9月9日、高市早苗氏が自民党総裁選出馬を表明し、記者会見を行った。さすが保守派の政策通で、安倍元首相が前回の総裁選で強力に推したのもうなずける圧巻の記者会見だった。
会見の概要や要旨が報道されているが、それを読んだだけでも、他候補とは一味もふた味も違うことが分かる。
ここでは最近の投稿の続きで、朝日新聞記者が質問した選択的夫婦別姓制について、高市早苗氏がどう答えたのか、その発言内容とテキスト化した。
動画はいくつかアップされているが、記者会見部分だけを切り取ったTHE PAGEのものを以下にリンクする。
選択的夫婦別姓制の質問に答えたのは動画の17分15秒すぎから。
1,内閣府の最新世論調査(2021年12月実施)で62.9%が夫婦同姓制度の維持を望んでいる
夫婦別氏の話がございました。で、夫婦別氏制度をイキナリやるのかどうかという話で、さまざま候補者によって違うんだろうと思うんですけれども、私には実績があると思っています。
つまり、内閣府の最新世論調査は、これは令和3年(2021年)12月の調査*1でございましたけれども、「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」と答えられた方が42.2%で最大でした。
で、「今のままの制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」と答えた方が27%、合計62.9%の方は戸籍上の夫婦・親子の同氏、要はファミリーネームが戸籍上はあるということについては、それでいいんじゃないかと思っておられる方々です。*2
で、今年になって民間、これJNNですね、世論調査を今年の夏7月にされておりますが、ここでも「旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべき」が最も多く、47%でございました。
2,過去2回、「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」を自民党に提出
自民党は過去に、婚姻前の氏を結婚してからも使いやすいようにしようということを何度か公約に掲げてきました。
だから、私はまず今、婚姻によって氏が変わることによって不自由を感じておられる方がいるんだったら、その不自由を解消したいなと思いまして、自分で法律案を書きました。
これは「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」というもので、1回目は平成14年(2002年)、2回目は令和2年(2020年)に自民党政調会の法務部会に審査を求めて提出を致しておりますが、まだ党議決定もされておらず、国会にも提出されていません。
3,総務大臣時代、旧姓の通称使用拡大で実績を残した
それで、その法律(案)の内容というのは、国・地方公共団体および公私の団体また企業については、通称使用届を出された方についてですね、婚姻前の氏をちゃんと使えるような環境を整備しなければいけない、この義務を課すものでございます。
こういう法律案を提出すると同時に、総務大臣であった時には、1年間かかりましたけれども、総務省関係、総務省単独でやれるものの手続き、全ての手続き1142件について、旧氏、婚姻前の氏で対応できるように変えました。
それから住民基本台帳法も見ました。マイナンバー法も見ました。
これも総務大臣として1つ残せたことなんですが、今でしたら住民票に戸籍の氏と旧氏、両方が表示されるようになりました。マイナンバーカードも同じです。併記で表示されるようになりました。
その他の役所でも運転免許証ですとかパスポートですとか、それから印鑑登録証明書、こういったものも併記されるようになりました。
あと国家資格も結構な数ございますけれども、今国家資格314のうち旧氏を使えないものはゼロになっております。
4,自分が提出した法案が通れば、(選択的夫婦別姓制を導入しなくても)ほとんどの不便は解消される
ですから、それと同じように例えば都道府県知事が出すような資格もありますので、私が提出したような法律案がしっかりと通れば、ほとんどの不便というのは解消されると思っております。
で、先般、夫婦別氏制度を、選択的夫婦別氏制度を実現するとおっしゃっていた候補予定者の中に、「不動産登記ができないじゃないか」と答えておられた方*3がいたんですが、不動産登記できます。今年の4月から旧氏でできるようになっておりますので。
少し正しく皆様に知識を持ってもらって、できるだけ多くの方が不便を感じない、その第一歩となる法律をまず成立させたいと思います。
そこでまだ残る問題点があるんであれば、そこからまた議論をしなければならないと思っております。