吊りしのぶ

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除名問題で「結社の自由」を持ち出す共産党。ならば、なぜ「結社の自由」を無視して自民党に「旧統一教会との関係を断て」と迫ったのか?

党首公選制の導入を訴えた松竹伸幸氏(ジャーナリスト)を除名した日本共産党の対応を批判した朝日新聞に、志位和夫委員長が猛然と反論。ところが朝日を産経と言い間違えてズッコケ。

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それはともかく、除名の理由は「党規約違反だから」というもの。さらに「結社の自由」を持ち出して、批判は不当だと言い出した。

「はっきり申し上げておきたいが、『結社の自由』をどう考えているのかと思う。結社に自由に加入する自由とともに、結社が自主自立的に運営する自由、両方を認めているわけだ。結社の自由を全く無視して、乱暴な攻撃だと、それを大手新聞を名乗る産経新聞が社論として掲げた…」

ならば問いたい。共産党はなぜ、自民党に対し「旧統一教会との関係を断て!」と執拗に迫ったのか?

自民党にも結社の自由はあるわけで、その自民党に対し何度も何度も繰り返し「旧統一教会との一切の関係断絶」を迫ってきたのは日本共産党ではないか。

結社の自由の趣旨からいえば、本来、自民党がどこの宗教団体およびその関連団体と付き合おうが勝手のはず。

それは自民党が主体的に決める問題で、他党がとやかく言う筋合いのものではない。

にもかかわらず、日本共産党は、今回の事件が起きるはるか昔からずっと、自民党に対し「旧統一教会と手を切れ」と言ってきた。

これは一種の内政干渉だ。それを自民党に対しては営々と続けておきながら、自分たちが批判されると「結社の自由があるのだから批判は不当」と言い出す。

朝日新聞の批判が不当だというなら、自分たちが自民党を攻撃したことも不当ということになるが、志位氏は自分がどれだけ矛盾したことを言っているのか分からないようだ。

他者を批判するときは、批判する材料さえあれば大衆を煽って感情的に攻撃するくせに、自分たちが批判されると理屈を持ち出して反論するダブルスタンダード。

これが共産党(立憲民主党もそうだが)の本質ということだろう。

産経ニュース23年2月9日より

自民党の規約に「旧統一教会とその関連団体とは関係を持たない」という内容はないし、策定されたばかりの党の行動指針(ガバナンスコード)にもなかった。

自民党のガバナンスコードとは、東京新聞ウェブ版22年9月25日によると、

党運営の指針。2019年の参院選広島選挙区を巡る買収事件など「政治とカネ」の問題が相次いだことを受け、岸田文雄首相が2021年の党総裁選で提唱。22年5月に策定された。

コンプライアンス(法令順守)研修の受講徹底などで「国民からの信頼確保に努める」と定め、国会議員の政治資金の扱いなどに疑義があれば「国民に丁寧な説明を行う」と明記する。

というものだ。

その自民党に対し、「結社の自由」などお構いなしに「なぜ旧統一教会との関係を断たないのか」と攻撃しまくってきたのが日本共産党だ。

今さら「結社の自由」を持ち出すとは片腹痛い。どの口が言うのか、と批判されてしかるべきだろう。

【22年8月4日、自民党に旧統一教会と関係を断てと要求する小池晃書記局長。動画の3分あたりから。】

www.youtube.com

8月31日の記者会見で、岸田首相は自民党と旧統一教会の関係断絶を表明。

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これに基づいて、自民党は党のガバナンスコードを改定した。その中身は東京新聞22年10月26日によると、次の通り。

改定した指針は「活動の社会的相当性が懸念される組織・団体」との関係について、新たに規定。政治的な影響を受けることや、活動を助長すると誤解される行動は「厳に慎む」と明記した。自民党の政策を不当にゆがめたり、相手に「お墨付き」を与えたりするのを避ける狙いがある。

「懸念される組織・団体」という非常にあいまいな規定だ。「懸念される」と言うが、懸念する主体は誰なのか。党総裁か、党幹事長か、それとも党執行部か。その懸念が的外れだった場合はどうするのか。

「懸念」は「疑惑」と同じで、それが真実という保証は全くない。疑惑が濡れ衣だったことはいくらでもあるではないか。

こんなあいまいな規定で事実上、関係を断つというのだから、これではもう自民党は国民政党とは呼べない。

もっとも、自民党としては、党総裁が「関係を断つ」と宣言したものの、旧統一教会は反社会的団体ではない。そうである以上、「反社会的団体との関係を断つ」とは書けなかったのだろう。

そこで上記のような表現に落ち着き、「関係を断つ」ではなく、「厳に慎む」とレベルを一段下げた。

これは地方組織への配慮とも言える。中には、関係を断つのは行き過ぎだと考える地方組織もあるからだ。

「厳に慎む」とあるが「関係を断つ」とは書かれていないという理由で、ガバナンスコードに反したことにはならないと弁明できる余地を残したといえる。

これで自民党と旧統一教会&関連団体との関係は、首の皮一枚残してギリギリつながったと見ることもできる。