吊りしのぶ

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旧統一教会が光文社に送った抗議文。「霊感商法に関する公式見解」とは?

朝日新聞阪神支局襲撃事件(赤報隊事件)の犯人が旧統一教会メンバーだと信じているらしい元朝日新聞記者、樋田毅氏の書いた『旧統一教会 大江益夫・元広報部長懺悔録』(光文社)が発売になったのが8月20日。

旧統一教会は、この本の中身が独り歩きすることを恐れたのか、7月31日付けで光文社に出版差し止めを要求する抗議文を送り、8月9日にその旨を公表。

さらに8月19日、ウェブ上に大江益夫氏への人格攻撃的な内容を含む反論文を載せ、同21日、教団広報が「プレスリリース」を出した。

このプレスリリースには書いてないが、アマゾンを検索したところ、教団側の反論がKindle版で販売されていることを知った。*1

アマゾンでの発売日は8月22日。

対応が早い割に、プレスリリースが「Amazon Kindle版で22日から発売されます」となぜ記さなかったのかとても不思議。

自分はたまたま気が付いたが、プレスリリースだけ読んで済ませていたら見落とすところだった。

教団側がこの反論文を本当に多くの人に読んでほしいと思っているのか、疑問に感じてしまった。

多くの人に読んでほしいなら、プレスリリースで告知すべきだろう。Kindle版の発行元は教団系出版社の光言社。しかし、同社のオンラインショップを見ても載っていない。本当に不思議だ。

Kindle版は、教団がウェブサイトにアップした反論文とタイトルが同じなので、内容も同じかほぼ同じだと思われる。

その中に次のようなくだりがある。

大江氏は、いわゆる「霊感商法」について「脅して諭す商法」(79ページ)、「客観的に見れば、〝騙す〟という要素も含まれていた」(同)などと述べています。

1980年代のいわゆる「霊感商法」と言われた一部の信者の活動に対する統一教会の公式見解は、統一教会の機関紙「中和新聞」(1996年12月15日付)掲載の「『霊感商法』問題に関する統一教会の見解」に記されており、そこにはF氏が「初めてインタビューに登場し……同氏は販売のための組織をつくり、自ら指揮していたと……販売行為に対する当法人(統一教会)の関与を一切否定しています」(10面)とあります。

当時の広報部長は大江氏であり、「中和新聞」掲載の公式見解の発表に当然、大江氏も関わっていました。

また、この「公式見解」は、同年8月16 日付で世界日報社が出版した『「霊感商法」の真相』という書籍の内容を踏まえたものでした。同書には、販売当事者らの証言や、壺、多宝塔などを購入して感謝している顧客等の声も掲載されています。

ここを読んで自分が気になったのは、「『霊感商法』問題に関する統一教会の見解」である。

これは一体何だろうか? Googleで検索しても容易にヒットしない。教団のウェブサイトを探したがやはり見当たらない。

公式見解と言いながら公開していないのはなぜ?

機関紙「中和新聞」(1996年12月15日付)に掲載したそうだが、この新聞は国会図書館に入っておらず、巷の図書館にもないので読む方法がない。

公式見解のことは光文社への抗議文(通知書)にも出てくるが、通知書を受け取った光文社も「公式見解って何だ? そんなものがあるなら全文を読ませてくれ」と思ったのではないか?

旧統一教会が光文社に宛てた抗議文より

気になるので、「霊感商法に関する統一教会の公式見解」がどこかにないか探してみた。その結果、足利教会のウェブサイトに掲載されていることが分かった。

ashikaga-home-church.jimdofree.com

足利教会ウェブサイトからダウンロードした「霊感商法に関する旧統一教会の見解」

同サイトには「公式見解」の全文がテキスト公開されており、機関紙「中和新聞」1996年12月15日号のPDFファイル(該当ページのみ)もダウンロードできる。

支部教会が公開しているのだから旧統一教会(現家庭連合)もきちんと教団ウェブで公開すべきだ。そうすればこんなに苦労して探さないで済む。

教団は「公式見解」に基づいて自分たちの主張を展開しているわけで、リンクを張って誰でも読めるようにするくらいの心遣いがあってよいと思う。

読んでみて、その是非はともかく、教団の考え方がよく分かった。

旧統一教会は「法人としての統一教会は霊感商法をやっていない」という主張を、公式には1996年12月、つまり今から約30年近く前から続けてきたわけだ。

教団機関紙に載ったこの「公式見解」がその証拠だと言える。

なお、上記ウェブのテキストには一部誤記がある。「二、「霊感商法」の真相」の中ほど。

  • 連絡協議会に所属するお託売員たち(誤)
  • 連絡協議会に所属する委託販売員たち(正)

正確な情報を得るには、PDFファイルを読んだ方がよさそうだ。

*1:紙版は9月4日発売。