吊りしのぶ

気の向くまま、思い付くままに。記憶にとどめたいoutputの場として。

原英史氏が朝日・毎日の支離滅裂な旧統一教会報道を痛烈批判~月刊「正論」1月号

原英史氏は、不合理な規制の撤廃を求める規制改革論者として有名な人で、安倍内閣で国家戦略特区ワーキンググループ座長代理を務め、現在は政策シンクタンク代表である。

その原氏が月刊「正論」で「暴走する新聞報道」と題する連載を始めた。

【目次】

  • 1,「第4の権力」毎日新聞に狙い撃ちされ、報道被害に遭った原英史氏
  • 2,原英史氏の勝訴に注目し、毎日新聞に検証を促した安倍元首相
  • 3,UPFの旧統一教会に関する公開質問状に朝日新聞は何と答えたか?
  • 4,文科相が「質問権行使」を決めた最大の根拠は「組織的な不法行為」
  • 5,それほど重要な「組織的な不法行為」を判決当時、朝日・毎日・読売・産経はほとんど報じていなかった
  • 6,2009年コンプライアンス宣言以後、非難されるような被害実態はほとんどない
  • 7,「権力の暴走を監視する」と言いながら、霊感対策弁護士や政府と歩調を合わせ「権力の暴走」をけしかけるマスコミ
  • 8,原英史氏は、重大判決を報じなかった毎日新聞を糾弾

■1,「第4の権力」毎日新聞に狙い撃ちされ、報道被害に遭った原英史氏

執筆の背景には、自身が毎日新聞の報道被害に遭い、これを乗り越えるために多大な時間と労力、お金を費やさざるを得なかった悔しさ、そしてマスコミのペンの暴力に対する怒りがあるようだ。

第4権力と化したマスコミを相手に戦うには、尋常ならざるエネルギーを必要とする。

2019年6月、原英史氏は毎日新聞の

「国家戦略特区WG支援会社が提案者から200万円、会食も」

と題する記事で、顔写真入りで批判された。

記事には「収賄罪」相当の行為をしたとのコメントまで載っていたから、毎日新聞の読者の脳裏には原氏の悪者イメージが焼き付いたに違いない。

agora-web.jp

田村和広氏の解説によると、これは毎日新聞の非道なキャンペーンだったという。

原氏の抗議と反論にもかかわらず、キャンペーンは約1カ月続き、その後、毎日新聞は第2のモリカケ騒動を狙って問題の拡大を試み、キャンペーン終了まで5カ月近く記事掲載を続けたそうだ。

■2,原英史氏の勝訴に注目し、毎日新聞に検証を促した安倍元首相

原英史氏は法的手段を取った。毎日新聞を名誉棄損で訴えたのである。一審では敗訴したものの、控訴審で勝訴した。

しかし大手紙が力を入れたキャンペーン記事は影響力が大きい。一連の記事を使って原氏を批判する国会議員が現れた。それが立憲民主党の篠原孝議員と森ゆうこ議員である。

原氏はこの2人も訴え、篠原議員に対しては一審、二審とも勝訴、森ゆうこ議員には一審勝訴、二審が係争中とのこと。

とりわけ悪質だったのが森ゆうこ氏で、彼女は無責任にも、原氏の自宅住所をウェブ上で公開して心ある国民を啞然とさせた。

一方、原氏を応援した人も多い。控訴審で毎日新聞に勝訴したことを喜び、ツイッターでコメントしたのは、誰あろう安倍晋三元首相である。

2022年7月4日。テロに倒れるわずか数日前というのが涙を誘う。

アゴラ掲載田村和広氏記事22年7月10日より

■3,UPFの旧統一教会に関する公開質問状に朝日新聞は何と答えたか?

さて、その原英史氏が月刊「正論」1月号の連載第2回で、毎日新聞や朝日新聞の旧統一教会報道を痛烈に批判した。

題して「重大事実報じない毎日の『誤報』」。

原氏は毎日新聞だけでなく、他紙の報道も問題にしている。

原氏がまず取り上げたのは旧統一教会の関連団体、UPF(天宙平和連合)が報道機関に送った9月20日付け公開質問状への朝日新聞の回答である。

UPFの公開質問の内容は以下の通り。

原氏は、

質問は至極もっともだ。私は旧統一教会と何の関わりもなく、一切擁護するつもりはないが、この質問に関する限り正当な質問であり、報道機関には答える責務があると思う。

と前置きした上で、朝日新聞の回答を引用して以下のように述べる。

《平素より編集過程についてはお答えしておりませんが、政治家と、霊感商法や高額献金などが問題視された宗教団体、その関連団体との関係は、社会的に大きな議論になっており、自民党なども「社会的に問題が指摘されている団体」として、家庭連合や友好団体との接点について調査・点検し、今後関係を断つよう議員らに求めています。こうした状況を踏まえ、いずれのケースも必要な取材、判断をしたうえで記事を掲載しております(傍線は筆者)》

この回答には呆れた。因果関係が逆だ。朝日新聞はじめ報道機関が旧統一教会を反社会的団体と断じて「空気」を作ったので、自民党は「関係を断つ」と宣言するに至ったのだ。「自民党もそう言っているから」で回答になるわけがない。

小学校のいじめの首謀者が「なぜ悪口を言うのか」と問われ、答えに窮して「みんな言っているから」と答えるような水準だ。

結局、朝日新聞は、「なぜ旧統一教会と接点を持ってはならないのか」について、紙面で十分な説明をしてこなかったという以前に、自分でもよくわかっていなかったのだろう。

報道機関が自分でも根拠がわからないまま魔女裁判のような追及を行う。これは危険極まりないことだ。

「安倍叩きは朝日の社是」といわれたように、統一教会叩きも朝日のお家芸だ。公開質問にまともに答えるはずもないが、それにしても幼稚な回答である。

平然と自民党に責任転嫁しており、実にずる賢い。

普段は自民党を徹頭徹尾批判する朝日新聞が、この件に関してはなぜ自民党に従うのか? その理由をこそ説明しなければならないのに、肝心な点について口をつぐんでいる。

■4,文科相が「質問権行使」を決めた最大の根拠は「組織的な不法行為」

永岡桂子文科相によれば、旧統一教会に対し「質問権」を行使する決め手となったのは民法上の不法行為判決22件で、特に重要なのがうち2件の「組織的な不法行為」を認定した判決である。

www.sankei.com

「信者であることを秘して勧誘を受けて入信させられ、多額の献金を強いられた」などと、元信者が教団などに約4200万円の損害賠償を求めた裁判では、平成29年に東京地裁が信者らの不法行為を認定。勧誘に教義が利用されたことなどから旧統一教会の使用者責任を認め、約1千万円の支払いを命じた。

同年12月(26日)の2審判決は「教団自身が行った不法行為」と踏み込み、賠償額も約140万円増額した。

女性信者の元夫が「妻に無断で金を引き出され多額の献金をさせられた」として教団に約1億円の損害賠償を求めた裁判では、東京地裁が28年(1月13日)、献金が元夫の財産を原資としたものであると教団が認識していたなどと組織的不法行為を認め、約3400万円の賠償を命じた。

このように産経は報じているが、原英史によると、約3400万円の賠償を命じた平成28年(1月13日)東京地裁判決は、二審の東京高裁判決で賠償が3800万円弱に増額され、確定したという。

「組織的な不法行為」とは、信者や信者組織による不法行為ではなく、宗教法人としての教団本体が関与した不法行為、という意味で、裁判所が「旧統一教会本体が民法上の犯罪行為を行った」と認定したに等しい。

その意味では極めて重い判決だ。

まとめると、こうなる。

  1. 平成29年(2017年)12月26日 東京高裁判決
  2. 平成28年(2016年)1月13日 東京地裁判決/同6月28日 東京高裁判決

以上、2件3本の判決が旧統一教会の「組織的な不法行為」を認めたもので、22件の民事判決のうち、特にこの2件が重要ということになる。

■5,それほど重要な「組織的な不法行為」を判決当時、朝日・毎日・読売・産経はほとんど報じていなかった

ところが、である。

宗教法人に対する「質問権」行使の根拠とされ、今後、文科相が裁判所に「解散命令」を請求することになった場合、その重要かつ決定的な根拠になるかもしれないこれらの判決について、大手紙は判決当時、ほとんど報じていなかったのである。

原氏は言う。

朝日新聞の報道ぶりを縮刷版で確認すると、平成28年判決(地裁、高裁)は報じられているが、29年判決は記事が掲載されていない。

前者は記事があったといっても、ほとんど目に触れないような小さな記事に過ぎない。

朝日の2の記事は373字と275字。いずれもベタ記事の扱いだ。上にリンクした産経新聞の記事の文字数の半分にも満たない。

原氏は読売と産経の報道も似たり寄ったりだったと言う。

驚くべきことに、平成29年(2017年)12月26日の東京高裁判決については、4紙全てがスルーしていた。

その上で、原氏は毎日新聞を槍玉に上げる。

もっとひどいのが毎日新聞だ。あろうことか、3つの判決につき、一切報じていない。読者は、判決が出て旧統一教会が敗訴したと知ることすらできなかった。

原氏の指摘が正しければ、毎日新聞は、旧統一教会の「組織的な不法行為」を認定した2件3本の判決にはニュース価値がなく、報道する意義を認めないと判断したことになる。

■6,2009年コンプライアンス宣言以後、非難されるような被害実態はほとんどない

これでどうして、今になって旧統一教会とその関連団体を叩きまくり、非難しまくることができるのか?

大手4紙は旧統一教会の「組織的な不法行為」の判決が出ても、ほとんど無視した。

それはおそらく、判決の元になった事件自体が、その時より5年も7年も前のことであり、同様の裁判が次から次へと起こされているという事実もないため、「世間を騒がせる重大事件」とは思わなかったからだろう。

自分は、この認識は正しかったと考える。

旧統一教会は、2009年のコンプライアンス宣言以後、いわゆる正体隠し勧誘や布教、霊感商法と訣別し、抜本的な改革を行ってきたと主張している。

実際、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の「被害額」も劇的に減少した。過去10年以上、マスコミ報道で旧統一教会の名前が大きく取り上げられることはほとんどなかった。

かつてマスコミを騒がせた旧統一教会をめぐる問題は、既に沈静化していたとみるべきだ。

確かに、減ったとはいえ、それでも「被害」は続いていたかもしれない。しかし、もともと信者や信者団体、事業者などがやることを、教団本部が全て把握できるはずがない。

教団本部の目の届かないところで、「被害」につながるような行為が散発的に起きることはあり得る。それは個別案件として対処すべき事例で、それをもって教団本部を非難するのは筋が違う。

だいたいそれら2009年以降も起きたという「被害」事例についても、マスコミはほとんど報じてこなかったではないか。

■7,「権力の暴走を監視する」と言いながら、霊感対策弁護士や政府と歩調を合わせ「もっと暴走せよ」とけしかけるマスコミ

過去10年以上、そして「組織的な不法行為」の判決が出た時でさえ、旧統一教会の活動を取り立てて問題にしてこなかったくせに、安倍元首相テロが起きた今になって、旧統一教会をつぶしたい全国弁連の主張を鵜呑みにし、政府と歩調を合わせて、あるいは政府の尻を叩くようにして旧統一教会を非難する。

大手マスコミの報道は、支離滅裂と言わざるをえない。

政府の権力の暴走を監視し、常に批判的な視点でチェックするのがマスコミの使命だと、聞いている(読んでいる)側が恥ずかしくなるようなことを常日頃公言しているのがマスコミである。

しかし、そんなご高説が口先だけのものであることを、旧統一教会報道が如実に示している。

マスコミは権力の暴走を監視するどころか、「もっと暴走しろ」「カルトはつぶせ」「マインドコントロールされた信者の言い分など聞く必要はない」と煽りに煽っているのが現状だ。

目の前で一宗教団体を狙い撃ちした宗教弾圧が進行しているというのに、それをとがめるどころか、完全に同調している。一体どこに権力の暴走の監視や権力批判の視点があるのか?

全国弁連が強調する「被害は今も多数ある」についても、いわゆる被害者側の言い分のみを取り上げ、信者側の主張はまるきり無視だ。

ニュースを見ても、一部例外を除き、まともに取材した形跡がなく、ほとんど被害者と称する側や全国弁連、同じ主張の識者の言い分だけで記事を作っている。

また、被害相談と被害は別物、という基本的事実すら忘れられている。

■8,原英史氏は、重大判決を報じなかった毎日新聞を糾弾

なお、原氏が毎日新聞をはじめマスコミを批判するのは、旧統一教会擁護が目的ではない。

「組織的な不法行為」を認定する判決が出たのに、その重大性を見抜けず、ろくに報道しなかった責任を問うている。

つまり、自らの失態を棚上げして、そんな失態などなかったかのように魔女狩りに等しい旧統一教会叩きをやっていることに、マスコミの支離滅裂ぶりを見ている。

自分の考えとは趣旨が違うが、鋭い指摘であり、傾聴に値すると思った。