ドジャースの劇的勝利に終わったWS第5戦。5回のヤンキースの3つのエラーに驚かなかった人はいないはず。
シーズン失策ゼロのジャッジが何でもないセンターフライを落球するなんて、全能の神でさえ予測できなかったに違いない。
エドマンの打球をもしジャッジがしっかり捕球していたら(1アウト)、次のウィル・スミスのショートゴロでダブルプレーが成立して3アウトになっていた。
仮にスミスが出塁した場合でも、9番ラックス、1番大谷と連続三振だから、ド軍は無得点に終わった。
流れはヤンキースに行ったまま、ドジャース敗北となった可能性が高い。
すると、たとえ左肩の怪我があったとしても、ドジャースファンやLAの記者たちは、一転して打てない大谷を容赦なく非難したのではないだろうか。
WSでMVPに輝いたド軍のフリーマンも、その前のリーグ優勝決定シリーズでは、「足を痛めて打てない、走れない選手をなぜ使うのか。ベンチへ引っ込めろ」とファンから罵倒されていた。
どんなスタープレーヤーも結果が出なければ容赦のない批判にさらされる。
今回、ポストシーズンの試合を見続けて、それがMLBの恐ろしさであり、また凄さでもあると痛感した。
それはまた、誤解を恐れずに言えば、ぬるま湯のような日本プロ野球(NPB)との決定的な違いだとも思った。
NPBの試合終了後は、活躍した選手への称賛のインタビューは行われても、負けたチームの選手や監督への厳しい質問攻めはあまり目にしない。
最近はNPBをたまにしか見ないから、自分が知らないだけかもしれないが……。
WS第5戦を振り返った動画を後からたくさん見た。その中で特に印象が強かったのが、「MLBコアラ」というチャンネルの現地実況動画だ。
ヤ軍の先発コール、ジャッジ、ブーン監督らを、彼らに敬意を払いつつ、鋭く問い詰めるNYの記者たち。それに対し、しどろもどろになりながらも、必死に言葉を探して答えようとする選手や監督。
両者のやり取りは緊迫感に満ちていた。これこそNPBに見られないものだ。
こう言っては悪いが、日本のマスコミの記者のレベルは低い。
たとえば、テレビ東京の朝の経済番組では、英フィナンシャル・タイムズの様々な分野の記者にインタビューして、アメリカ経済や中国経済その他の動向について聞いている。
それを見ながらよく思うのだが、日本のマスコミの記者が、海外メディアからインタビューされて、日本の政治、経済、外交等について海外のテレビ番組で解説することってあるだろうか?
それだけの力量を持った記者は何人いるのだろう? たぶんそんなにいないのでは?
スポーツ記者についても、同じことが言えるような気がする。
スタジオでは言いたいこと言っても、面と向かって選手や監督に辛辣な質問のできる記者はほとんどいないと思うのだが。
以下、「MLBコアラ」の動画より。
- 2分あたりまで~第5戦前の解説
- 8分37秒あたりまで~第5戦直後の解説
- それ以降~ゲリット・コール投手、アンソニー・リゾ一塁手、アーロン・ジャッジ外野手、ブーン監督の記者会見