吊りしのぶ

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「時効になった分も返せ!」と統一教会に驚くべきゴリ押し。法律を無視した不当な集団交渉、拒否は当然だ

1,「全国統一教会被害対策弁護団」による第1次集団交渉を統一教会が拒否

統一教会が、男女50人計約16億1100万円の損害賠償を求める第1次集団交渉の要求に対し、拒否を回答してきたという。当然である。

交渉の主体は「全国統一教会被害対策弁護団」。ウェブサイトを見ると、トップページの写真には全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の中心メンバー紀藤正樹弁護士、山口広弁護士が写っている。全国弁連が中心になって組織したんだろう。

まずは産経ニュースの記事から。

www.sankei.com

「全国統一教会被害対策弁護団」のウェブサイトも確認しておこう。

www.uchigai.net

2,個別交渉は昨年から行われてきたが、不満や非難の声は聞かれない

報道によれば、教団側は「献金を返してほしい」という申し出には誠実に対応するとしていて、実際に個別交渉は昨年から行われてきた。

今のところ、交渉に対する不満の声や教団の対応を非難する声などは聞かれない。実際どうなのかは分からないが、少なくとも報道では目にしない。

ということは、統一教会は言葉通り、返金の求めに誠意をもって対応しているのだろう。だったら、今回の第1次集団交渉に参加した人たちも、個人で教団に対し直接「お金を返してくれ」と言えばいいではないか。

なぜわざわざ政治的な匂いがプンプンする「全国統一教会被害対策弁護団」なる怪しげな団体に頼って集団交渉を行うのか?

3,「おたくも集団交渉に加わりませんか」と口説いて回る弁護士たち

自分が見たテレビ報道では、弁護士が「おたくも集団交渉に加わりませんか」と元信者らしき人物を口説いているシーンが映っていた。その人は「期間はどれくらいかかるんですか」というようなことを弁護士に尋ねていた。

どうやら、この第1次集団交渉、教団との個別交渉に乗り気でないような人たちに「みんなで交渉すれば絶対お金を取り戻せますよ」と言って参加を促し、集団の力で統一教会を圧倒して、有無を言わさず返金させるのが目的のようだ。

4,弁護士のくせに「時効になった分も返せ!」と法律を無視して居丈高な要求

そう考えざるを得ないようなことを「弁護団」は言っている。

www.sankei.com

弁護団は、教団側が昨年9月に「過度な献金」の存在を認め、返金の申し出には誠意を尽くして対応すると公言したと指摘。「教団は時効の成立などを主張せず、真摯にすべての被害に向き合うよう求める」としている。

こんな記事を平気で書く記者も記者だが、言う方はもっとイカれている。

「時効の成立を主張するな」って、なんだそれ???

弁護士のくせに、法律を無視しろと教団に要求している!

時効になったものまで金返せって、そんな話が通ると本気で思っているんだろうか。

これはもう、彼らの言う「被害額」なるものが、水増しされた過大な金額だと自ら白状したようなものだろう。

交渉に参加した50人は、なぜ個別に教団と交渉しないのか? 「これこれの金額の献金や物品購入は不当なものだった」と本気で思うなら、そしてその主張に合理的な根拠があると思うなら、個別に話し合えばいいではないか。

それをしないで集団交渉をやるということは、本来なら返金されないようなものまで取り返そうという下心があるからではないのか。

時効が成立した分は、個別交渉では当然、返ってこない。

しかし、集団交渉なら、それも紀藤弁護士や山口広弁護士のような超大物弁護士が率いる大勢の弁護団が付いているから、ひょっとした返ってくるかも。

そんな思惑があるんだろう、おそらく。

5,裁判になれば、返金要求額が全額認められることは、まずない

教団側の回答次第では集団提訴も検討する。

と記事にあるが、提訴した方が返金額は少なくなるんじゃないの?

裁判となれば、「違法な正体隠し伝道で伝道され、いつの間にか信者にされていた」なんて主張しても、裁判官は「ハイ、そうですか」と認めてはくれないよ。

裁判では、

  • 本当に「正体隠し伝道」だったのか、
  • 統一教会と分かっていてもやはりビデオセンターに行ったのでは?
  • 献金は本当に強要されて仕方なくしたのか、
  • それは後付けの理屈で、当時は本気で信じていたのでは?

といったことを、一つ一つ厳密に吟味される。

6,「違法な正体隠し伝道」というプロパガンダ。正体隠し伝道を禁じる法律はない!

口を開ければ「違法な正体隠し伝道」と彼らは言うが、正体隠し伝道を禁止する法律はどこにもない。それは取り締まりの対象ではないのだ。

したがって、彼らの言う「正体隠し伝道」が違法かどうかは、裁判を通じて伝道した側、された側双方の言い分、その時の状況などをつまびらかにし、裁判官がそれらを子細に吟味して初めて判定が下される。

言い換えれば、自動的に違法と判定できるような基準は存在しないのである。

吟味の結果、自らの意思で入信したと判断されれば、その後の物品購入や献金は自発的であった可能性が高くなる。つまりお金は返ってこない(もしくは減額される)。

仮に正体隠し伝道と判定されても、その後の活動に自発性の要素が大きければ、「物品購入させられた」「献金を強制された」などと主張したところで説得力はない。この場合もお金は返ってこない(もしくは減額される)。

過度に不安を煽られ、正常な判断力が失われていたかどうかも、争点になるだろう。ここでも、物品購入や献金を自動的に「被害」と判定するような基準は存在しないから、一人一人について厳密に吟味しない限り、答えを出すのは困難だ。

7,集団交渉は、数をたのんでゴリ押しし、一方的な要求額を無条件で返金させるのが目的か

実際、22件の民事裁判の判決のいくつかを読んでみたが、原告の損害賠償請求額は部分的にしか認められていない。満額回答で原告が勝訴したケースなんかない。

一方、統一教会は「教会側が勝訴した判決もある」と言っている。ということは、請求がまるごと却下されたケースもあるということだ。

こうしてみると、個別交渉をやっても、裁判を起こしても、返金額が少なくなることは明らかだ。

それが嫌なんだろう。弁護士たちは、「集団交渉なら、数をたのんで圧力をかければ全額返金も夢じゃない、時効が成立した分まで取り返せる」と考えた。そういうことではないか。