今の日本人は旧統一教会のことになると、何を言っても許されると思っているようだ。こんなことで「反日無罪」の国、韓国を笑えるのか?
旧統一教会非難一色に染まり、誹謗・中傷雨あられ状態の日本。
- 1,菅野完氏が、毎日新聞の「ネット転載情報を転載しただけの報道」を批判
- 2,ネットの歪んだブログ記事を信じ込み、小山田圭吾叩きと五輪組織委批判をやった毎日新聞・山下智恵記者
- 3,養子縁組問題で信者の尊厳を踏みにじって恥じない早大・棚村政行教授
1,菅野完氏が、毎日新聞の「ネット転載情報を転載しただけの報道」を批判
しかしそんな中でも、あまりにひどいと注意喚起する記事も出始めた。それが『月刊日本』12月号に載った菅野完氏の寄稿だ。
菅野完氏といえば、日本会議を批判した本で名を上げた人。自分は日本会議の活動には敬意を払っているから、菅野完氏にはあまりいい印象がない。
しかし、この寄稿はもっともな内容で感心した。(但し、菅野氏は反統一教会陣営から足を洗う気はないようだ)
以下に、一部引用する。
同紙(毎日新聞)は11月7日と8日の両日にわたり、朝刊一面トップにこのような見出しを踊らせた。
「文鮮明氏『安倍派中心に』 89年発言録で判明 旧統一教会が政界工作」
「安倍氏側近と『会え』 文鮮明氏、06年に指示 首相就任直後」
見出しを読めばあたかも「毎日新聞が掘り起こした、統一教会と自民党安倍派の癒着に関するスクープだ」との印象を受ける。しかし記事の内容は全くそうではない。
単に毎日新聞が『文鮮明マルスム選集』(文鮮明の発言録。教団の経典の一つ)を読み込み(しかも実物ではなく、ネットに無断転載されていたものを読んだのだという)、当該発言を発見したというのだ。
有り体に言えば「文鮮明がそう言っていた」という話でしかない。
だからなんだというのか。
相手はカルト宗教である。教祖の発言の中に、一国の政治を左右するだの、その国を支配するだのといった文言が出てくるほうがむしろ自然なのだ。
武力による国家転覆路線に転じる直前のオウム真理教でさえ政界進出計画を有していたし、麻原彰晃は政治家に対して絶大な影響力を有していると嘯いてさえいた。
オウムや統一教会などの〝有名どころ〟カルトだけではなく顕正会や幸福の科学などのマイナーなカルトでも「政府を支配する」だの「日本を統治する」だのといった言動は横行している。
神だのメシアだのと自称する連中である。現実と大きくかけ離れていようとなんであろうと、自分を大きく見せたがるのが連中の性なのだ。
居酒屋の酔客が口にする大言壮語に報道価値がないのと同じように、カルトの教祖の大言壮語にはなんの報道価値もない。
一方、教祖の口走る大言壮語と現実の差を、教団がどのようにして埋めようとしているかについては、大いに報道価値がある。
オウム真理教が麻原彰晃の吐く大言壮語と現実との差異を埋めるためテロに走ったことからもわかるように、本来社会が注目し、報道が検証しなければいけないポイントは、まさにその点だ。
しかし毎日新聞は(今のところ)そうした仕事をせず、単に「ネットに転載されていた統一教会の教祖の発言」を転載しているだけである。
ほぼ同感だ。
同感できないのは、菅野氏が旧統一教会を「カルト宗教」と呼び、教祖が大言壮語するのはカルト宗教にはよくあると言っていること。
大言壮語は伝統宗教にだってある。キリスト教はイエスを「キリスト」「メシア」「神の子」と呼び、この人によらなければ救われないと言っているではないか。また、政教一致の理想を掲げるイスラム教は、すでにサウジアラビアのような政教一致国家を作っている。
これらは大言壮語ではないのだろうか?
2,ネットの歪んだブログ記事を信じ込み、小山田圭吾叩きと五輪組織委批判をやった毎日新聞・山下智恵記者
それはともかく、毎日新聞は、東京五輪直前に大騒動になったミュージシャン小山田圭吾氏の事件でも、同じようなことをやっていた。
この事件を検証した片岡大右氏によると、毎日新聞の山下智恵記者は、小山田氏の過去の「イジメ告白」を取り上げてボロクソに非難した偏見まみれの某ブログを、何の検証もなく信じ込み、こんな人物を採用した五輪組織委はけしからんと、いわば都合良く体制批判に利用したのだった。
しかも、わざわざ雑誌原典のコピーの写真を掲載して。「ちゃんと原典に当たってファクトチェックもしましたよ」とアピールしたわけである。
しかし、明らかになった事実は違っていた。
山下記者が下敷きにしたブログは、話題のブログではあったが、小山田圭吾氏への敵意に満ちていた。そのため、不当に小山田氏を貶める内容だった。
後に、小山田氏の関係者が期間限定で公開したメッセージや週刊文春の小山田氏インタビューなどによって、イジメの主要部分は事実無根だったことが明らかとなったのである。
これは要するに、当時、テレビやマスコミが煽りに煽った小山田圭吾批判は、全て誤報だったということだ。
もちろん、毎日新聞の山下智恵記者はファクトチェックをやっていなかった。
この場合のファクトチェックとは、ブログの引用文と原典の突き合わせにとどまらず、書かれていることの裏取りや事実確認である。
それがきちんとなされていなかった。原典コピーの写真の掲載はポーズにすぎなかったのだ。
しかし、毎日新聞に限らずマスコミ各社や、テレビ番組で彼を非難・中傷・罵倒しまくった芸能人たちが、誤報を認めて小山田氏に謝罪したという話は今に至るまで聞かない。
自分はこの事件を、発端から終結までざっくり追い続けた。タグ「小山田圭吾」の最後の方の記事がこれ ↓。
さて、日本は以前にも増して同調圧力の強い国、全員が一方向に一斉になびく国になってしまった。
3,養子縁組問題で信者の尊厳を踏みにじって恥じない早大・棚村政行教授
旧統一教会問題全般に言えることだが、養子縁組に関する産経新聞の報道はひどい。12月5日も一方的に旧統一教会を非難する記事が載っていた。産経ニュースでは12月4日付け。
生まれる前から約束して養子縁組すること自体、何ら法律に反することでもないのに、早大の棚村政行教授は、
「動画や教義に当たる『ハンドブック』などを通じ、養子縁組の考え方や細かな実施手順を定めている。実質的に教団による組織的なあっせんが続いていることは明白だ」
と決めつけた。
養子縁組の考え方や細かな実施手順を定めることは、あっせんとは違う。
棚村教授は日本語の意味がわかっているんだろうか。
あっせんは、間に立って具体的にAとBを引き合わせ、結びつけることだ。「養子縁組の考え方や細かな実施手順を定めること」が「あっせん」に当たらないのは明白ではないか。
にもかかわらず、「実質的に」という言葉を使って論理の飛躍をごまかし、教団が「組織的なあっせん」をやっていると断言している。
教団自身、かつてはそのようなことがあったと示唆してはいるが、法的に問題になるのは養子縁組あっせん法が施行された2018年以降のはず。
しかも、そもそもこの法律は、生まれる前から予定して養子縁組することを禁じたものではない。
産経記事には、
子供は別家庭へ送られる前提で生を受けることになり、棚村氏は「重大な人権侵害で、人身売買に類する行為」と話す。
とあるが、棚村教授が「重大な人権侵害で、人身売買に類する行為」と発言するに至っては、養子縁組した信者や子どもたちへの名誉棄損ではないだろうか。
自分の発言が、養子縁組で何の問題もなく幸せに暮らしている夫婦や子供たちを、どれほど侮辱し、傷つけ、その尊厳を踏みにじっているか、少しは考えてみたらどうか。
大学教授でしかも弁護士だというのに、その程度の想像力もないとは。実に不愉快だ。
旧統一教会がらみで、こうした人権侵害的発言がポンポン出てくるのは、日本人が宗教というものを知らないから、そして「信教の自由」の価値を知らないからだ。
宗教法人法は「信教の自由」を最大限尊重するという前提で作られた法律だが、条文を見ると、至る所にこう書いてある。
「宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない」(第25条第5項、第78条の2の第4項、第84条)
宗教の世界は世俗の世界とは異なる論理によって動いている。
したがって、それぞれの宗教の特性と慣習は、それが世俗社会から見ていかに特異なものであっても、世俗社会の法律に違反しない限りは尊重されなければならない。
「信教の自由」を大切にするとは、そういうことである。
世俗社会の法律の養子縁組あっせん法に違反することは許されないが、生まれる前からの養子縁組が「宗教上の特性と慣習」に当たるのであれば、それは容認されてしかるべきものだ。
棚村教授の「重大な人権侵害」とか「人身売買に類する行為」とかの非難は、宗教の世界に世俗社会の価値観を押し付けるもので、それ自体、宗教に対する無知と敵意を露骨に示したものだ。
旧統一教会の養子縁組を「重大な人権侵害」と言うのなら、棚村教授は、ユダヤ教の生後間もない男児への割礼やカトリック、一部プロテスタントの幼児洗礼、司教独身制をとるカトリック、教義上離婚を認めないカトリック、教義上改宗の自由のないイスラム教についても、大きな声で「重大な人権侵害だ」と国内外に向かって叫んでみたらどうか。
所詮は、旧統一教会が信者数の少ないマイノリティー宗教だから、偉そうに言っているだけだろう。こういうのを「弱い者イジメ」と言うのだ。