吊りしのぶ

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立民・維新の「被害救済法案」は、疑似科学「マインドコントロール理論」を司法に押し付ける前代未聞の悪法だ

愚かとしか言いようがない。自分たちが出した「被害救済法案」なるものが、ずさんで、欠陥だらけ、特定宗教を狙い撃ちした差別性丸出しの欠陥法案なのに、その欠陥を指摘されると「やる気がない証拠」と開き直る。

それこそローメーカーとしての責任も自覚もないことを自ら露呈している。

www.sankei.com

法律は、今目の前にある問題を応急処置すればいいというものではない。

口では「特定宗教を狙い撃ちしたものではない」と言っているが、それならなおさら、条文が宗教界全体にどのような影響を及ぼすのか慎重に検討するのが当然ではないか。

法律が通れば、将来の国民をも拘束する。宗教界のみならず、他分野へ波及する可能性もある。

■疑似科学のマインドコントロール理論を条文化するのは、荒唐無稽

何しろ立憲民主党・維新の会の「被害救済法案」は「マインドコントロール」という疑似科学を明文の法律にしようというのだ。ハッキリ言ってあり得ない。

cdp-japan.jp

www.shugiin.go.jp

「マインドコントロール」に関する条文は第2条にある。

第二条 この法律において「特定財産損害誘導行為」とは、人に対し、次に掲げる行為その他の人の自由な意思決定を著しく困難とするような状況を惹起(じゃっき)させる違法若しくは著しく不当な行為(以下「困難状況惹起行為」という。)を行い、又は困難状況惹起行為により惹起された状況を利用して、その人の財産に著しい損害を生じさせることとなる財産上の利益の供与を誘導することをいう。

  一 次に掲げる方法により、人に著しい不安又は恐怖を与える行為

  イ 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段を用いること。

  ロ 霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままではその人に重大な不利益を与える事態が生じる旨を示すこと。

 二 その所属する組織、働きかけの目的等を告知しないこと等による注意力の低下に乗じる等心理学に関する知識及び技術をみだりに用い、又は人の知慮浅薄若しくは心神耗弱に乗じて、その人の心身に重大な影響を及ぼす行為

非常に複雑な条文で、自民・公明両党が困惑したのも無理はない。

まず問題となるのは「困難状況惹起行為」であるが、いろんな行為が該当する。

  1. 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段を用いることにより、人に著しい不安又は恐怖を与える行為
  2. 霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままではその人に重大な不利益を与える事態が生じる旨を示すことにより、人に著しい不安又は恐怖を与える行為
  3. 心理学に関する知識及び技術をみだりに用いその人の心身に重大な影響を及ぼす行為
  4. 人の知慮浅薄に乗じて、その人の心身に重大な影響を及ぼす行為
  5. 心神耗弱に乗じて、その人の心身に重大な影響を及ぼす行為
  6. その他

この1~6の行為が「人の自由な意思決定を著しく困難とするような状況を惹起させる違法若しくは著しく不当な行為」だとして、これを「困難状況惹起行為」と呼んでいる。

「その他」とあるのが不気味だが、どんな行為を想定しているのかよく分からない。

マインドコントロールは、この1~6の全てを含むのか、それとも一部のみを指すのか?

さしあたり「心理学に関する知識及び技術をみだりに用い、その人の心身に重大な影響を及ぼす行為」はマインドコントロールにあたると思われるが、立民や維新の議員がしきりに「マインドコントロール下にある被害者」という言い方をしていることからすると、1~6の全てを含んでいるのかもしれない。

いずれにせよ、いわゆるマインドコントロール理論は、海外では科学的な有力理論とは認められていないし、日本の法廷でも採用されていない。

今アップする時間がないが(後日アップ済み)、ある判決では、「マインドコントロールという考え方は、道具概念として使うことができず、説明概念にとどまる」として、採用を拒否された。

要するに、ある現象を説明する1つの理論仮説にすぎないと言っている。

正しい理論、説得力のある理論なら「道具概念」として使えるが、そうではないというのだ。

以下のブログでは、マインドコントロール理論の信奉者として有名な日本脱カルト協会代表理事・西田公昭氏の著作『マインドコントロールとは何か』(紀伊國屋書店)がコテンパンに批判され、「疑似科学」「マイコン真理教」の烙印を押されている。

非常によく書けていてとても勉強になった。ブログ主の言う通り、反証可能性のない理論は科学とは言えない。

「イワシの頭も信心から」の宗教と同じなのだ。

movingcreation.com

しかもマインドコントロール論者は、「絶対に正しい」と言わんばかりに傲慢で、批判には耳を貸さず、やたら排他的なところが原理主義的宗教に似ている。

そんなタチの悪い理論に固執した法案だから、立法化を目指す政党や国会議員も、自ずと排他的になり、原理主義的になるのだろう。

与党が指摘した問題点は、以下の産経記事が簡単に触れている。

www.sankei.com

野党法案は、マインドコントロール状態での高額献金を禁止し、国による是正命令に応じない場合、刑事罰を科すことを可能とする。

これに対し与党は、マインドコントロール状態であるかどうかを家庭裁判所などが判断することは困難であると指摘。

質問状で与党側は、マインドコントロールをめぐり「『人の自由な意思決定を著しく困難とするような状況』とは具体的にどのような状況をさすのか」などと回答を求めた。

与党はまた、刑事罰の導入をめぐっても犯罪行為と刑罰の対象をあらかじめ定める「罪刑法定主義」に反しかねないとの立場をとる。

さらに野党案が、家裁が認定すれば、被害者の家族らが被害者本人に代わって返金請求できる「特別補助制度」の導入を盛り込んでいることに対しても、憲法が保障する自己決定権や財産権に抵触する恐れがあるとする。

質問状では特別補助制度について「本人の意思に反しても、特別補助開始の審判ができるのか」と確認した。

まだよく呑み込めないのは、

刑事罰の導入をめぐっても犯罪行為と刑罰の対象をあらかじめ定める「罪刑法定主義」に反しかねない

のくだり。

あとは全くその通りで、自民・公明の指摘は極めて妥当だ。

泉代表が「与党はやる気がない」と反発したり、岡田幹事長が「党首会談で今国会での成立を」と迫ったりするのは、問題点が多いことを自覚しているからだろう。

きちんと話し合っていたら頓挫するのは目に見えている。だから話し合いを拒否して強行突破するしかないと踏んでいるわけだ。

マインドコントロール概念の危険性については、統一教会に批判的な青沼陽一郎氏も警鐘を鳴らしている。

青沼氏は、マインドコントロール理論がオウム真理教事件の刑事裁判で不採用となった事実を指摘する。もしこの理論が法廷でされていたら、地下鉄サリン事件の実行犯たちは、「松本智津夫教祖にマインドコントロールされていた」という理由で無罪になっていただろう。

toyokeizai.net

■「被害救済」を謳いながら、信者の拉致監禁被害をなくす法整備がない!

だいたい「被害救済」を銘打っておきながら、「脱会説得」「保護説得」と称して横行している旧統一教会信者の拉致監禁被害者に何も対策がないのはおかしい。

信者に対する人権侵害、人権蹂躙は野放しでよいのか。

後藤徹裁判で拉致監禁は家族間でも違法との判決が出て、一定の歯止め効果は出ているようだが、昨今の反統一教会世論をバックにいつまた盛り返すかわからない。

現行法で適切な取り締まりができないからこそ拉致監禁が多発したわけで、これを何とかしようとしないのは政府や国会の怠慢である。

拉致監禁対策が無視されていることこそ、「被害救済法案」が旧統一教会を狙い撃ちしている動かぬ証拠だ。