過日、仕事で渋谷に行く機会があった。帰りに、せっかく渋谷に来たのだからと噂の世界平和統一家庭本部本部に寄ってきた。
テレビやネットで何十回となく見てきた本部入口の看板を眺めてから、道路の反対側を振り返ると小さな書店(らしきもの)がある。
ドアを開けると、中には教団関係の本がたくさん並んでいて、普通の出版社の聖書解説やキリスト教関係の本も、点数は少ないが売っていた。
そこで見かけたのが「世界思想」と「世界家庭」という雑誌だ。
前者はUPF-Japanの機関誌で月刊。表紙のしだれ桜が美しく、パッと目に飛び込んできた。
後者の「世界家庭」はオールカラーの厚めの月刊誌で、教団の機関誌だ。90ページ以上ある。
ぱらぱらめくっていると『間違いだらけの「マインド・コントロール」論』の著者インタビュー(魚谷俊輔氏)が載っていた。その場で読んでしまった。
この「世界家庭」誌で目を引いたのは、「旧統一教会報道に対する我々の視点」と題するページだ。www.youtube.com
教団関連の出版社、光言社が運営するyoutube動画サイトでは、世間の批判に反論する一連の動画を公開しているが、そのうち「拉致監禁」に関するものをテキスト化し、Q&A形式にして掲載していた。見開きで8ページもある。
重要な箇所には黄色マーカーをかぶせ、動画で使ったと思われるボードもたくさん載せてサクサク読めるように工夫してあった。これはいい企画だ。
魚谷氏のインタビューは「世界思想」4月号にも載っていた。見開き4ページとボリュームたっぷり。
この2冊を購入して店を後にした。
長文のインタビューには、紀藤正樹弁護士に触れた箇所がある。
紀藤弁護士とは全く面識がないわけではありません。カルト研究をテーマとした国際会議や家庭連合をめぐる法廷闘争でも何度か相対したことがあります。
しかし今回、私が本書の副題に紀藤氏の名前を入れた大きな理由は、なにより彼がマインドコントロールについての本を書いている点にあります。
私も読んでみましたが、主張の多くに嘘が含まれている。その嘘を暴き、彼の主張するマインドコントロールというものがいかにいい加減な概念であるかということを明らかにしなければならないと考えたのです。
確かに、紀藤氏の『マインド・コントロール』(アスコム)という本は、驚くほど杜撰でデタラメな本である。昨年、これを読んだときは、よく納得する読者がいるものだと感心したほどだ。
テレビでは、昨年11月か12月の確かBSフジプライムニュースだったと思うが、なんと立憲民主党の長妻昭議員が、
「マインド・コントロールについては研究の蓄積がある。紀藤弁護士も『マインド・コントロール』という本を書いておられますし…」(大要)
と発言し、同席する紀藤氏の前で恥ずかしげもなく彼をヨイショしていた。
当時、「長妻昭はあの本を読んで、何の疑問も抱かなかったんだろうか?」と呆れかえった覚えがある。
彼が今『間違いだらけの「マインド・コントロール」論』を読んだら、「穴があったら入りたい」と言うんじゃないだろうか。
(②へ続く)