- 「親族からの虐待経験89%」。共同通信が7月6日に配信したフェイクニュース
- 地方紙が宗教ヘイト記事を全国津々浦々に拡散
- 立民、共産党など野党支持者に「自民党政治をどう思うか?」と聞くようなもの
- 「2世に生まれてよかった」75%をガン無視した共同通信
「親族からの虐待経験89%」。共同通信が7月6日に配信したフェイクニュース
共同通信が7月6日に配信した、同社が実施した「宗教2世アンケート」の結果を報じた記事は狂気の沙汰と言えるほどひどいものだった。
いたずらに宗教ヘイトを煽るもので、宗教に対する差別意識丸出し。
差別意識を自覚しない差別主義者ほど社会にとって危険な存在はない。さすが「桜ういろう」問題を引き起こした通信社だ。
見出しからしてセンセーショナルだが、記事を読んで啞然としたのは、アンケートの回答者数がたったの120人だったこと。記事には、
「エホバの証人、旧統一教会、創価学会、オウム真理教などの信者を親族とする10代~60代の120人」
とある。
さらに、その120人を引っ張ってきたのが「2世支援を行う団体」だというから、こんなのはマッチポンプ以外の何ものでもない。
「2世支援を行う団体」と関わりがあるのは、各教団を脱会したか、脱会を考えているか、いずれにせよ、その教団を批判的に見ている2世だろう。
そんな偏ったサンプルを使って、サンプル数も極端に少ないのに、「親族からの虐待経験89%」というおよそあり得ない数値を、さも事実かのように得意げに見出しに掲げている。
正常な感覚を持ったマスコミ人なら、こんな信憑性のかけらもない調査結果など、選択の余地なくボツにするだろう。
ところが、、、
共同通信はこれを大真面目に配信し、Xで広く告知したのである。
地方紙が宗教ヘイト記事を全国津々浦々に拡散
結果、共同通信同様に非常識かつ破廉恥な地方新聞社がこれを大真面目に報道した。全く馬鹿げている。
検索したところ地方紙のウェブ記事が次々にヒットした。確認できた地方紙は以下の通り。実際にはもっと多いかもしれない。
共同のほとんどフェイクとも言える宗教ヘイト記事が、地方紙を通じて全国津々浦々にばらまかれたのだ。
- 中日新聞
- 東京新聞
- 北海道新聞
- 京都新聞
- 岩手日報
- 秋田魁日報
- 河北新報
- 東奥日報
- 信濃毎日新聞
- 静岡新聞
- 神戸新聞
- 中国新聞
- 西日本新聞
- 愛媛新聞
- 四国新聞
- 熊本日日新聞
- 佐賀新聞
- 宮崎日日新聞
- 山陽新聞
- 沖縄タイムス
- 琉球新報
立民、共産党など野党支持者に「自民党政治をどう思うか?」と聞くようなもの
宗教2世に虐待経験がどれくらいあるかを見たいなら、サンプルには親の信仰に肯定的意見を持つ人たちも加えなければアンフェアである。
支援団体とつながりを持つ人たち、つまり最初から親の信仰をネガティブに捉え、親や教団を非難したり呪ったりしている人たちだけ調査して、宗教2世のありのままの実態が分かるだろうか? 分かるはずがない。
いってみれば、野党(立憲民主党や日本共産党、れいわ新選組など)の支持者だけ集めて「自民党政治についてどう思いますか?」と聞くようなものだ。
120人の野党支持者をサンプルにとって上記の質問をしたら、「自民党のせいで日本国民は塗炭の苦しみにあえいでいる」という回答が95%を超えるかもしれない。
自民党支持と答える人は、たぶんゼロだ。
しかし、この結果をもって「自民党支持率ついにゼロ%に」と報じたら、さすがに「何をバカなことを」と一蹴されるだろう。
共同通信の「宗教2世アンケート調査」はこれを同じことをやったわけだが、ほとんど全ての地方紙がこれを一蹴することもなく、嬉々として紙面に載せた。
それほど日本のマスコミは宗教ヘイトに無自覚であり、「差別はいけない」と言いながら平気で差別を行うのである。
共同通信は、親の信仰に肯定的な意見を持つ人たちを意図的に外してアンケート調査を行った。
そのことは、SNSを探せば肯定的な2世は大勢見つかるし、肯定的な2世の団体や組織もあるのに、彼らにアプローチしなかったことでも明らかだ。
旧統一教会について言えば、「信者の人権を守る二世の会」があり、同会主催のシンポジウムはマスコミもたびたび取材しているのに、なぜ共同は同会にアンケート調査への協力を依頼しなかったのか?
「2世に生まれてよかった」75%をガン無視した共同通信
ちなみに、2022年に旧統一教会本部が信者2世のアンケート調査を行ったことがある。
これについては、弁護士ドットコムが興味津々といった面持ちで記事にしていた。
後日の教団本部の発表によると、「家庭連合の二世として生まれてよかったと思うか?」の問いに、
- 心から良かったと思う……44.3%
- 良かったと思う……30.6%
で、約75%の2世が肯定的な回答を寄せた。
アンケートのサンプル数は、以前どこかで目にした記事では、確か1,000か2,000あったと思うのだが、今教団のウェブサイトを探しても確認できなかった。
1,000人にしろ2,000人にしろ、共同の120人より圧倒的に多い。
ただし、今の教団ウェブにはごく簡単な回答結果しか載っておらず、サンプル数についての説明はない。
他の教団はどうか。
創価学会は創価大学という教育機関を持っている。そこには学会の2世や3世が大勢通っているはずだから、彼らに調査への協力を依頼すれば、やり方によっては相当客観性の高い結果が得られるはずだ。
だが、共同通信は誰でも考えつくこのアイデアを採用しなかった。共同はなぜ彼らを調査対象にしなかったのか?
そもそも創価学会は何百万もの信者がいる巨大教団である。120人のサンプルの中に学会員2世がどのくらいいるのか知らないが、仮に4分の1として30人。たったの30人で学会2世の家庭事情の何が分かると言うのだろう。
というわけで、共同通信が報じた「親族からの虐待経験89%」という記事には一片の真実もない。この結論に反対する人はいないと思う。