- 1,保守派の大御所、杉原誠四郎氏が「法治国家としてあり得ない常識を逸した統一教会叩き」と喝破
- 2,30年前に起きた山崎浩子さん脱会事件の裏も表も知り尽くしている(?)花田紀凱編集長
- 3,元信者が裁判を起こす背景には、拉致監禁による強制棄教がある
- 4,違法性が阻却される? 信じがたい郷路征記弁護士の詭弁と開き直り
- 5,「結果良ければすべてよし」と言いたいようだが、結果が良くなかったら(=棄教に失敗したら)どう責任をとるつもりだったのか?
- 6,山口広弁護士は今更だが、「強制はだめ」と発言。はしごを外された郷路征路弁護士!
- 7,拉致監禁されて脱会し、いやいや裁判をやらされた元信者は、勇気を出して真相を語れ!
月刊「Hanada」23年2月号が20日発売になった。毎月26日発売と思っていたので、新聞の広告を目にしたときは驚いた。福田ますみさんの連載は1回お休みのようだ。
1,保守派の大御所、杉原誠四郎氏が「法治国家としてあり得ない常識を逸した統一教会叩き」と喝破
代わって登場したのが元武蔵野女子大学教授の杉原誠四郎氏。一時期、新しい歴史教科書をつくる会の会長も務めた。教育学者で「宗教と政治」問題に詳しく、外交史に関する著作もある。
タイトルは「『統一教会魔女狩り騒動』を断罪~法治国家としてあり得ない常識を逸した統一教会叩き」。
本来ならこうした寄稿が雨後の竹の子のように出てこなければおかしい。
断片的なものは、櫻井よしこ氏や佐藤優氏はじめ何人かの識者が「旧統一教会叩きは魔女狩りだ、異常だ、宗教迫害だ」といくつかのメディアで書いて(述べて)いる。(月刊「WiLL」23年1月号、同11月特集号、産経新聞12月11日、同8月14日など)
まとまった寄稿も見かけるようになった。
元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士の寄稿(産経新聞10月2日、月刊「正論」1月号)やジャーナリスト福田ますみ氏の連載(「Hanada」12月号から)がそうだ。
元バチカン大使・上野影文氏の「問題の核心は『政教分離』の誤解」(月刊「Hanada」12月号)、ブロガー・藤原かずえ氏の「『魔女狩り社会』日本の病巣」(「Hanada」1月号)も注目すべき内容だ。
旧統一教会に批判的な立場から、マスコミや野党を批判する寄稿もいくつか発表されている。
教団の組織的不法行為判決を無視ないしベタ記事でしか報じなかった大手紙が、今になって旧統一教会解散キャンペーンをやっていることに異議を唱えた原英史氏(政策シンクタンク代表、月刊「正論」1月号)。
疑似科学の「マインドコントロール論」を批判したジャーナリストの青沼陽一郎氏(東洋経済オンライン12月1日)。
同じく「マインドコントロール論」を批判し、旧統一教会が「闇の政府」という妄想を打ち砕いた金沢大学教授で元信者の仲正昌樹氏(「正論」12月号)。
ネット情報を転載しただけで旧統一教会批判記事を作るマスコミや宗教法人法の解釈を一夜にして変えた岸田政権を批判した菅野完氏(著述家、「月刊日本」12月号)。
他にも、旧統一教会叩きに便乗して「家庭教育支援法・条例」を批判する人たちに対し、教育学者の高橋史朗氏が反論を書いている(モラロジー道徳財団サロン11月29日)。
こうしたマスコミ批判、政府批判は、今後増えこそすれ、減ることはないだろう。誰がどう見ても、7月以来の統一教会叩きは魔女狩り、集団リンチ、人民裁判にしか見えないからだ。
2,30年前に起きた山崎浩子さん脱会事件の裏も表も知り尽くしている(?)花田紀凱編集長
それにしても、次々と「旧統一教会叩き」を批判する論考を載せている月刊「Hanada」は、全国霊感商法対策弁護士連絡会や反統一教会活動家たちには脅威だろう。
なぜか。
「Hanada」の編集長、花田紀凱氏は、30年前、新体操でオリンピックに出場した山崎浩子さんの統一教会脱会事件当時、週刊文春の編集長だった。
山崎さんの脱会のプロセスを逐一報道したのが週刊文春だったが、花田氏は当然、このプロセスの裏も表も知り尽くしている。
山崎さんの脱会劇は、違法な拉致監禁の手段によって彼女を教団から引き離すところから始まった。
「結果よければすべてよし」で当時は違法な拉致監禁が不問に付されたが、2015年に「家族であっても信者を監禁することは違法」との民事判決(最高裁が上告を棄却、高裁判決が確定)が出て、霊感対策連絡会の山口広弁護士でさえ「強制はだめ」と言わざるを得なくなった。
反統一教会活動家たちは、口をそろえて「拉致監禁ではない。保護説得だ、脱会説得だ」と言うが、それがウソだということをおそらく花田氏は知っている。
3,元信者が裁判を起こす背景には、拉致監禁による強制棄教がある
「青春を返せ」裁判や、旧統一教会を相手とする裁判の多くで原告となったのは、違法な行為(本来は刑法の逮捕監禁罪)である拉致監禁によって棄教した元信者たちだ。
これまで数多くの裁判が起こされた背景にあるのは、拉致監禁による強制棄教である。中には、監禁状態から逃れるため偽装脱会したんだろうと疑われ、疑いを晴らすために訴訟を起こすよう強制された人もいる。
このカラクリが完全に明るみに出たらどうなるだろうか。
- 刑法の逮捕監禁罪に当たる行為を行っても、家族なら違法性が阻却される
- 家族の話し合いのためだから、拉致監禁ではなく、保護である
全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士や反統一教会活動家たちは、こういう身勝手な理屈で彼らの言う「保護説得」「脱会説得」(実態は監禁下での棄教の強要、説得)を行ったか、幇助(手を貸すこと)したか、関与したか、見て見ぬ振りをしたか、してきたのである。
「私達がやっている仕事の限りでは、統一教会は100%の悪」と豪語する霊感対策連絡会の郷路征路弁護士は、最近復刻した『統一協会 マインド・コントロールのすべて』(花伝社)の中で、次のように書いている(pp.259-260)。
親は対話のために、子どもが逃げることができないような環境を設定せざるをえなくなる。(中略)これらの親の行為をとらえて、統一協会は拉致監禁と批判している。
しかし、そのような親の行為は刑法上監禁罪にあたるものではない。
親が知らずして犯罪行為を犯している子どもについて、その犯罪行為をやめさせるために話しあい、説得の場をもつことが犯罪行為を行なわせている統一協会によって妨害されている状態なのである。
親として子どもとの話し合いの場を確保するために最低限の行為を行なうことは、知らずして犯罪行為を行なう子どもの看護という視点からも、社会に対する責任という視点からも、刑法35条の正当行為(法令又ハ正当ノ業務ニ因リ為シタル行為ハ之ヲ罰セズ)として、その行為の違法性を阻却されるのである。
このくだりを読んだ時は心底驚愕した。これが弁護士の言うことだろうか。驚くべき詭弁だ。
ちなみに、1943年北海道生まれの郷路征記(ごうろ・まさき)弁護士の暴言「統一教会は100%の悪」については、10月16日の拙ブログで取り上げた。
4,違法性が阻却される? 信じがたい郷路征記弁護士の詭弁と開き直り
「犯罪行為を犯している子ども」と言うが、それが事実なら、親は自分の子どもを脱会させた後、「犯罪行為」の実行犯として子どもを警察に出頭させなければいけないはずだ。
当然だろう、子どもは「犯罪行為」を行っていたのだから。
知らずしてやっていたということなら酌量の余地はあるだろうが、「犯罪行為」の中身によっては起訴されることがあるかもしれない。それを分かった上で子どもを警察に引き渡した親は何人いるのか?
実のところ、親が子どもを「逃げることができないような環境」に閉じ込めて棄教させた後、子どもを警察に引き渡したという話は聞いたことがないし、読んだこともない。
しかし、犯罪行為を犯した子どもを、棄教したからといってそのままにしておいていいはずがない。犯罪は犯罪である。やったことをなかったことにはできないはずだ。
郷路弁護士は過去、何人の信者を棄教後、警察に引き渡したのか、是非教えていただきたいものである。
また、郷路弁護士は「犯罪行為を行なわせている統一協会」とも書いている。
この本は復刻版であり、旧版は1993年に刊行された。当時、宗教法人統一教会が刑法上の犯罪を信者に行わせていたというなら事は重大だ。なお、「犯罪」という言葉は通常、民法上の不法行為を含まない。
ここでも郷路弁護士にお伺いしたい。統一教会は信者に犯罪行為を行わせていたのだから、当然、警察に摘発され、有罪になったはずだ。それはいつか? 容疑は何で、司法ではどんな確定判決が出たのか?
(もちろんそんな判決は出ていない。出ていないから岸田首相は、「民法上の不法行為だけでも解散命令の請求はできる」という趣旨の答弁を国会で行ったわけだ)
聞きたいことはまだある。
「子どもが犯罪行為を犯している」がもし事実なら、警察に通報して逮捕してもらえばよかったではないか。なぜそうしなかったのだろう?
お仲間の紀藤正樹弁護士は、子どもを教団から楽に引き離す方法は警察に逮捕されることだと言っている(『決定版 マインド・コントロール』アスコム、p.169)。
信者を警察の管理下に置くことで、教団に邪魔されずにとことん脱会の説得を行うことができるからだという。
こんな楽な方法があるのに、わざわざ子どもを「逃げることができないような環境」に閉じ込めた理由を知りたいものだ。
それをする際は、身体的拘束を行い、有形力を行使し、本人の意に反して連れ去った上、アパートやマンションの一室に閉じ込める例が多数報告されている。
5,「結果良ければすべてよし」と言いたいようだが、結果が良くなかったら(=棄教に失敗したら)どう責任をとるつもりだったのか?
「結果良ければすべてよし」で済む話ではない。子どもといっても、相手は成人した大人である。
結果が良くなかった場合、すなわち棄教させることに失敗したり、信者が逃げ出す際に怪我をしたり入院する羽目になった場合は、どうするつもりだったのか。
あるいは、脱出に成功したものの、再度「逃げることができないような環境」に閉じ込められるのを恐れ、家族に居場所を知られないように各地を転々としなければならなくなり、不安ゆえにPTSDを発症したり、鬱病になったりした場合、いったい誰が責任をとるのか。
親が対話のため、子どもが逃げることができない環境を設定することを肯定している郷路弁護士は、上記のような結果が生じても、当然、家族とともに責任を負ってくれるんでしょうね。
12年5カ月監禁された後藤徹氏の裁判は、2015年に原告勝訴が確定した。
そこでは、家族が行った「監禁」「行動の自由の制約」が違法と判示された。これを幇助した者も「共同不法行為責任」があると断罪され、損害賠償の支払いが命じられた。
つまり、郷路弁護士の言う「違法性の阻却」は認められなかったのである。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士なら、後藤徹氏裁判とその判決を知らないはずがない。知っていてなお、こんな不届きなことを書いた旧版を復刻するとは大した度胸である。
この記述が問題になっても「旧版を復刻しただけだから」と言い逃れできる。そう踏んだ上での復刻なのかもしれない。
6,山口広弁護士は今更だが、「強制はだめ」と発言。はしごを外された郷路征路弁護士!
お仲間の山口広弁護士は、後藤徹氏裁判の判決を受けて「強制はだめ」と言うようになった。
下記ウェブサイトでインタビューを受けた山口弁護士は、最後の質問のところでそう語っている。
ーー教会側は、信者が牧師や改宗業者らによる拉致監禁・脱会強要の人権侵害に遭ってきたと主張し、「12年5ヶ月間監禁された当法人信者が加害者側を提訴した事件で同信者は、東京地裁、高裁、最高裁と全面勝訴し、数千万円もの損害賠償を命ずる判決は連絡会弁護士らの主張を退けました」と説明しています。
山口 確かに2014年に地裁判決が出て、その後最高裁で確定しています。(中略)
よかれと思ってやる家族と、冷静に話し合って、本人も納得して、というプロセスは大変だけど、強制はだめ。入会して活動している本人の気持ちをよく聞いて、対応することが必要です。
山口弁護士はこの期に及んでまだごまかしているが、ここは「2014年に高裁判決が出て」と言うのが正しい。
なぜなら、同年1月の地裁判決は不法行為への認定が甘く、損害賠償額も極めて少なかったからだ(実行者の家族3名に483万円)。
これを修正して原告の主張をより多く認めたのが同年11月の東京高裁判決である。裁判長は実行者の家族3名に2200万円の損害賠償を命じた。
12年以上の監禁期間とその間の原告の精神的、身体的苦痛を考えれば、桁が1つ少ない気がするが、それでも地裁判決の5倍である。
しかも、高裁判決は「脱会カウンセラー」の新津福音キリスト教会の松永堡智(やすとも)牧師について、家族の違法行為を「黙認」「鼓舞」「幇助」したと認定。
「脱会屋」の宮村峻氏は「幇助」「棄教の強要」を行ったとして、「共同不法行為責任を負う」と判示した。
山口弁護士は、よほど悔しかったのだろう。「地裁判決が出て、その後最高裁で確定しています」などとごまかしている。確定したのは地裁判決ではなく、高裁判決だ。弁護士なのだから、いい加減なことを言ってもらっては困る。
それでも、判決の重大性は認識したと見えて、この時のインタビューで「強制はだめ」と(渋々?)明言した。
ある意味、山口広弁護士は機を見るに敏なのかもしれない。
一方の郷路征記弁護士はどうか。
30年前に出した旧版をわざわざ復刻して「違法性は阻却されるから、刑法上監禁罪には当たらない」と以前の主張を繰り返した。
郷路弁護士は、自分が仲間によってはしごを外されたことに気付いていない。2014年の高裁判決が最高裁で確定した以上、もはやこんな主張は通用しないのだ。山口弁護士の「強制はだめ」発言が、そのことを雄弁に物語っている。
『統一協会 マインド・コントロールのすべて』は郷路弁護士にとっては記念碑的作品なのだろうが、今では時代錯誤の代物である。
いずれにせよ、詭弁を弄してこんな悪質な行為を容認してきた弁護士に「被害者の救済」や「人権」を語る資格があるとは思えない。
7,拉致監禁されて脱会し、いやいや裁判をやらされた元信者は、勇気を出して真相を語れ!
拉致監禁されて脱会し、裁判の原告となった元信者の中には、
- 「弁護士や反統一教会活動家たちに強制され、いやいや裁判をやらされた」
- 「徹底して統一教会を憎むよう仕向けられ裁判を起こしたけれど、後になってみると虚しい」
などと後悔している人がいるはずだ。
自分が望むのは、そういう人たちに勇気を出して自分の体験と真相を語ってもらいたい、ということだ。
正義の味方を装った全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士や反統一教会活動家たちの仮面を引き剥がし、今こそ彼らの闇を白日の下に晒そうではないか!
杉原誠四郎氏の寄稿は、それのみ電子版で購入できる。が、自分は紙で読みたいので書店で買うつもりだ。
民主主義国家としてありえない「統一教会魔女狩り報道」を断罪する|杉原誠四郎【2023年2月号】 – 月刊Hanada<プレミアム>