10月18日、チャンネル正論が9月13日の動画に続いて旧統一教会問題を取り上げた。極めて真っ当な内容で得心がいく。
10月13日、文部科学省(文化庁)は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求に踏み切った。しかし、世論の高まりを受けて政治判断で行われた今回の解散劇に問題はないのか。
月刊「正論」発行人、有元隆志と月刊「正論」編集委員、安藤慶太が考える。
このようなリードが付いている。
かねて「月刊正論」は「月刊Hanada」とはまた違った切り口で、この問題での政府の権力行使やマスコミの魔女狩り的報道に疑問を呈してきた。
「月刊正論」の見識を高く評価したい。保守系有力誌であるから、「反日カルトの統一教会は大嫌い」という読者も多くいるはずだ。
そんな中で、統一教会が反日であろうとも、また問題のある宗教だとしても、「政府のやり方には疑義がある」と声を上げるのは営業的にも勇気の要ることだと思う。その勇気に敬意を表したいと思う。
ちなみに、折に触れて書いてきたことだが、統一教会を反日団体と見るのは誤解であり、問題のある宗教という見方についても、その「問題」はひどく誇張されていることを強調しておきたい。
約12分強とコンパクトにまとまっているので、特に要約はしない。できる限り多くの方に見ていただきたいと思う。
あえてひと言付け加えるなら、このような正論が、なぜ産経新聞本紙に載らないのか、という疑問だ。
産経新聞社会部は、全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)の代弁者かと思うほど酷い報道を続けてきた。今もそうだ。
次の記事も本当に酷かった。紙の新聞では社会面にデカデカと「2世『悪事暴く機会に』」の文字が躍っていた。
しかし、いくら記事を読んでも、「悪事」が何を指すのか全く書いてないのである。
紙面に登場する2世元信者男性への指導がきつかったとか、親の寄附が1億円と高額だったとか、「人類はサタンの子」「教祖は人類を救う救世主」と教えられたとか、信仰を捨てると「地獄に落ちる」と教えられたとか。
PTSDになったのは気の毒だが、彼本人が高額献金を強要されたわけでもなく、1億円寄附した親も教会を脱会しているわけではない。今も信者のままだという。自らの意志で寄附したとすれば、それをどうして非難できるのか?
記者がこの親に取材をしていないのも問題だ。
教団に無理やり強要された寄附だったのか、それとも自発的なものだったのか、何の確認もしないで、ただ金額大きいから問題だといわんばかりだ。
この記事のどこに「被害」や「悪事」があるのかサッパリ分からない。
「被害」を訴える元信者がいれば、その言い分を丸呑みして裏付け取材をしない。こんな記事を産経社会部は平気で量産してきた。
産経記者は、「人類はサタンの子」と教えているのはキリスト教だって同じだと知らないのだろうか? 「教祖は人類を救う救世主」は「イエスは人類を救う救世主」と言い換えられるが、記者はそう教えるキリスト教もとんでもないカルト宗教だと批判するつもりか?
「信仰を捨てると地獄に落ちる」なんて、キリスト教、イスラム教だけでなく仏教だって言っていることだ。地獄・極楽を説く仏教は、我々日本人にはお馴染みではないか。
「悪いことをすれば地獄に落ちる」「善因悪果」と説き、人は六道輪廻を続ける存在で、今の生き方如何では死後、畜生界に落ちるかもしれないと脅すのが仏教だ。
もちろん、仏教においては「仏法僧」を最も大切な存在と考えるから、これを不信し、足蹴にするような行為は「悪」の最たるものということになる。その結果は、地獄行きということだ。
また、イスラム教には脱会の自由がない。やめたくてもやめられない宗教なのだ。たとえ心理的ハードルが高かろうと、やめようと思えばいつでもやめられる統一教会とは次元が違う。
重圧に耐えきれず、不眠症や拒食症になり、自傷行為にも及んだそうだが、そういうことは学校の教員の世界でもよく聞く話である。
教師になる夢と大志を抱いて現場に入ったが、業務のストレスに耐えられず、夢破れて退職したり、病気になったりする教師は後を絶たない。すると、学校組織や教育界はその新人教師に被害を与えたことになるんだろうか?
もしそうなら、そういう「被害者」は年々増え続けているのだから、学校と教育界は「加害組織」そのものということになる。産経新聞社会部はそんな捉え方をするのだろうか。
自傷行為にしても、10代の子にしばしば見られることで、原因はイジメとは限らない。周囲の無関心や、たまたま大人や教師が寄り添ってやれなかったり、その子の内面まで見てやれる者がいなかったりと、複合的な要因から起きる現象だ。
教育現場では、自傷行為に走る子がいたからといって、その子に被害を与えた加害者がいるはずだ、悪事を働いた何者かがいるはずだ、などと決めつけたりはしない。
なのに、宗教がからむとなぜそれを「悪事」の結果と断言し、なんらの根拠も示さずに、特筆大書して報じるのか全く理解できない。統一教会に対する甚だしい侮辱ではないか!
イスラム教についてもう少し書こう。
教典や預言者を侮辱すれば、イスラム圏ではしばしば暴動が起こり、侮辱した者とは関係ないものまで巻き添え被害を受ける。だが、そういうことをやるのは必ずしもイスラム過激派とは限らない。報道を見る限り、むしろごく普通のイスラム教徒たちだ。
なのに、マスコミは彼ら一般イスラム教徒をイスラム過激派と区別して擁護している。
統一教会バッシングの酷さに比して、あまりにもバランスを欠いていると言わざるをえない。
統一教会の信者たちは、これだけ教祖や教典、教義を侮辱されながらも、デモ行進もやらなければ、抗議集会すらやっていないというのに(韓国では1回だけあったが)。
産経新聞社会部は、さっさと全国弁連と手を切るべきだ。彼らとくっついていると、いずれ痛い目に遭うだろう。
彼らの正体を知らない産経新聞ではあるまい。もし知らないのだとしたら、少なくとも産経新聞社会部は保守を名乗るのをやめたほうがいい。
産経グループにおける保守の伝統は、もはや「月刊正論」にしか残っていないのだろうか? そんなことはないと信じたいが…。
全国弁連が左翼であり、宗教を敵視する唯物論者の集まりであり、政治と宗教は厳格に切り離すべきで、したがって総理大臣の靖国参拝などもってのほかと考えている連中だと早く気付くべきである。