文科省は3月1日、統一教会に対して4回目の質問権を行使した。過去3回質問してなお新たに110項目も質問するという異常事態だ。
何回質問しようと何も出てこないのはわかりきった話である。質問権は捜査権とは違うし、統一教会も警察や検察から取り調べを受けているわけではない。
文科省は22件の民事事件だけでは解散請求はできないという立場。だから質問権を行使して新たな“罪状”を積み上げようということだが、そもそもこの考え方自体が間違っている。
刑事事件を起こしていない統一教会を犯罪者扱いして、「おとなしく証拠を出せ」と言っているようなものだ。無礼千万な話で、教団は表向き「誠意を持って対応します」と言っているが、内心ははらわたが煮えくりかえっているに違いない。
教団側が4回目の質問権行使にどう対応するのか知らないが、刑事被告人ですら黙秘権が認められているのだから、刑事事件と無縁な宗教法人の統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が文科省が期待するような回答をする必要は全くない。
だいたい下手をしたら解散につながってしまうような証拠を、自ら進んでお上に差し出すバカはいない。子どもでも分かる理屈だ。
証拠が欲しければ捜査当局が強制捜査するしかないが、刑事被告人でない統一教会に対して強制捜査はできない。だから文科省が期待するような証拠は絶対に出てこない。
そもそもそんな証拠が存在すること自体、自明ではないのだ。「悪いことをした証拠があるはずだ」というのは、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)のただの臆測だろう。
文科省も政府も、いずれ全国弁連とタッグを組んだことを後悔する時がくるんじゃないか。
ところで、『FRIDAY』2023年1月20・27日号で鈴木エイト氏はこう述べていた。
「’23年の1月か2月中には解散命令請求が出て、早ければ夏頃には地裁で命令が下されます。国は教団解散に向けて本気で動いている。裁判で確実に主張が認められるよう、現在は文化庁を中心に証拠集めを徹底的に行っていると思われます」
だが、この「予言」は見事に外れた。去る2月に解散命令請求は出なかった。
宗教法人にとって解散は死刑宣告に等しい。解散となれば、法人名義で蓄積した財産は全て没収されるからだ。宗教法人法にはそう書いてある。
「解散しても宗教団体として存続できる、ただ免税資格がなくなるだけ」などともっともらしい解説をする輩がいるが、とんでもないデマだ。
「解散させられた宗教法人」という汚名を着せられ、なおかつ法人財産は全て取り上げられる。これでどんな宗教活動ができるというのだろう。
初期ローマ帝国時代のキリスト教のような立場になると考えれば分かりやすい。解散とはそれほどの重大事である。
それゆえ政府が解散命令請求を出すということは、裁判で検察が死刑を求刑するようなものだ。
そういう残酷なことが、遅くとも2月末までに行われると鈴木エイト氏は公に断言し、統一教会とその信者を震え上がらせた。これは脅し、一種の脅迫だ。
デタラメなことを言って信者たちを恐怖のどん底に突き落とし、いたぶった鈴木エイト氏。本人は予言者気取りなんだろうが、外れた以上、知らん顔では済まされない。
いったいジャーナリストとして予言を外した責任をどう取るつもりなのか?
統一教会と信者たちに「脅かしてごめんなさい」と謝罪し、筆を折って1年間くらい謹慎すべきだろう。