないだろう。同様に、メディアが極左過激派の主張をそのまま活字にすることなどあってはならない。
AERAdot.の記事は終始、国葬反対デモを行う中核派目線で書かれ、彼らの言い分を代弁するかのようだ。
国葬が始まった午後2時頃になると、九段下の交差点付近で、機動隊数十人と「改憲・戦争阻止!大行進」実行委員会の中核派、労働者、市民グループが激しく押し合っていた。
機動隊が「これ以上入るな」と押しまくっていた。実行委員会のメンバーも負けじと機動隊とぶつかり合い、押し戻す。
「なぜ規制線を深くするのか」「警察は帰れ」「国葬中止」と叫んでいた。
「あまり武道館に近づくと、向こうから国葬に反対する様子が見えて格好が悪いから規制線を深くしたんでしょう。機動隊はこういうことをするんですよ」(グループの労働者)
メディアは、中核派が国葬反対デモの一画を占め、大きな影響力を発揮していたことは報じるべきだ。
その意味で、デモの現場を取材しながら、中核派などヘルメット集団に一切触れなかったNHKの報道は逆の意味で異常だ。
NHKは国葬反対デモが「一般市民」によるものだと明らかに印象操作している。これもタチが悪い。
しかし、AERAdot.のタチの悪さはそれ以上だ。
中核派のような、最初から革命による政権転覆を目的とした過激派は、一般市民とは隔絶した存在である。
国葬に法的根拠があろうとなかろうと、岸田首相が丁寧な説明をしようとしまいと、またたとえ野党が揃って国葬に参加しようとも、中核派が安倍元首相の国葬に賛成することはない。
自民党が政権を取っている限り、その政権がやることに彼らは絶対反対なのだから。
そんな連中のデモを取り上げて「国論が2分されている」と書くこと自体ナンセンスと言うしかない。
AERAdot.は中核派の宣伝機関と化し、中核派の広告塔となった。中核派のオルグに力を貸したようなものだ。
久々に見る中核派のデモ。デモ隊が通り過ぎる時、通行人は珍しがってスマホで写真を撮る人が多かった。
と書いて、日蔭の存在である極左過激派を、わざわざ陽の当たるところに引っ張り出してやったのだ。
これほど時代錯誤な報道はないと思う。東西冷戦が終わって30年、日本のメディアの倫理観はここまで崩れてしまったのかと暗澹たる思いがする。