- 1,選択的夫婦別姓制導入派の小泉進次郎氏は、きちんとデータを見て、自分の頭で考えたのか?
- 2,圧倒的反対の世論を無視した法制審議会のインチキ答申(1996年)
- 3,賛成派による世論調査結果のデッチ上げ、それを利用した地方議会での金太郎飴意見書採択運動
- 4,実に7割が現行の同姓制度維持を望んでいる~内閣府「家族の法制に関する世論調査」(2021年12月実施、22年3月発表)
1,選択的夫婦別姓制導入派の小泉進次郎氏は、きちんとデータを見て、自分の頭で考えたのか?
報道によると、自民党総裁選に立候補した小泉進次郎氏は9月7日、東京・銀座で演説し、選択的夫婦別姓制度の導入に意欲を示したそうだ。
記事には、
小泉氏は党内で反対論もある選択的夫婦別姓制度を導入するための法案提出などに改めて意欲を示し、「(姓を選ぶ)選択肢を用意することが本当に社会にとってよくないことなのか」と問いかけた。
とある。
この問いに答えるのは簡単だ。
「そんなもの、社会にとってよくないに決まっている! あなたはデータを見てものを言っているのか?」
たぶん小泉進次郎氏はろくにデータも見ないし、自分の頭でしっかり考えたこともないだろう。考えていたら、別姓制に賛成できるわけがない。
2,圧倒的反対の世論を無視した法制審議会のインチキ答申(1996年)
選択的夫婦別姓の導入を法務省の法制審議会が答申した1996年は、世論調査における反対が約60%、賛成は約30%でダブルスコアで反対が多かった。(1996年6月調査、翌年1月公表の内閣府「家族法に関する世論調査」)
これについては、かつて以下のブログで書いた。*1
1996年当時、夫婦別姓への賛成が約30%(32.5%)しかなかったことは、朝日デジタルの次の記事に載ったグラフからも確認できる。
このグラフに「反対=同姓維持を希望」のデータはないが、自分が前に見た別の朝日デジタルの記事には「反対」の折れ線グラフも載っていて、1996年は約60%もあった。
そんな状況なのに法務省が導入を答申したのは、明らかにイデオロギー的な背景があるからだ。
以来、賛成派はこの答申を権威付けに利用して、「法務省が導入を答申してるじゃないか。専門家はこぞって賛成している。なぜ反対するのか」と言いながら、反対派を切り崩してきた。
教育現場でも子どもたちに、「同姓を強制するのはおかしいよね。別姓でいたいという人の自由を奪うのはどうなんだろうね」と教えてきたのである。
3,賛成派による世論調査結果のデッチ上げ、それを利用した地方議会での金太郎飴意見書採択運動
しかし、それでも依然として国民の多くは別姓に反対である。
そのことは5年ごとに行われる内閣府の「家族の法制に関する世論調査」で明らかだ。
この内閣府調査によれば、過去にただの一度も選択的夫婦別姓制に賛成の人が、反対の人を上回ったことはない。
賛成派は2017年12月実施の調査につき、巧妙に「賛成・容認66.9%、反対29.3%」というデータをデッチ上げ、この虚偽データを使って地方議会で導入を求める意見書や国会での議論を求める意見書を次々に採択してきた。
しかも、ほとんど文言が同じ意見書ばかりで、国民を舐めているとしか思えない。
前提となるデータがウソなのに、その検証もしないまま意見書を採択した地方議会のレベルの低さには呆れるばかりだ。
これについては、拙ブログで(「選択的夫婦別姓」タグ)ある時期まで何度も繰り返し書いた。1つだけピックアップしておく。
手っ取り早い情報源としては、次の本が参考になる。
『夫婦別姓に隠された“不都合な真実”~「選択的」でも賛成できない15の理由』は46ページの冊子で、地方議会のデッチ上げ意見書採択運動についてもきちんと書いている。
次の『夫婦別姓「選択制だから問題ない」は本当?』は55ページの冊子。図やイラスト、グラフなどが多くて分かりやすい。
ジャーナリスト窪田順生氏のダイヤモンド・オンラインの記事も有益だ。
4,実に7割が現行の同姓制度維持を望んでいる~内閣府「家族の法制に関する世論調査」(2021年12月実施、22年3月発表)
では、信頼性の高い調査手法で行われた世論調査は、どんな結果を出しているのだろう。
5年に一度行われる内閣府「家族の法制に関する世論調査」(2022年発表=最新)を見れば、反対意見の方が圧倒的に多いことがわかる。
以下のグラフで明らかなように、同姓維持派は27.0+42.2=69.2%、選択的夫婦別姓制賛成派は28.9%しかない。
この世論調査結果で興味深いのは、識者らがよく言う「若い人は圧倒的に選択的夫婦別姓制に賛成だ」がデタラメだったこと。
18~29歳でも同姓維持派16.1+43.7=59.8%、選択的夫婦別姓派39.9%で、同姓維持派の方が20ポイントも多い。
これについて朝日新聞はじめ選択的夫婦別姓制賛成派は、「質問の仕方が変わったのがおかしい」と難癖を付けているが、そもそも以前の調査に「質問の仕方が分かりにくい」と文句を言っていたのは彼ら自身である。
おそらくは、そうした声を受けて内閣府が質問の仕方を若干修正したのに、結果が「導入に反対多数」となったからといって難癖を付けるのは往生際が悪い。
内閣府の調査は、簡易な電話調査でも結果に偏りが出るインターネット調査でもない。調査員が対象者に対面で質問する(コロナ禍当時は郵送で質問)大掛かりで信憑性の高い調査である。
*1:自分はこの時、1990年代から近年に至る世論の動向を折れ線グラフにした朝日新聞記事をリンクしたのだが、残念なことに今はリンクが消えてしまった。スクリーンショットを保存しておけばよかったが、今となっては後の祭り。2021年を除いて記事の日時不明だ。