- 1,東スポ「四つん這い」誤報のネタ元になった元信者
- 2,産経新聞で「すべての2世が」と断言した宗教2世で元信者の40代女性
- 3,献金の「上限10分の3」を「10分3まで献金する義務」と勘違いして非難した元信者女性
- 4,1993年9月13日放映のTBS「報道特集」で、拉致・監禁された信者が出演を強要され、ウソの証言をさせられた!
旧統一教会が宗教2世の記者会見に中止要請をしたが、そのまま続行したとしてニュースになっている。
会見を行った宗教2世の証言に、どの程度信憑性があるのか、現時点で自分にはよくわからない。
しかし、一般論として次のことは言える。証言は正しいとは限らない、と。
保守派ならば、「慰安婦問題における吉田清治証言」が、朝日新聞と同紙に追随する大手紙、地方紙、各種メディア、書籍等によって広く拡散され、長い間、事実としてまかり通ってきたことを知っているはずだ。
その証言――吉田清治氏が旧軍時代に済州島で数百人の慰安婦狩りをしたというもの――は、リアルで臨場感もあり、一読して「旧日本軍はこんなひどいことをしたのか」と思わせるほど迫力十分だった。
しかし、早くから歴史家・秦郁彦氏の済州島現地調査により、信憑性に疑問が投げかけられていた。
紆余曲折を経た後、最終的に朝日新聞は裏付けの取れない詐話と認め、吉田証言を扱った記事を取り消して謝罪した。
証言が流布してから撤回されるまで約20年かかった。
全く同じことが、旧統一教会の元信者や宗教2世の証言についても言える。
自ら慰安婦狩りをやったいう吉田清治氏の証言は、「実行した本人が言っているのだから、ウソであるはずがない」と多くの人は考えた。しかし、ウソだった。
旧統一教会問題でも、元信者の証言には、ウソと断言できるかどうかはともかく、信憑性の薄いものが見られたことは事実である。
1,東スポ「四つん這い」誤報のネタ元になった元信者
1つは、萩生田光一・現自民政調会長が「四つん這い」になって礼拝したという話。東京スポーツ(東スポ)が掲載して話題になり、ネット上に拡散した。
後に誤報として東スポは記事を削除し、萩生田議員にも謝罪したが、「誤報・謝罪」の記事は小さくしか掲載されないから、たぶん今も信じている人がいるだろう。
東スポの記事は、元女性信者の証言に基づいたもの。
東スポは脱会した元女性信者に取材して、「萩生田さんが参加して、私たちと同じように礼拝を1000回やったという話が信者間で広まったんです」という彼女のコメントを掲載した。
“安倍首相付のSP”に見紛われるほど体躯のいい萩生田氏が、本当に「四つん這い」になって礼拝していたら実にインパクトのある絵面が思い浮かぶが、案の定、ネット民に大受け。安倍元首相のアンチが失笑混じりにツイッターで拡散したのをはじめ、一時はトレンドワードに「四つん這い」が入るほどの反響を呼んだ。
ところが、この元信者の女性は、萩生田氏が四つん這いになった様子を現認したわけではないようだ。あくまで信者間の噂話として紹介したに過ぎない。
元信者は噂話だからと軽い気持ちで記者に話したのかもしれない。しかし、それが記事になればどういう社会的影響を及ぼすか、よく考えて話すべきだった。
裏付けを取らずに公にした東スポの責任が重いことは言うまでもないが、教団内ニュースで流れたとか根拠があるならともかく、仲間内のただの風評を軽々しく記者に喋ってしまう元信者にも問題があった。
2,産経新聞で「すべての2世が」と断言した宗教2世で元信者の40代女性
次は、自分自身が、明らかにこの元信者はウソをついていると思った事例。すでに拙ブログで公開済みだ。
問題の記事は産経新聞8月6日に載った。
そこで、宗教2世で40代の元信者の女性が「すべての2世が理不尽な生き方を(親に)強要されてきた」と証言している。
リンクしたブログでは、「信憑性に重大な疑問符を付けざるを得ない」と書いたけれども、はっきり言ってウソの証言である。
「すべての2世が」という部分がウソなのだ。
これには、旧統一教会の田中富広会長が7月11日の記者会見で「2009年以降は(金銭)トラブルが起こっていない」と発言して、「ウソだ」と非難されたのと同じ理屈が当てはまる。
「すべての2世が」と証言した以上、1人でもそうでない者がいれば、この証言はウソになる。
「すべての2世が理不尽が生き方を強要されてきた」と言うためには、すべての2世信者の実態を把握していなければならない。
そんなことが可能だろうか?
全ての2世信者の家庭事情を把握した上、全員からヒアリングでもしない限り、「すべての2世信者が」などと言えないことは明らかだ。
回答率100%、ヒアリングした全員から「わたしは親から理不尽な生き方を強要されました」という答えが返ってきて、はじめて「すべての2世が~」と言える。
しかも、その回答にはウソがないという前提も必要だ。
こんなことがあり得ないことは明々白々、いくら何でも「すべての」は盛りすぎなのだ。
この証言も、産経の記者は何のコメントも付さないまま、つまり根拠を提示しないまま、活字にしてしまっている。
なんという無責任、なんというインチキ!
3,献金の「上限10分の3」を「10分3まで献金する義務」と勘違いして非難した元信者女性
3つ目。教団改革本部長の勅使河原氏が、献金の上限を「10分の3」にすると発表したことについて、10月3日の羽鳥慎一モーニングショーがケチをつけていた。
ケチの1つが、元信者女性への電話取材だった。
その女性は「10分の3も献金したら生活していけるわけないじゃないですか」と早口で興奮気味にまくし立てていた。
しかし、まともな視聴者ならこう思ったはずだ。
「ちょっと待て。勅使河原氏は献金の上限と言っていたぞ。10分の3を超えないように指導する、と。10分の3献金しろとは言ってないぞ」
だれだってそう思うだろう。「上限」は文字通り上限。上の限界という意味だ。
それなのに、この電話取材に応じた元信者は「10分の3の献金を義務づけられた」と勝手に勘違いして、やたら怒っていた。
その話を受けたMCの羽鳥氏も鈴木エイト氏(自称「ジャーナリスト」)も全く訂正せず、知らん顔で話を進めていた。
だいぶ後になって別のコメンテーターが「10分の3が上限というと、10分の3まで献金しなきゃいけないと思う信者が出てくるんじゃないか」と言っていたが、
「10分の3まで献金しなきゃいけないと思う信者とは、さっき電話取材に出た元信者のことじゃないか。なんであの発言の直後に指摘しないんだ」
と思ったものだ。
10分の1でもいいし、10分の2でもいい。しかし沢山献金しても10分の3は超えないようにしようね、という趣旨だろう。
統一教会の今後の献金の基本は10分の1献金が基本になるという。それにプラスして、記念日などにプラスアルファを求められるらしい。
この10分の1というのが、収入の10分の1なのか、手取りの10分の1なのか、自分にはよくわからない。
10分の1献金だけでも信者には大変な負担だが、一部のキリスト教会でそういう慣行があるのは事実だ。
クリスチャン(統一教会の信者ではない)がヤフーに質問を上げている。
10分の1なんて無理だと言うクリスチャンもいれば、無理して借り入れをしてやっている人もいると言うクリスチャンもいる。10分の1は旧約聖書の話で今のクリスチャンはそんなことする必要はないと言う人も。
献金に悩むのは、統一教会信者の専売特許ではないようだ。
収入の10分の1だろうと手取りの10分の1だろうと、結構な金銭的負担になることは間違いない。自分なら、そんな義務のある宗教には絶対入らないし、入った後でそんなことを求められたらキッパリ断る。
それで除名されたら、ありがたく脱会すればいい。それだけのことだ。
統一教会の宗教2世も、親はともかく、本人が献金を求められるのは社会人になってからだろうから、10分の1献金なんて無理だと思ったらやらなければいい。
献金は気持ちでするものだ。それ以上を求められたら断る。断って除名されたら、「カネが目当ての宗教だったのか」と割り切って、さっさとやめればいいのである。
【追記】
すぐ上の箇所は少々、最近のメディアの論調に引きずられて書いてしまった。10分の1献金の義務づけは、信者にとってかなり重たい負担であることは事実。
しかし、「できないのに無理強いされたら、さっさとやめればいい」と書いたのは、感情的に過ぎた。決して本意ではない。
なぜなら、宗教に献金は付きものだからだ。特に、仏教や神道と違って歴史的建造物も壮麗なお参り施設も持たない宗教団体の場合、日々参拝してお賽銭を投じてくれる人がいるわけでなく、教団の維持や活動推進のためには、信者の献金はある意味、死活的だ。
また、伝統宗教も献金を重視するところはある。
イスラム教の場合、1日5回の礼拝や年に1カ月の断食(日没まで)が義務づけられ、喜捨と称する献金は、通貨が1年以上所有している財産の2.5%、家畜0.8~2.5%、果実・穀物が5~10%、商品は金が5%、通常の物品が2.5%、埋蔵財貨の20%などと細かく定められている。(『キリスト教・ユダヤ教・イスラム教の知識と英語をみにつける』ペレ出版より)
トータルで見ると、かなりの負担になることが分かるだろう。
また神道では、氏子になれば、神社施設の修理、建て替え、伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮などのために、相当な額の寄付を求められる。
キリスト教も、教会施設の修理、建て替え等のために、クリスチャンが通常献金とは別途、献金を求められることもままある。これもまた事実である。
「カネにこだわる宗教はカルト」などと言えば、多くの宗教団体がカルト入りすることは間違いない。軽々しくそんな言葉を口にすべきでない。
4,1993年9月13日放映のTBS「報道特集」で、拉致・監禁された信者が出演を強要され、ウソの証言をさせられた!
最後に、もう1つ例を挙げよう。これは深刻、かつ重大な実例だ。
反統一教会勢力により拉致・監禁され、脱会を強要された信者が、監禁場所から逃れるため「偽装脱会」(脱会したフリをすること)した。
すると、本当に信仰を捨てたかどうか試すため、テレビの報道番組への出演を強要され、そこで教団の悪口を言わされた、という信じがたいケースがある。
「世界日報」が10月7日に報じた。
医師・小出浩久氏も後藤徹氏(注・12年以上監禁された信者)と同じで、親族のほか宮村峻氏(注・脱会を請け負う専門業者)、キリスト教牧師の松永堡智氏によって、1992年から2年間、東京、新潟と監禁場所を転々としながら改宗を強要された被害者だ。
かつて「世界日報」に掲載した小出氏の手記に次のような場面がある。
監禁されながら「偽装脱会」(監禁からの解放目的に脱会を装う行為)の中で、弟の結婚式への参席を希望した同氏に対して、宮村氏は参席を認める条件としてTBS番組に出演し、教団との「対決姿勢をはっきりと示す」ことを挙げてきた。
信者の強制改宗に長年関与してきた宮村氏らは、偽装脱会を見破る〝踏み絵〟を幾つか用意していた。その一つがメディアの取材に応じ教団を批判させることだった。
そのTBSの番組が「報道特集」と知った小出氏は当時、偽装脱会状態にあったので、テレビ局の録画撮りを拒否できる状況ではなかった。解放が遠のくからだ。
そして、手記は次のように記している。
「宮村氏は私がテレビに出る際の『心得』として、統一教会に対する敵愾(てきがい)心や怒りを持つように、と指導までしてきました。私のTBS出演の裏舞台では、こうした脅迫まがいの工作による〝強制〟出演があったのです」
小出氏は自身の強制改宗の体験をまとめた著書『人さらいからの脱出』(1996年、光言社)を出版した。その中でさらに興味深いことを明らかにしている。
松永牧師が車を運転し録画の打ち合わせ場所に向かう場面がある。小出氏と宮村氏、そしてTBSスタッフが同乗した。
移動途中、ディレクターの氏家真理氏(当時)は
「宮村さんから統一教会関係のことをいろいろと指導してもらっている」
と話し掛けてきた。
また、録画撮りの後、お茶を飲んでいた時、スタッフは
「宮村さんとは、かなり長い付き合いになりますね。本当に宮村さんの統一教会への攻撃は大したものですよ。今度宮村さんの特集番組でも作りたいですね」
という趣旨の話をしていたという。(読みやすく一部改変)
かつて1993年9月13日(日曜)放映のTBS「報道特集」(正確には「JNN報道特集」のことと思われる)に出席して統一教会批判の証言を行った小出氏は、実は監禁から逃れるため「脱会する」と言って脱会を偽装していた。
「君にふさわしいデビューの場を考えている。今度放映されるTBSの報道特集に出演しろ」と脱会業者に言われ、やむなく従ったというのだ。
彼はそこまでしたから、「この男は本当に教会をやめたようだ」と認められ、その後も意に反して信者を脱会させる手伝いまでさせられたものの、監視の目が緩んだ隙をついて逃げることができたのだった。
偽装脱会し、心ならずも報道番組でウソの証言をさせられたが、もしそれをしなかったら、監禁期間は2年どころか3年、4年、5年…と長引いていたかもしれない。
ここで言いたいのは、テレビなどに出演して証言する元信者の中には、偽装脱会中で、踏み絵を踏まされて出演している者がいるかもしれない、ということだ。
過去にそういう例があったのだから、今もないとは言い切れない。
ちなみに、小出氏は月刊「Hanada」12月号の福田ますみ「“脱会屋”の犯罪」でもインタビューに応じている。
【ルポ統一教会①】新聞・テレビが報じない“脱会屋”の犯罪|福田ますみ【2022年12月号】 – 月刊Hanada<プレミアム>