連日、MLB中継に釘付けだ。といっても平日は録画だが……
WSでの大谷翔平選手のホームランを楽しみにしていたのに、第2戦でまさかの左肩の亜脱臼。これには、多くのファン同様、軽症と判明するまでは心がざわついて落ち着かなかった。
医師やスタッフのOKが出て第3戦に出場したが、どう見ても痛そうだった。
NHKBSでやっていたように、スロー再生した映像を見ると、フルスイングしたとき、バットから左手が早く離れていることがわかる。
これではボールを押し込んで遠くへ飛ばせない。とてもじゃないがヤンキースの一流投手陣を仕留めるのは無理である。
ヤ軍の主力ジャッジ選手が、全く打てないとNYのファンやメディアから袋叩きにされているが、大谷もWSは第3戦まででまだ1安打だ。
四球や進塁打で試合に貢献しているけれども、打てていないことに変わりはない。
相手投手の厳しい攻めに翻弄され、何とか切り替えていこうとしていた矢先に起きた今回の負傷。
シーズン59盗塁もして1つの怪我もなかったのに、この大舞台でこんなことが起こるとは本当に信じられない。
一番落ち込んでいるのは大谷選手だろうと思ったのだが、愛読しているSportsnaviの記事を読んで、驚いたのなんの。
大谷がドジャースのチームメイトに「大丈夫だ。試合に出るつもりだ」とメッセージを送っていたことは、あちこちで報じられている。
しかし、Sportsnaviによると、大谷が発したメッセージはそれだけではなかった。なんと彼は、
「前回(2020年)、ドジャースが優勝したときにも、肩を脱臼した選手がいましたよね」
というようなことを言ったという。
その言葉の意味について、Sportsnaviの丹羽政善記者は、感動を抑えられないといった様子で
「大谷は自分の負傷を吉兆と捉え、ポジティブに変換してしまった」
と書いている。
2020年のWSで肩を脱臼したのは現カブスのコディ・ベリンジャー外野手。脱臼しても応急処置だけで全試合に出場し、WSを制覇した後、オフになって手術した。
つまり大谷選手は、自分が肩を亜脱臼したのは4年前の再現で、「だから今回も必ず優勝できる。吉兆だ!」とチームを鼓舞したというのだ。
まるで験担ぎで負傷したとでも言いたげな様子。
意気に感じた選手は少なくなかった。
トミー・エドマンは、「あれを受けとったとき」と言ってから、言葉を継いだ。「みんな、盛り上がった」。
そりゃそうだろう。こんなこと言われて感激しない選手はいない。
まさに開いた口がふさがらないとはこのことだ。下手をすれば夢の大舞台が台無しになりかねず、暗く落ち込んでもおかしくないのに、こんな超ポジティブな思考ができるなんて。
世の中には稀に自分からまばゆいほどの光を放つ人がいる。日本では、今は亡き安倍晋三首相がそうだった。
大谷翔平選手もそういう類いの人だ。日本のみならず全米中を虜にしている理由がよく分かった気がした。
コディ・ベリンジャーのことは以下の記事で読んだ。