『間違いだらけの「マインド・コントロール」論~紀藤正樹弁護士への反論と正しい理解』(魚谷俊輔著、賢仁舎)が刊行されたのは3月末。たまたま統一教会本部の「お知らせ」をのぞいてみたら、5月8日付けで「プレスリリース」が出ていた。
本が出た直後、今や国民的有名人となった統一教会(世界平和統一家庭連合)の田中富弘会長が共同通信とのインタビューで記者に「これを読んで」と手渡している。
この話については4月22日の拙ブログで取り上げた。
教団トップが自ら本のアピールをするんだから、当然、教団本部の「お知らせ」で広報するんだろうなと思っていたが、一向に出なかった。
月刊「Hanada」3月号が出た時は「お知らせ」で広報していた。小川さゆり氏の証言の信憑性を粉々にした福田ますみさんの渾身のルポが載った号だ。
あんないい本が出たのに、なぜ広報しないんだろうと不思議だったが、善意に解釈すれば、質問権への対応でそれどころじゃなかったか、合同結婚式があったからその準備に追われていたか、とにかく手が回らなかったんだろう。
本当は全国紙、地方紙、各種メディアがこぞって書評で取り上げるべきだし、それだけの価値ある本だが、
「そんなことをしたら統一教会を擁護してると思われる。全国霊感商法対策弁護士連絡会や反統一教会の宗教社会学者、識者の吊し上げにあうかもしれない」
と、大方の腰の引けたメディアが取り上げるはずもない。
この国のメディアのレベルはそんな程度である。内容の良し悪しよりも、世論受けするか、売上げ増に貢献するか、クレームや非難がこないか…そんなことばかり考えているメディアが大半だろう。
それならば、教団側が大々的にアピールするしかないではないか。別に教団のプロパガンダを流すわけではない。世に流布しているプロパガンダを批判し、真実を伝える本なのだ。これをアピールするのに何の躊躇もいるものか。
「マインド・コントロール」を連呼してきた紀藤正樹弁護士は、元オセロ中島知子騒動でいい加減なことを言いまくっただけでなく、デタラメな疑似科学を公共の電波に載せて語り、政治(消費者庁「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」報告書)や法律(消費者契約法)の世界にまで持ち込んだ“罪”は余りにも重い。
その責任は厳しく問われなければならない。