- 1,国立社会保障・人口問題研究所が住基台帳に基づく調査結果を公表。「性的マイノリティーの割合は3.5%」
- 2,「日本は約10%で他国より高い」とする「LGBT意識行動調査2019」は、インターネット調査。信用性に欠ける
- 3,報じたのは産経新聞と共同通信のみ。朝日、毎日、読売、日経、東京の大手紙は沈黙。NHKも。3.5%では少なすぎて都合が悪いのかな?
1,国立社会保障・人口問題研究所が住基台帳に基づく調査結果を公表。「性的マイノリティーの割合は3.5%」
11月11日の産経新聞によると、国立社会保障・人口問題研究所の初の全国調査で、日本における性的マイノリティー(LGBTを含む)の割合は3.5%だった。
23年2月~3月にかけて実施されたもので、10月27日に結果の概要が公表された。
この数字は、これまで言われていた数値よりもかなり低い。従来調査よりもはるかに厳格な、しかも人口統計などで権威のある国立社会保障・人口問題研究所の調査だけに、今後はこの調査をベースに議論をすべきだろう。
自分が目にしたことのある「10人に1人は性的マイノリティー」などという言説はどう考えても怪しいと思っていたが、案の定、その通りだった。
2,「日本は約10%で他国より高い」とする「LGBT意識行動調査2019」は、インターネット調査。信用性に欠ける
たとえば、以下のサイト。
ここにこう書いてある。
最新データとして「株式会社 LGBT 総合研究所(博報堂DYグループ)」が、調査したデータをベースにお伝えしていきましょう。
同研究所が2019年4月から5月にかけて調査した、「LGBT意識行動調査2019」の結果をお伝えしましょう。
全国20歳から69歳の個人42万8,036名、有効回答者が34万7,816名の調査結果です。同研究所の調査によると、LGBT・性的少数者は全体の約10.0%という結果が示唆されています。
最新調査によると、日本は他国よりも割合としては高い傾向にあることがわかってきたのです。
しかし、この「LGBT意識行動調査2019」(PDF版)は、インターネット調査である。
インターネット調査では、インターネット非アクティブな人は最初から除外される。結果に偏りが生じるのは自明だろう。
あくまで参考数値にとどめるべきものである。
一方、今回の国立社会保障・人口問題研究所の調査は、住民基本台帳をもとにサンプルを無作為抽出した郵送調査(郵送回収/WEB回答併用)であり、信用性は高い。
チームの法政大の平森大規助教は
「これまで国内での性的マイノリティーの数量的な研究は限られていた。今回の調査は統計的手順を踏まえたデータで汎用性は高く、多くの場面で役立ててほしい」
と話した。(共同11月10日、産経11月11日付け)
とある通りだ。
公表された3.5%という数値は、上記サイトが伝えるアメリカ約3.8%、イギリス約2.0%、オーストラリア約3.4%などと比べても妥当と言えるのではないだろうか。
3,報じたのは産経新聞と共同通信のみ。朝日、毎日、読売、日経、東京の大手紙は沈黙。NHKも。3.5%では少なすぎて都合が悪いのかな?
不思議なのは、この調査結果、10月27日に公表された後、約2週間も経った11月10日になってからようやく共同通信が報じたことだ。
研究所から「なぜ報道しないのか」と苦情が入って渋々報じたんじゃないだろうか、と疑問に思うほどの遅さだ。
さらに不思議なのは、翌11日に産経新聞や一部の地方紙は報道したが、性的マイノリティーに関するニュースなら喜んで報じる朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、日経新聞、NHKが完全スルーしたことだ。
自分が知る限り、12日夕方現在、いずれも完全スルー状態を続けている。
読売新聞は自社オンラインのプレスリリースコーナーで上記調査を紹介したのみで、自前の記事は出していない。
これら全国紙が、待っていればそのうち記事を出すのか、それとも沈黙を貫くのか、成り行きを注視したい。
3.5%という数値は、「電通ダイバーシティラボ」2018年調査の約8.9%、「働き方と暮らしの多様性と共生研究チーム」2019年調査の約8.2%と比べても、圧倒的に低い。
この低さゆえにマスコミは国民に知らせたくないのかもしれない。
10.0%、8.9%、8.2%などの数値をもとに性的マイノリティーは我々が思っている以上に多いなどと主張してきた手前、3.5%は少なすぎる。そこで、都合の悪い事実は「報じない自由」を行使してバッサリ切り捨てた。
そういうことではないだろうか。
なお、調査結果は国立社会保障・人口問題研究所のウェブサイトで紹介されている。調査に関わった法政大学もプレスリリースを出した。
【気晴らしsongs】
K-POPイム・ジェボムの「君のために」。この人も歌がうまい。「戦争のような愛」とは意表を衝く歌詞だ。愛しているけど、自分の愛に自信が持てない。だから君のために去るという歌。
日本語訳のない原語のみの動画(下)は再生回数550万を超えている。