樋田毅(ひだ・つよし)著『旧統一教会 大江益夫・元広報部長懺悔録』(光文社新書)が波紋を広げている。
Smart FLASHが大江益夫氏へのインタビュー記事を公開したほか、文春オンラインも同氏に話を聞いた。後者は有料。
一方、旧統一教会はウェブ上で反論したほか、8月22日にアマゾンで反論のKindle版『虚偽に満ちた“妄想の懺悔録”』を発売、9月4日には紙の冊子も発売するようだ(発行元は光言社、税込330円)。
光言社のウェブサイトによると、反論本『虚偽に満ちた“妄想の懺悔録”』の目次は次の通り。
1,神が願う「神霊」「真理」の基準に至らなかった大江氏
――神不在の中で書かれた〝懺悔録〟ならぬ〝讒訴録〟
2,〝懺悔録〟に見る数々の〝虚偽の記述〟
―― 何の証拠もなく、赤報隊事件、副島事件、勝共連合の武闘派などを語る
3,いわゆる「霊感商法」に関する批判の誤り
4,拉致監禁によって脱会させられた元信者による「民事訴訟」
―― 拉致監禁事件の多さが、民事裁判の多さになっている
大江益夫氏が旧統一教会の広報部長だったのは1990年代で、この時期は信者を拉致監禁しての強制棄教の件数がピークに達し、それとともに民事提訴も激増した。
自分は樋田毅氏の本をまだ買っていないが、買おうか買うまいかまだ迷っている。
もし元広報部長・大江益夫氏が拉致監禁問題について懺悔し、
- なぜ拉致監禁が増えたのか
- なぜそれをやめさせられなかったのか
- 拉致監禁され脱会を強制された信者、元信者の苦悩を当時どのように考え、今はどう思っているのか
- 拉致監禁に間接的に関わり、それを「保護説得」と呼んで人権蹂躙を見逃した全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)の弁護士らをどう考えているのか
等々を告白していたら、迷うことなく買っていただろう。
しかし、中山達樹弁護士の分析記事を読んで、そうした記述が一切ないことを知った。それでは、肝心要のことに口をつぐんだと言われても仕方がない。
13の懺悔のうち懺悔と言えるのは2つだけ。
しかし中山弁護士は「懺悔対象が小さすぎる」として、「何ひとつ懺悔していない」とも評価できると厳しく指摘している。
なお、上記ブログには自分のコメントを書き込み、中山弁護士から有益なお返事をいただいた。
拙ブログを訪れた方は、ついでにお目通しいただきたい。
なお、樋田毅著に対しては、国際勝共連合も「声明」「通知書公開」「事実無根の記述について」などをウェブ上で公表している。
この問題、この先どういう展開をたどるのだろうか?