世界的に著名な宗教社会学者、マッシモ・イントロヴィニエ氏が昨年10月、『The Assassination of Shinzo Abe and the Unification Church(安倍晋三暗殺と統一教会)』という著作を出版した。
山上裁判が始まる前の段階で、著者がイタリアから日本の統一教会叩きを眺めながら、宗教社会学者として事態をどのように整理したのかがわかるはずだ。
UPFの魚谷俊輔氏の動画解説によると、宗教社会学における世界の主流は、「反カルト運動」には距離を置いているそうだ。それはそうだろう。
学問である以上は、研究対象に対しては是々非々の態度で臨まなければならない。対象を最初から「カルト」と決めつけ、その解散や解体を求める運動とは距離を置くのが当然だ。
いや、むしろそんな運動は、宗教社会学者の立場からは厳しく批判すべきものだろう。
そこが日本の、最初から「反カルト」「反統一教会」を標榜している凡百の宗教社会学者らと違うところである。
本物の宗教社会学者なら、旧統一教会信者に対して絶え間なく行われてきた「拉致監禁による強制棄教」という行為を見逃すはずがない。
脱会カウンセラーと称するキリスト教の牧師、脱会を請け負う脱会屋、彼らと連携する全国霊感商法対策弁護士連絡会など反統一教会勢力によって巧妙に隠されてきた「拉致監禁による強制棄教」という非道な犯罪行為に目もくれない宗教社会学者とは、一体何なのだろうか?
旧統一教会問題に関わりながら、この犯罪行為を告発しようとしない宗教社会学者はすべて偽物と言っていい。そんな連中は「宗教社会学者」を名乗る資格もないと自分は思う。
また、本物の宗教社会学者なら、疑似科学のマインド・コントロールなどを持ち出すはずがない。
反統一教会の論陣を張る宗教社会学者、櫻井義秀氏は、かつてはマインド・コントロール批判派だったが、いつの間にか転向したようだ。
これについては魚谷俊輔氏、そして櫻井義秀氏自身が面白いことを書いているが、別の機会に譲る。
【マッシモ・イントロヴィニエ氏の略歴】
Massimo Introvigne(1955 年 6 月 14 日ローマ生まれ)はイタリアの宗教社会学者。
新宗教運動を研究する学者の国際ネットワークである新宗教研究センター(CESNUR)の創設者であり、マネージング・ディレクター。
宗教社会学の分野で約70冊の本と100以上の記事がある。イタリアの百科事典(イタリアの宗教百科事典)の主な著者 。Interdisciplinary Journal of Research on Religionの編集委員会のメンバーであり、カリフォルニア大学出版局のNova Religioの執行委員会のメンバーでもある。
2011年1月5日から12月31日まで、欧州安全保障協力機構(OSCE)の「キリスト教徒や他の宗教のメンバーに対する差別に特に焦点を当てたレイシズム、外国人排斥および差別との闘いに関する代表」を務めた。
2012年から2015年まで、世界規模で「信教の自由」の問題を監視するために、イタリア外務省によって設立された「信教の自由の天文台」の議長を務めた。
マッシモ・イントロヴィニエ氏の英書は100ページほど。アマゾンで一部試し読みができる。
しかし、日本人としては、わが国の元宰相の暗殺事件を扱った著作であるだけに、日本語で読みたいし、また多くの日本人に読んでもらいたい本だ。
どこか良識ある出版社で翻訳して刊行してもらえないだろうか?