吊りしのぶ

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最高裁「念書無効」判決に、通り一遍の見解を出して終わりの旧統一教会。もはや戦意喪失か?

一審、二審を破棄しての最高裁「念書無効」判決

去る7月11日、旧統一教会(家庭連合)に関連して、公証役場で作成した「献金の返金や賠償を求めない」(=不起訴合意)とする念書を無効とする最高裁判決が出た。

一審、二審は念書を有効としていただけに、これがひっくり返ったことには驚かされた。

www.47news.jp

上は左翼の共同通信が配信した記事だが、もっと驚いたのは、これを受けて地方紙の多くが社説でこの判決を取り上げ、最高裁の判断を画期的だと大きく報じたことだ。

たとえば福島民友の社説は次の通り。

www.minyu-net.com

そんなバカなとしか言いようがない。

最高裁判決の異常さについては、旧統一教会が公式見解を出して指摘している。

ただ、はっきり言って、これを読んでもよくわからないことがある。特に法律に疎い人は、声明の冒頭にある「不起訴合意」という言葉で、「なんのこっちゃ」とさじを投げてしまうかもしれない。

そうでなくても、なんだか分かったような分からないような隔靴掻痒の感が残るのだ。

自分がよくわからないのは、福島民友の社説にある次の文章。

念書の作成は女性が脱会の意思を示した後に行われた。文案を作った教団の信者らは公証役場に同行し、女性の意思を確認する様子もビデオ撮影していた。

一方、最高裁判決にこう書かれている(旧統一教会の見解より)。

信者Aは、家庭連合の心理的な影響の下にあった。家庭連合からの提案の利害損失を踏まえてその当否を冷静に判断することが困難な状況にあった。

しかし、女性は脱会の意思を示したわけだから、その時点でもう家庭連合の心理的な影響から相当程度離脱していたと考えなければおかしい。

長年にわたって高額献金を続け、教団に奉仕してきたのに「脱会したい」と口にしたのであれば、よくよく考えてのことに違いない。

そういう人が「家庭連合からの提案の利害損失を踏まえてその当否を冷静に判断することが困難な状況にあった」とは考えにくいのである。

果たして女性の「脱会の意思」はどの程度のものだったのか? このあたり、もう少し情報がほしいところだ。

世論に訴えかけることもせず、顔が見えない旧統一教会の広報

拙ブログでは何度も書いてきたが、旧統一教会は広報のやり方がへたくそだ。本当に世論を味方に付けようと思っているのか極めて疑わしい。

新聞の社説が取り上げるような重大判決、しかも普通ならありえないような判決なのに、通り一遍の公式見解を出して終わりとは信じがたい。

最高裁判決の異常さを世に知らしめるためにあらゆる手段を使って国民に訴えるべきではないか。

たとえば広報動画を作るなんてのは、初歩の初歩だ。不思議なことに、旧統一教会の広報担当者は今日に至るまで全く表に出てこない。

組織の長を代理してマスコミや国民に説明するのが広報担当の役目だが、この教団に広報担当はいるんだろうか?

これまでの経緯を見ると、マスコミ対応はしているようだが、、、

勅使河原氏は確か改革推進本部長だったはず。では、広報部長(局長?)は誰なんでしょう? 

「顔の見えない広報担当」なんて、ひどい形容矛盾である。

元広報部長の大江益夫という人物の懺悔録が近々、光文社から刊行されるそうで、教団側は光文社に出版差し止め要求の通知書を送ったという。

なんとアマゾンで「ベストセラー」マークが付いている!

してみると、旧統一教会に広報担当の責任者がいることは間違いないようだ。ならばなぜ記者会見を開いて堂々と最高裁判決を批判しないのだろうか?

最高裁判決を画期的とマスコミは報じているが、これこれこういう理由でこの判決にはおかしいところが沢山あると誰にでもわかるように説明したら、「なるほど」と思う国民や識者は必ず出てくるはずだ。

何より国民的な議論を巻き起こすことができる。

文字で書かれた声明だけでは、とてもそんな効果は期待できない。

記者会見を開けば揚げ足取りや意表を突いた質問などで不利になるかもしれないが、どんな組織でも、それをクリアするだけの技量を持った者が広報担当の役職に就く。

悲しいかな、それだけの力量のある担当者はいないのかもしれない。

それならそれで動画で広報をやればいい。この問題に限らず、何か話題になることが起きたらその都度、広報動画を作って公表し、文字による説明と併せて世論に訴えたり、反論したり、解説したりするのだ。

その都度やらなくても、定期的に週1回やるのでもいい。

動画ならば記者から揚げ足取りを受けることもなく楽勝のはず。それさえやらないのは本当に理解できない。

いや、旧統一教会はツイッター(X)もやっていないから、これもまた信じがたい話で、お話にならない。

今どきは、雑誌も活字に加えて動画で解説するのがはやりで、「月刊正論」も「Hanada」も「WiLL」も動画チャンネルを持っている。テレビ局もオンエアを補強する解説動画づくりに熱心だ(たとえばテレ東)。

活字も読まずテレビも見ない人が増えたため、どこも読者や視聴者を開拓しようと必死なのである。

それだというのに、、、ツイッター(X)もやらないとは!

中山達樹弁護士のブログで知ったが、教団2世向けのyou tubeチャンネルでは、教団法務局の人が最高裁判決について解説していた。


www.youtube.com

これはこれで有益だけれども、相手にすべきは2世にとどまらず、日本国民全体のはずだ。内輪でやるのもいいが、教団広報は全国民に向けてこの種の動画を作って訴えるべきだろう。

判決が出てからもう1カ月以上経つ。記者会見は開かれず、シンポジウムをやるでもなし、反論や解説の冊子を作るでもなし、広報動画もいつまで経っても出てこない。

判決を批判する一般の有識者も宗教家もほとんどいない(自分の知る範囲では1人もいない)。

最高裁は明らかに世論を意識している。世論を変えない限り、少なくとも「こんな判決はおかしい」という声があちこちから上がるくらいにならない限り、この先もまず教団側に勝ち目はないと思う。