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東京高裁の不当判決。2審も旧統一教会に過料10万円

おかしな判決が続くものだ。司法の独立はどこへ行ったのか? これでは三権分立など名ばかりで、騒いだもの勝ち、政治・マスコミ・世論を味方に付けたもの勝ちである。司法の日和見主義には開いた口が塞がらない。

mainichi.jp

毎日新聞には、こうある。

教団側は「『法令違反』には民法上の不法行為は含まれない」と主張していたが、高裁決定は「含まれる」と退けた。

その上で、献金被害に遭った元信者らが起こした民事訴訟で、教団側の不法行為を認めた判決が22あり、解散命令請求の要件に該当する疑いが認められると認定。

文科省による質問権の行使は適法だったと結論づけた。

共同通信は次のように報じた。

www.47news.jp

教団側は幹部による刑事事件はなく質問権行使は違法と主張していた。

舘内比佐志裁判長は、22件の民事訴訟の判決で教団の賠償責任が認められたとし「全国各地で長期間にわたり、多数の被害者の財産権や人格権を侵害する違法行為が繰り返された」と指摘し、質問権行使は適法と判断した。

教団の回答拒否には正当な理由がなく、過料を科すべきだと結論付けた。

毎日は「民事訴訟で、教団側の不法行為を認めた判決が22件あり」、共同は「22件の民事訴訟の判決で教団の賠償責任が認められた」と書く。

だが、この22件の事案が起きたのはいつの話なのか? どれも10年~30年以上前の事案ではないか。

教団は2009年にコンプライアンス(法令遵守)宣言を発して改善に努めており、22件の大半がコンプライアンス宣言前のものだ。

2022年7月の安倍元首相暗殺事件が起こるまで(それ以降も)、教団は改善努力を続けてきた。その成果はしっかり現れていた。自称被害申告が激減したことはデータでも裏付けられている。

なのに、大半がコンプライアンス宣言以前の事案である22件の民事判決を理由に、それから10数年も経って質問権を行使することがどうして妥当と言えるのか、自分には全く理解できない。

たとえが適切かどうか分からないが、消費者金融を例にとってみよう。

強引な取り立てや高利貸しを繰り返した消費者金融は、2006年に貸金業規制法が抜本改正され(のち貸金業法に名称変更)、それを機に健全化した。ところが、それから10年以上経って抜本改正前の問題行為をあげつらい、政府が会社の解散を命じたとしたらどうだろうか。

理屈に合わないことは明々白々だ。

それと同じことが、この22件の民事判決についても言える。

22件のうち20件が旧統一教会の使用者責任を、2件が教団自身の責任を認めた。

このうち、教団自身の責任を認めた2件の判決を見ると、訴訟が起こされたのはどちらも2012年である。

事案としてはもっと古い。2件は、1つが2009年までの支出を問題にし、もう1つが2010年までの支出を問題にした。つまり、この2件の裁判は今から14~15年以前までの支出について損害賠償を請求したものである。

判決が確定したのが2016年と17年。

反対派は教団自身の責任を認めた画期的判決と言っているが、当時のマスコミではベタ記事扱いだった。しかも、岸田内閣が質問権を行使する5~6年も前の出来事だ。

20件の使用者責任を認めた裁判は、さらに古い事案ばかりである。いずれも裁判で判決が確定し、賠償も終わっている。

全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)が計28件の民事判決の概要を公開しているが、これを見ても大半がコンプライアンス宣言以前の事案だと分かる。

www.stopreikan.com

ある程度、事案の時期が分かる記述を拾うと、

  • 平成7年から21年(2009年)までの148項目の被害主張
  • 昭和58年から平成19年(2007年)まで24年間
  • 2000年4月高齢の資産家の養母が心臓手術の為に入院中……2007年3月提訴。
  • 2007年1月提訴
  • 2003年から2005年の間、五輪塔、天運石、聖本及び高麗人参濃縮茶等の代金や献金名下の被害を受けた。
  • 平成16年(2004年)3月5日、6000万円の分割払いで和解成立。
  • 平成14年(2002年)7月、大阪高裁で1億9800万円を支払う内容の和解が成立。

といった具合だ。

確かに、2009年のコンプライアンス宣言前、あるいは同時期に政府が質問権を行使していたら、教団側も反対しにくかっただろう。

しかし、10数年の改革期を経た今になって「質問権の行使だ」「解散命令請求だ」と言われても、納得できるはずがないのである。

教団側は「特別抗告も含め検討する」とのコメントを出した。たとえ勝ち目はなくても、おかしいものはおかしいと言うしかないだろう。