- 1,旧統一教会が「解散命令請求の不行使」を求め、4回にわたり文科省に申し入れ書を提出していた
- 2,白々しいNHKの報道。だが他のマスコミよりはまし
- 3,NHKと時事通信を除き、申し入れ内容を報じた全国紙、地方紙、民放、週刊誌は皆無
- 4,紀藤正樹弁護士は、オウム真理教の解散命令に強く反対していた
- 5,宗教法人法の専門家が認めざるを得なかった申し入れ書の説得力
- 6,統一教会が公開した文科省宛ての申し入れ書の要旨
- 7,国民が知らされてこなかった驚くべき事実の数々。これはまぎれもない宗教迫害だ!
1,旧統一教会が「解散命令請求の不行使」を求め、4回にわたり文科省に申し入れ書を提出していた
旧統一教会が「解散命令請求の不行使」を求め、過去4回にわたり文部科学省に申し入れ書を提出していた。これを最初に報じたのは3月16日のNHKだ。
NHKのウェブでは以下の記事が公開されている。
これを後追い取材したのが時事通信で17日に概要を報道した。
NHKは文科省からのリークなのか、教団側弁護士が提出した申し入れ書を入手し、その内容をごく簡潔に紹介している。
また「解散命令請求に関する教団側の具体的な主張が分かったのは初めて」としている。
2,白々しいNHKの報道。だが他のマスコミよりはまし
NHKは「教団側の具体的な主張が分かったのは初めて」としれっと書いているが、何のことはない、これまで自分たちが教団側に取材してこなかったと白状しているようなものだ。
これが我々国民の受信料(という名の税金)で運営されているNHKのずさんな実態である。
信教の自由を尊重し、公平・公正な報道を心がけるなら、「解散命令請求に対する教団側の具体的な主張」は自ら進んで旧統一教会に取材し、きちんと報じるべきだろう。
それをしないで偏向報道を繰り返してきたくせに、自らの非と怠慢を棚に上げて、「初めて彼らの主張が分かりました!」とまるで独自スクープでもしたかのように報じている。
3,NHKと時事通信を除き、申し入れ内容を報じた全国紙、地方紙、民放、週刊誌は皆無
それでも、まだNHKはいい方だ。後追い報道をした時事通信を除き、この件(4回にわたる申し入れ書提出の事実と申し入れ書の内容)を報じた全国紙、地方紙、民放、週刊誌は皆無である。
なぜ彼らは報じないのか? 考えられる理由はただ一つだ。
申し入れ書には、旧統一教会批判と魔女狩り報道に血道を上げてきた彼らにとって都合の悪いこと、国民に知らせたくないことが書かれているから。
これしか考えられない。
4,紀藤正樹弁護士は、オウム真理教の解散命令に強く反対していた
1例を挙げれば、今日、「統一教会を解散させよ」とヒステリックなまでの主張を繰り返している紀藤正樹弁護士は、オウム真理教の解散命令には強く反対していた。
もう30年近く前のことだ。
ほとんどの国民はこの事実を知らないと思われる。知れば、大半の人が「えっ、そうなの?」と思うのではないか。
もう1つ例を挙げよう。
申し入れ書は、民法上の不法行為は解散命令請求の理由にならないとし、それが確立した判例だと指摘している。
この判例を無視しろと公然と要求したのが立憲民主党であり、その要求に屈して質問権行使に踏み切ったのが岸田内閣である。
ところがどうだ。民法の不法行為だけで解散命令請求をすれば、行政府が法解釈を変更したことになるが、いま国会で議論されている放送法の解釈をめぐる問題では、立憲民主党はなんと「政府が法解釈を変更した。許されない!」と言って高市早苗大臣(元総務相)を追及しているのである。
これって典型的なダブルスタンダードではないか。
統一教会に対し解散命令を請求せよと先頭に立って岸田内閣を攻め立てたのは立憲民主党である。
昨秋、「なぜ法解釈を変更して教団を解散させないのか」と政府に迫っていた立憲民主党が、今は「なぜ安倍内閣は放送法の解釈を変えたのだ。解釈を元に戻せ」と言っている。
全く啞然とするほかないご都合主義だ。その時々でころころ判断基準を変えて平然としているのが立憲民主党であり、岸田内閣である。
法解釈の変更は問題だとして野党と一緒になって高市大臣を批判しているマスコミとしては、統一教会サイドの指摘(=民法上の不法行為で解散命令請求を行うのは法解釈の変更で不適切)は耳が痛いに違いない。
5,宗教法人法の専門家が認めざるを得なかった申し入れ書の説得力
さて、NHKニュースで面白いのは、申し入れ書の内容について問われた「宗教法人法に詳しい近畿大学の田近肇教授」が、事実上、申し入れ書の説得力を認めてしまっていることだ。
田近教授はこう語っている。
「過去の事例とのバランスを考えるという発想自体は理解できないわけではないが、教団側が示している過去の事例の中には今回の問題を考える時の比較対象として必ずしも適さないものが含まれているとみられ、説得力にやや疑問符がつくのではないか」(NHKニュースから)
どうだろう、この言い方。
- 「理解できないわけではない」(=ある程度は理解できる)
- 「必ずしも適さないものが含まれている」(=適しているものが多い)
- 「説得力にやや疑問符がつく」(=かなりの程度、説得力がある)
もし教団側弁護士の提出した申し入れ書が評価や論評に値しないもの、組織延命のための小手先の弁明に過ぎないものであったら、このような言い方になるだろうか?
教団サイドの言い分に理がなければ、
- 「理解できない」
- 「不適当なものばかりが含まれている」
- 「説得力は全くない」
といった表現になるはずだ。だが、田近教授はそうは言っていない。
おそらく相当に説得力のある、根拠も明確な内容が書かれていると考えられる。そうでなければ、こんな持って回った言葉遣いをするはずがない。
申し入れ書の内容にはかなりの説得力がある。だからこそ、全ての全国紙、全ての地方紙、全ての民放が、統一教会側の4回にわたる申し入れ内容を無視して報じなかったのである。
6,統一教会が公開した文科省宛ての申し入れ書の要旨
その内容についてもっと詳しく知りたいところだが、NHKは「統一教会を擁護するのか!」と批判されるのを恐れたのだろう、全文を入手したのに公開していない。
公開した一部の要旨も、申し入れ書のポイントを外したどうでもいい箇所ばかり。
ところが、統一教会が24日になってダイジェスト版を公開した。
同教団がダイジェスト版を公開した申し入れ書は3通で、2022年12月14日、2023 年1月4日、2月3日のもの。
1総論
宗教法人法81条1項の解散事由を満たさない。「組織性・継続性・悪質性」のいずれもない。
よって、貴省による解散命令の請求は認められない。
2解散事由の厳格な解釈
戦前の宗教迫害の反省の上に成立した宗教法人法の制定経緯等に鑑み、宗教法人の解散事由は、他の法人の解散に比べ、厳格な解釈が要求される。
(1) 「著しく」「明らか」「必要でやむを得ない」
法81条1項1号は、「著しく」公共の福祉に反することが「明らか」という、他のどの法人の解散事由にもない最も厳格な法文の表現をしている。オウム真理教最高裁判決でも、信教の自由(憲法20条) の重要性を挙げた上で、解散命令を「必要でやむを得ない」と判断した。
(2) 「法令」には民法を含まない
会社法や一般社団・財団法人法の解散事由は法文上、「刑罰法令に触れる行為をした場合」である。会社法等が「刑罰法令」違反に限定しているのに、宗教法人の解散で広く不法行為を含むのは、著しく均衡を欠く。
それゆえ、法81条1項1号の「法令」には民法を含まない。これが確定した判例である(オウム真理教高裁決定、平成7年12月19日)。
約30 人を殺害したオウム真理教よりも、家庭連合に対し、より広く解散事由を解釈することはできない。判例に反する判断は国民の予測可能性を奪い、信教の自由を侵害する。
3「組織性・継続性・悪質性」の3要件を満たさない
(1) 組織性なし
家庭連合に関する裁判例(民事・刑事)のいずれも、組織性を認めていない。「組織性」の判断基準は、「代表役員等(幹部)が信徒等の行為を利用した」関係にあることである(オウム真理教高裁決定)。
家庭連合のどの幹部も信徒の行為を利用していない。
しかも、貴省が「組織性」の理由として挙げた使用者責任に関する22の裁判例を分析すると、その約半分で(金額で48%、項目で50%)、家庭連合が勝訴している。
(2) 継続性なし
2009 年の家庭連合のコンプライアンス宣言後、ほぼ紛争は発生していない。献金裁判の数は、2009 年以前の165 件から、41分の1の4件(敗訴金額では287 分の1) に減少し、しかも、2016年3月以降の最近7年間、裁判は1つも提訴されていない。
(3) 悪質性なし
貴省は、使用者責任の裁判22件で家庭連合が14 億円敗訴したことを悪質性の理由として挙げたものの、11億円は家庭連合が勝訴している。
集団暴行殺人等の刑事事件を犯し、より悪質な他の5つの宗教法人(顕正会、法の華三法行、神慈秀明会、紀元会及び空海密教大金龍院)に対し、貴省は解散命令を請求してこなかった。家庭連合のみに解散命令を請求するのは、極めて不公平である。
また、念法眞教と法友之会は、教祖が信者へ強姦や集団リンチ殺人したことを理由に解散命令請求がされた(法友之会の教祖には刑事裁判で実刑判決が下された)。しかし、両法人への解散命令請求は認められず、両法人は現在も宗教法人として存続している。
教祖が信者を集団リンチ殺害した法人が解散命令を受けないのに、家庭連合が解散命令を受けるべきとは思えない。
4過去の対応とのアンバランス
政府・貴省は、過去30年近くにわたり、少なくとも3度も、現在と同等か、より家庭連合に不利な事情(裁判状況)を認識しつつ、あえて家庭連合に対して「解散命令を請求しない」という判断をしてきた(1994、1998、2017 年)。
そうであるのに、事情が悪化しておらず、むしろ大きく改善している(過去7年間の民事裁判がない)現在になって、解散命令を請求する理由がない。
5解散命令は被害者救済にならない
解散命令が下ると、法人格が消滅するため、被害者救済は困難になる。救済新法が水泡に帰することになりかねない。実際、全国弁連の紀藤正樹弁護士も、オウム真理教の解散命令に対しては強く反対していた(平成7年7月)。
また、そもそも解散命令は被害者救済を目的としていない。2017 年2月6日東京地裁判決も、「個々の取引関係者」の「救済」は解散命令の目的ではなく、「損害の救済は一般の不法行為規範等に委ねられている」と述べた。
7,国民が知らされてこなかった驚くべき事実の数々。これはまぎれもない宗教迫害だ!
ここには一般国民が知らされていない驚くべき事実が列挙されている。
特に、
集団暴行殺人等の刑事事件を犯し、より悪質な他の5つの宗教法人(顕正会、法の華三法行、神慈秀明会、紀元会及び空海密教大金龍院)に対し、貴省は解散命令を請求してこなかった。
とか、
念法眞教と法友之会は、教祖が信者へ強姦や集団リンチ殺人したことを理由に解散命令請求がされた(法友之会の教祖には刑事裁判で実刑判決が下された)。しかし、両法人への解散命令請求は認められず、両法人は現在も宗教法人として存続している。
といった事実は、これまでの各種報道で見たことも聞いたこともない話だ。
また22の民事裁判についても、統一教会に全面的に非があるかのような報道がなされてきたが、申し入れ書によると、その約半分で(金額で48%、項目で50%)教団サイドが実質勝訴しているという。
これはつまり、全国霊感商法対策弁護士連絡会や原告が「被害額」として要求した数字が、裁判では2分の1しか認定されなかったことを意味する。
彼らが裁判を経ないで「被害額いくら」と主張している金額も、2倍かそれ以上に水増しされ、誇張された数字と見てよさそうである。