吊りしのぶ

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徳永信一編著『家庭連合信者に人権はないのか』6月22日刊行予定/追記:まえがきの一部と目次が公開!/追記続:Kindle版も発売/追記続々:出版記念シンポの動画公開

1,保守派の論客、徳永信一弁護士の「月刊正論」3月号がベースか?

保守派の論客、徳永信一弁護士が『家庭連合信者に人権はないのか』という本を出すようだ。アマゾンを見ると6月22日刊行になっている。もうすぐじゃないか。予約注文受付中だ。

編著者として、徳永弁護士のほか、富山県で活発な政治活動を行ってきた鴨野守氏、統一教会の法務担当の近藤徳茂氏の名前が挙がっている。

内容について、アマゾンの説明には、

言論・思想信条(信仰)の自由、及び結社の自由が憲法で保障されている日本で、昨年7月の安倍元首相の銃撃事件(暗殺)以来、この基本がおかしくなっている。

特定の宗教(旧統一教会)へのマスコミ、テレビを中心に政治家まで巻き込んだ異常な人権弾圧に、ついに当事者が声をあげた。

その根拠とテレビ・マスメディアへの反論が本書の中核である。

と書いてあった。

目次があるとありがたいのだが、まだそこまでの情報はない。出版社はなぜ目次を載せないのだろうか? 「売る気はあるのか!」と言いたくなる。

【追記】

6月23日にアマゾンをのぞいたら、前書きの一部と目次が公開されていた。

徳永信一弁護士の感動的な「まえがき」より。

この裁判(引用者注・富山市、大阪府・市、富田林市議会などの「断絶決議」を違憲として各自治体を提訴した裁判)を通じて多くの信者の方々と出会い、真剣な話を重ねる中で、随分と感じ方が変わってきた。

目の前には、知性と忍耐に溢れ、理不尽な受難の中でも神に祈りを捧げ、懸命に生きている人々がいた。

彼らは、決して全国弁連がテレビのワイドショーを通じて垂れ流しているような自律的な判断力をもたない夢遊病者などではなかったし、マインド・コントロールによって洗脳された被害者でもなかった。

彼らの信仰は、その実存と人間の尊厳をかけた選択によるものだ。僕は、どこに出ても、そう証言するだろう。~徳永信一「まえがき」より

目次は次の通り。

第1章 「断絶宣言」が招いた地方議会の暴走

  • 第1節 家庭連合信者に人権はないのか
  • 第2節 信教の自由を侵害した富山市の決議

第2章 吹き荒れる魔女狩り報道

  • 第1節「魔女狩り報道」はこう作られる
  • 第2節 漫画家・小林よしのり氏にレッドカード!
  • 第3節 思想警察と化したメディア
  • 第4節 共産党議員の横やりで外務大臣賞取り消し/モザンビーク「太陽学校」

第3章 家庭連合信者議員が激白!

 〈対談〉家庭連合報道はメディアによる集団リンチ

  美馬秀夫(自民党徳島市議団副会長)vs小野潤三(「いわき市議会正論の会」会長)

第4章 家庭連合反対派弁護士、牧師たちの欺瞞性

  • 第1節 拉致監禁、脱会強要による「被害者」捏造
  • 第2節 数々の不当請求、不当訴訟

第5章 紀藤正樹氏の『マインド・コントロール』の真っ赤な嘘

第6章 日本を「人権」「信教の自由」を尊重する国に

  • 第1節 「家庭連合排除は、全体主義の道を開く」
  • 第2節 異なる価値観といかに共存していくか

184ページと小ぶりな本にしては盛りだくさんな内容だ。マインド・コントロールを批判した論考もあり、これはおそらく魚谷俊輔氏が書いたものと思われる。

先の統一地方選で逆風をはね返して当選し、かねてより信者を公言、監禁と棄教を強要された経験もある徳島の美馬秀夫市議、いわき市の信者議員・小野潤三氏の対談も載っている。これは月刊Hanada23年1月号掲載をもとにしたものだろう。

自分が注目するのは、第4章「家庭連合反対派弁護士、牧師たちの欺瞞性」だ。

「拉致監禁による強制的な脱会説得」が反対勢力の操り人形のような元信者を生み出し、彼らが霊感弁護士や統一教会を異端と憎む牧師たちと一緒になって、「悪魔のごとき統一教会」の虚像を作り出してきた。そのカラクリを暴いてくれることを期待したい。

また、「被害額」の大幅水増しや不当判決についても、教団側の緻密な反論を聞きたいと思う。

ただ、残念ながら現時点で「注文できない」という表示が出ている。初回入荷分は全部売り切れということだろうか。版元には速やかなアマゾンへの追加の入庫をお願いしたい。

ケチケチしないでドーンとまとめて1,000冊ぐらい入れて、大々的に宣伝したらどうだ。自分の直感だが、これ、売れるんじゃないか。

【追記2:「早急に入荷」→販売再開へ】

6月23日夜、表示が変わった。

一時的に在庫切れ できるだけ早急に入荷できるよう努めております。

出版社が動いたのだろう。まもなく注文受付が始まると思う。

27日に見ると、即購入ができるようになっていた。

【追記3:Kindle版発売】

27日に気づいたが、Kindle版が発売されている。紙媒体とは別立てになっているので気が付くのが遅れた。Kindleで本を読むのに慣れた人にはグッドニュースだろう。

読者も増えるはずでまことに喜ばしい。

タイトルから察するに、徳永弁護士が「月刊正論」23年3月号に寄稿した「旧統一教会信者なら人権侵害していいのか」がベースになっているのかもしれない。

Fujisan.comより

徳永弁護士の「旧統一教会信者なら人権侵害していいのか」は、日本における「信教の自由」の捉え方が極めて唯物的(反宗教的)で、国際社会のグローバルスタンダードからかけ離れて異質だと指摘した好論文だった。

この反宗教的な「信教の自由」観は、紀藤正樹、山口広、郷路征記、渡辺博氏ら全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)のメンバーに特有というわけではなく、日本社会一般に漠然と広がっている考え方だ。

社会にそういう下地があるので、紀藤正樹氏ら全国弁連の統一教会批判がいともたやすく受け入れられてしまうという現実がある。

2,唯物的・反宗教的な日本社会が、似非科学の「マインド・コントロール論」をはびこらせる

しかも、唯物主義から最も遠いはずの宗教界までもが、知らず知らずこの反宗教的価値観に染まっているため、彼らはどこも自分事として考えようとしない。

触らぬ神にたたりなしで模様眺めしているだけだから、昨年は救済新法(法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律)のような宗教介入的法律が出来てしまった。

この法律は2年後に見直しが決まっている。間違いなく、介入の度合いは強まるだろう。DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)が3年ごとの見直しのたびに改正され、DV関連の運動団体の要望が法改正に反映され、かつまたDV概念が拡張に次ぐ拡張を遂げてきたことを考えてみればいい。

DV防止法附則第3条 この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

DV防止法は、この規定を根拠に、2001年の成立後、2004年、2007年、2013年、2019年、2023年と一部改正を繰り返してきた。

救済新法附則第5条 政府は、この法律の施行後二年を目途として、この法律の規定の施行の状況及び経済社会情勢の変化を勘案し、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

救済新法の附則にも同じような条文がある。救済新法もまた、DV防止法と同じ運命を辿ることになるだろう。

今年に入ってからは、親の宗教教育を否定するような児童虐待の指針が公表されたり、全国の消費者センターの相談員に「マインド・コントロール」に関する研修が課せられたり(監修は西田公昭・立正大学教授)、といったおかしな動きが次々に起きている。

また、消費者庁が学校の消費者教育の中で「マインド・コントロール」について教える方向で検討している、という話もどこかで読んだ記憶がある。

3,「カルトと宗教は違う」としたり顔の宗教界は、自分で自分の首を絞めているようなもの

「マインド・コントロール」は似非科学にすぎないのに、これについて本格的な反論の書が刊行されたのは、ようやく今年春になってからだ。(『間違いだらけの「マインド・コントロール」論』魚谷俊輔著)

遅きに失したと言わざるをえないが、それもこれも、宗教界が「マインド・コントロールなどあり得ない」と一斉に声を上げるべきなのに、それをしなかったツケが回ったのである。

「カルト」と「宗教」は違うとしたり顔で傍観し、マスコミの統一教会攻撃の片棒を担いだ伝統宗教や他の新興宗教は、遅かれ早かれ、日本社会で加速する反宗教のうねりに飲み込まれていくだろう。

統一教会への不当な非難と宗教迫害に傍観者の立場をとることは、巡り巡って自分の首を絞めることになる。そのことに気づかないのは余りにも愚かである。

そして、もちろん、統一教会とその信者たちは、一連のバッシングの直接的な被害者である。

4,編著者の1人、鴨野守氏が北日本放送から受けた卑劣な仕打ち

さて、昨年8月29日、UPF・勝共連合会長の梶栗正義氏と共にNHKクローズアップ現代に出演した鴨野守氏のことは、拙ブログでも取り上げたことがある。

氏は富山県の統一教会の関連団体メンバーとして政治活動を行ってきた。そのことで地元テレビ局(北日本放送)からだまし討ちのような卑劣な取材を受けたとして、その間の事情を「月刊Hanada」に寄稿した。

tsurishinobu.hatenablog.com

ジャーナリストとしては、沖縄集団自決問題の取材などで知られ、旧日本軍の軍命令による集団自決はなかったと主張。このテーマで『あばかれた「神話」の正体』(祥伝社、2009年)という本も出している。

ちなみに、この『あばかれた「神話」の正体』には、故・渡部昇一氏が推薦の辞を寄せ

「本書の著者である鴨野氏は、ベストセラーとなった森村誠一氏の『悪魔の飽食』(正・続)の写真や記述の重大な間違いを指摘し、また広島県の校長自殺問題でも、最も大胆な、また最も正確な本を書いた人である。氏が沖縄集団自決という話に、最も信頼できる本を書いてくれたことを、日本人の一人として感謝したいと思う」

と激賞した。

その他、フィリピン日系人の100年を追った『バギオの虹』(アートヴィレッジ、2003年)や左翼勢力が牛耳っていた広島の公教育、特に異常な平和教育や同和教育の問題点に切り込んだ『広島の公教育はなぜ崩壊したか』(世界日報社、1999年)など、意欲的な本を何冊も書いている。

5,もう1人の編著者は、動画「現代の宗教迫害①②」を公開中の近藤徳茂氏

もう1人の編著者、近藤徳茂氏。

youtubeチャンネル「旧統一教会報道に対する我々の視点」は、マスコミや全国弁連の不当な統一教会批判に反論する動画をたくさん公開している。

近藤徳茂氏は、その中の「現代の宗教迫害①②」で動画解説を行っている。


www.youtube.com

さらに注目すべきは、「UPFとワシントン・タイムズ財団共催による『普遍的人権と信教の自由のための希望前進カンファレンス』」(22年11月12日)での短い講演である。

以下にリンクした約7分間の講演の中には、12年5カ月監禁された体験を持つ後藤徹氏の映像証言が引用されている。これは実に驚くべき内容だ。

「拉致監禁による強制的な脱会説得」の実態のすさまじさに、ただただ圧倒された。後藤徹氏の棄教強要にあたったのは、立憲民主党が公然とヒアリングに呼んだ職業的脱会屋の宮村峻(たかし)氏である。

この動画を見てなお、拉致監禁を「統一教会の宣伝」呼ばわりする人間は、個人の自由や基本的人権を尊重する意思のない、よほど品性下劣な人間のクズに違いない。

人間は怒るときは怒らなければならない。憤るときは憤らねばならないのだ。

職業的脱会屋の宮村峻は、後藤徹氏や統一教会信者にとっての敵であるばかりか、全宗教者にとっての敵であり、自由と基本的人権の価値を信じるあらゆる人間にとっても敵である。この男が刑事で起訴されなかったことは、日本司法の汚点ではないだろうか。

後藤徹氏の証言は近藤氏の解説に続き、下記動画の約2分あたりから始まる。


www.youtube.com

なお、徳永弁護士の考え方については、以下の拙ブログで何度か紹介させていただいた。

tsurishinobu.hatenablog.com

【追記】23年6月24日に開かれた『家庭連合信者に人権はないのか』(グッドタイム出版)の出版記念シンポジウムで、4人の執筆者が同書の内容を分かりやすく解説している。シンポの動画は7月下旬に公開された。

tsurishinobu.hatenablog.com