- 1,「旧統一教会と政治」を特集したNHKクローズアップ現代
- 2,高市早苗氏は、20年前に一度だけ政治評論家の大御所・細川隆一郎氏との対談で「世界日報」に登場。それの何が問題なのか?
- 3,NHK大幹部で放送総局特別主幹の磯村尚徳氏が、1990年の統一教会系国際イベント「世界言論人会議モスクワ大会」に参加、スピーカーを務めたことは一切触れずじまい
- 4,統一教会系国際イベントにはNHK解説委員・高橋祥起氏も参加
- 5,立憲民主党の幹事長で元外相の岡田克也氏は「世界日報」に3回も登場。初回は1992年
- 6,旧統一教会と「濃い関係」を持っていたNHK。自らの過去を棚に上げて統一教会を叩きまくる破廉恥放送局
1,「旧統一教会と政治」を特集したNHKクローズアップ現代
NHKが2週続けて旧統一教会問題を取り上げた。8月29日は「旧統一教会と政治 見過ごされてきた関係」、9月5日は「旧統一教会の他にも “宗教2世”たちの知られざる苦悩」。
「旧統一教会と政治」を見て感じた素朴な疑問を、簡単に書いておく。
番組は桑子アナの次のような問題提起から始まった。
世界平和統一家庭連合、旧統一教会側と政治の関わり。今月発足した第2次岸田改造内閣の大臣、副大臣など政務三役からは32人に上っています。
そして各党も関連団体のイベントに出席したり、祝電を送ったりするなどの「接点」が相次いで明らかになっています。
今問題視されているのは、高額な献金や霊感商法など問題が指摘されている教会側に政治家が関わり、その関係が長年にわたって不透明なままにされてきたことです。
そして、政府関係では、旧統一教会との「接点」が明らかになった国会議員8人の氏名を写真入りで紹介した。
2,高市早苗氏は、20年前に一度だけ政治評論家の大御所・細川隆一郎氏との対談で「世界日報」に登場。それの何が問題なのか?
政府関係8人の中には、20年前に一度だけ統一教会系の「世界日報」で評論家・細川隆一郎氏と対談したにすぎない高市早苗氏の名前もある。
「ビューポイント」という雑誌に載ったと報道するメディアを見たが、いい加減な報道だ。
「ビューポイント」は「世界日報」に載った主な記事を月刊誌の形態にまとめ直したもの。「ビューポイント」に載ったということは、その前に「世界日報」紙上で対談をしているはずだ。
故・細川隆一郎氏といえば有名な政治評論家である。
テレビにもよく出ていたし、肩こり用の家庭用高周波治療器「パナコラン」(パナソニック)のCMは大ヒットした。
クローズアップ現代は番組冒頭で、この細川隆一郎氏と「世界日報」で対談した高市早苗氏を、「旧統一教会と関係のある閣僚の1人」として紹介していた。
ご本人は、細川隆一郎氏からのお誘いだったので媒体のことはよく調べなかった、と言っている。
3,NHK大幹部で放送総局特別主幹の磯村尚徳氏が、1990年の統一教会系国際イベント「世界言論人会議モスクワ大会」に参加、スピーカーを務めたことは一切触れずじまい
旧統一教会の関連団体とは知らずに、高名な政治評論家に誘われたから出ただけなのに、それでもマスコミは悪者扱いし、クローズアップ現代も同じスタンスで取り上げた。
おかしな話だ。
しかし、それならば、NHKの大幹部(当時)が、統一教会関連団体の大々的な国際イベントに、しかも教祖の文鮮明氏が登場すると知りながらソ連の首都モスクワまで出かけて行き、さらに分科会でスピーカーまで務めたことをどう考えればいいのか?
国会議員は統一教会の関連団体に関わってはいけないが、マスコミ人は関わってもよいのだろうか?
いうまでもなくNHKは国民からの受信料収入という事実上の税金で運営している報道機関だ。
自分たちが「政治家は接点をもつことすら許されない」と批判するならば、NHKも「接点」を持ってはいけないだろう。
もちろん、NHKが今回のクローズアップ現代でそうしたように、旧統一教会の問題行動を明らかにするために取材で接触するのは構わない。
しかし、1990年3月~4月、モスクワで開催された第11回世界言論人会議に現役のNHK大幹部が参加したことは、取材の範疇を大きく逸脱している。
4,統一教会系国際イベントにはNHK解説委員・高橋祥起氏も参加
取材なら政治部や社会部の記者を行かせればいいではないか。幹部が行く必要はないはずだ。
ところが、実際に行ったのは、NHK放送総局特別主幹の肩書を持つ磯村尚徳氏(名ニュースキャスターとして超有名。都知事選にも出た人物)とNHK解説委員の高橋祥起氏だった。
2人ともNHK幹部と言っていい。
特に磯村尚徳氏は、第1分科会でスピーカーまで務めたのだから、これはもう取材ではない。れっきとしたイベント参加者の1人である。
この国際的大イベントは、世界言論人協会とソ連のノーボスチ通信社の共催によるもの。海外から大勢のマスコミ関係者、学者、元国家首脳クラスの政治家が参加した。
世界言論人協会は、全国霊感商法対策弁護士連絡会の「統一教会関連団体リスト」に載っている統一教会系団体。
イベントで基調講演を行ったのは文鮮明教祖、イベントの目玉は文鮮明・韓鶴子教祖夫妻とゴルバチョフ大統領の会見である。
統一教会がこの「成果」を大々的に宣伝したことはよく知られている。
勝共の闘士だった文鮮明氏が、これまで敵対関係にあった社会主義の祖国、ソ連の心臓部に乗り込んで、まだ社会主義を捨てたかどうかはっきりしないゴルバチョフと握手したのだ。
「ゴルバチョフも一目置く文鮮明!」
統一教会なかなかやるなあ、という評価になるのは自然な成り行きだ。
しかし、当時は「霊感商法=統一教会」批判が火の如く燃えさかっていた頃だ。「朝日ジャーナル」が1980年代後半、大々的な特集をして一気に社会問題になった。
NHK幹部がモスクワの国際イベントに参加したのは、そんな時期である。
5,立憲民主党の幹事長で元外相の岡田克也氏は「世界日報」に3回も登場。初回は1992年
元外務大臣の岡田克也氏は、「世界日報」に3回登場したことで批判を浴びたが、その最初は1992年。第11回言論人会議は1990年だからわずか2年の違いである。
岡田克也元外相は旧統一教会系の弱小メディアにインタビューや対談で出たに過ぎない。
しかし先のNHK幹部2人は、教祖肝いりの国際イベント、教祖夫妻とゴルバチョフ大統領との会見までセッティングされた宣伝効果抜群の一大セレモニーに、取材陣としてではなく、参加メンバーとして加わっていた。
6,旧統一教会と「濃い関係」を持っていたNHK。自らの過去を棚に上げて統一教会を叩きまくる破廉恥放送局
最近、紀藤正樹弁護士らは、統一教会との「接点」の悪質度は、その濃淡で区別すべきと言い出している。
その観点で見て、NHKの行為は濃なのか淡なのかと言えば、濃だったのは明白だろう。
NHKは明らかに過去、統一教会と濃い関係を結んだのだ。
そのNHKが自らの過去に頬被りをして、どの面さげて高市早苗氏や岡田克也氏はじめ、「世界日報」に出たとか、関連団体に祝電を送ったとか、その程度の「淡」の部類の政治家らを批判できるのか?
いや、宣伝効果抜群で、おそらくは統一教会の歴史の中でも特筆される国際的大イベントにスピーカーを送り込んだという事実から考えて、NHK幹部2人の悪質度は、UPFのイベントにメッセージ動画を送った安倍元首相の比ではない。
安倍氏が動画出演したUPFのイベントは、それ自体ニュース性のあるものではなかった。出席者は、トランプ氏にせよペンス氏にせよ過去の人物ばかりだった。
しかし、NHK幹部が出席したのは、共催したソ連側のホストが西側世界で人気急騰中だったソ連大統領ゴルバチョフ氏という話題性たっぷりの会議だったのだ。
NHKは国会議員や旧統一教会を批判する前に、知っていながら知らんぷりしているこうした自らの過去を自ら公にすべきだ。
もう30年も前の出来事だから、今の20代~40代のNHK職員・記者も知らないかもしれない。それをいいことに「なかったこと」にするつもりなら許されるものではない。
そんな無責任な態度では、旧統一教会を批判する一片の正当性もないと知るべきだ。
- なぜ超有名人だった磯村尚徳氏、高橋祥起編集委員が統一教会との関わりを知った上でイベントに参加したのか?
- 磯村氏は参加するだけでなく、スピーカーまで務めたのはなぜか?
- 大問題になっていた「霊感商法」被害者のことを考えなかったのか?
- 磯村氏らの名前を統一教会側が広告塔として使い、それによって「霊感商法」の新たな被害者が生まれたのではないか?
- NHKはそのことに対する責任をどう考えるのか?
旧統一教会批判の報道を始めたからには、まずはこれらの疑問にきちんと答える義務がある。
もしかしたら過去にも共産党あたりに追及されて、何らかの弁明をしたのかもしれないが、そんなことは今、誰も知らないのだから、進んで事実を公にして国民に釈明すべきである。
【参考】