吊りしのぶ

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旧統一教会の養子縁組を「子どもの福祉に反する」と非難する棚村政行教授に聞きたい。第三者の精子提供による妊娠・出産は問題ないのか?

「人身売買」を持ち出す棚村政行教授の悪魔的な誹謗中傷

旧統一教会の養子縁組を「人身売買に類する行為」「子どもの福祉に反する」と非難する早稲田大学の棚村政行教授に聞きたい。

1,金銭授受が発生していないのになぜ「人身売買」を持ち出し、あたかも信者がカネ目当てで養子縁組をしているように言うのか? 旧統一教会を貶めるための印象操作と思わないのか?

2,旧統一教会という宗教団体、宗教共同体内部で行われる養子縁組と、世俗社会で全く無関係な者同士の間で行われる養子縁組を、同一のものとして論じるのはおかしいと思わないのか?

TBS22年12月8日放送の記録(web)より

棚村政行教授はTBSの番組(news23)で、

「養子をとりたい人と養子に出したい親御さんの間を取り持つ行為がまさにあっせん。報告書・申請書みたいなものを出されているようですから、まさにあっせんと言えると思う」

と述べている。

newsdig.tbs.co.jp

しかし、宗教共同体内のことなのだから、自分たちの家庭の状況を共同体を統括する組織(それが教団本部なのか各家庭の所属する支部なのかは分からないが)に知らせておくのはごく自然なこと。

「申請書」「報告書」をあっせんと決めつけるのは、宗教を知らない者の勝手な言い分だ。

教団側が全く知らないところで、信者家庭同士が養子縁組を進めたりすれば、その方がよほど問題だろう。

養子縁組の当事者を顧みない棚村政行教授の一方的な決めつけと暴言

養子縁組には当然、一定のリスクがある。信者家庭同士では妊娠前から養子縁組の約束をするそうだ。

  • 生まれた子供に障害があったらどうするのか。その場合でも責任を持って引き取り育てられるのか?
  • 一方(A)は熱心な信者家庭だが、他方(B)はそうでもない家庭という場合、両家の仲は良くても、将来B家庭は教団を脱会するかもしれない。そうなれば、子供は養父母と肉親との不和、対立のはざまに置かれる可能性があり、苦しむことになりかねない。
  • 信者家庭がヒューマニズム精神から、非信者の世俗家庭と養子縁組しようと考えることもあり得る。このようなケースを教団側は是とするのか、非とするのか。是とするなら、教団としては、その際に生じるリスクについて知らせておこうと考えるのではないか。非とするなら、そのような養子縁組はやめた方がいいと諭すのではないか。

トラブルを極力最小化するために、教団側は、養子縁組を望む家庭に対しては、起こり得るリスクに対して注意喚起し、慎重の上にも慎重を期すようアドバイスしているものと思われる。

アドバイスは、養子縁組を希望する家庭がその旨を知らせてくれなければできないことだ。その手続きが申請書であるとしたら、それのどこがあっせんなのか。どこに問題があるのか?

そもそも宗教団体というものは、それ自体が1つの家族のようなものだ。砂粒のような個人の集合体でもなければ、見ず知らずの個人・家庭から成る無機的な社会とも違う。

両者を同じものと考えて批判するのは、宗教音痴も甚だしく、そんな人間はそもそもこの問題に口を挟む権利すらない。

宗教の実態を知らずに、一方的に世俗の論理で物事を判断するのは、信教の自由を尊重しない、いや宗教団体を世俗の組織と同一視する反宗教的な態度なのである。

日本共産党系の民医連加盟病院ですらエホバの証人の輸血拒否に対応している

事実、エホバの証人(宗教法人「ものみの塔聖書冊子協会」)の宗教上の理由による輸血拒否は、今日、日本共産党系の民医連加盟病院ですら、容認している。

kyoto-min-iren-c-hp.jp

(1)「エホバの証人」を信仰する患者からの宗教的理由による輸血拒否がある場合には、患者の自己決定権を優先して尊重することとし、下記に定めるルールに従って、治療を行う。

(2)このガイドラインは、「エホバの証人」の信者である可能性がある場合に適用する。「エホバの証人」の信者でないことが明らかな場合には、必要に応じて輸血を行う。

(3)無輸血で治療を行うことが患者の生命に危険を生じさせることが確実な場合であっても、患者が宗教上の理由により輸血を望まない場合には、「無輸血説明同意書」に署名を求め、輸血を行わない。

輸血をしなければ、患者は死ぬかもしれない。エホバの証人は、それでもいいと言って輸血を拒否する。異端だろうが何だろうが、当人たちが断乎としてそれを望む以上、第三者が口をはさむ余地はない。

輸血拒否は患者の命を死の危険にさらす行為だ。それでもわが国の医療現場は、当人の自己決定権を尊重し、あの日本共産党系の病院ですら、エホバの証人の信教の自由を尊重して対応している。

「輸血拒否」が極めて特異な教義であることは、大方の認めるところだろう。

だが、その特異な教義を否定しないで「あなたがそれを信じるならそれを尊重しよう」という態度を取ることが、憲法が保障する「信教の自由」に合致した振る舞いなのだ。

第三者の精子提供による妊娠・出産の方がよほど「子どもの福祉」に反する

3,棚村政行教授は「子どもの福祉に反する」と言うが、ならば第三者(精子バンクを含む)の精子提供による妊娠・出産についてはどう考えるのか?

通常の夫婦にしろ同性愛者(レズビアン)のカップルにしろ、第三者の精子提供によって子どもを育てた場合、その子は将来、自分の実の父親が単なる精子提供者に過ぎなかったと知ることになる。

子供は「カップルの愛の結晶として生まれたのではない」という事実に一生苦しむ可能性がある。これは子どもの福祉に反しないのか?

また、もし第三者の精子提供にからんで金銭授受があるとするならば、これこそ「人身売買に類する行為」ではないか。

棚村教授は先のTBSの番組で、

「今の養子縁組や民法は、お子さんが生まれて何らかの事情があり、その家庭で育てられない、幸せにできないという場合に幸せになるための手段。

妊娠・出産前に決めてしまうというのは、子どもの福祉に反する。

信者に限ってるということは、団体の結束や大人の都合を優先して、子どものことを本気で考えていないんじゃないかというところが一番大きな問題」

と述べた。

「今の養子縁組や民法は、お子さんが生まれて何らかの事情があり、その家庭で育てられない、幸せにできないという場合に幸せになるための手段」とあるが、ウソをつかないでもらいたい。

自分の知り合いには、大の大人になってから夫婦養子になったカップルがいますけどね。あれは養子縁組じゃないんですかね。

「子どものことを本気で考えていない」という決めつけも、宗教を知らない棚村教授の偏見と先入観からくるものだ。

福田ますみさんのルポにある、小川さゆりさんのご両親の説明、実際にやってきたことを見て、なおそう思うのなら救いがたい。

「出産は親のエゴ」と言う芥川賞作家・川上未映子氏の発言をクローズアップしたNHK

だいたい「大人の都合を優先して」と言うが、2021914日のNHKクローズアップ現代が「それでも子どもをもちたい 広がるSNS精子提供」という番組を放映したとき、

芥川賞作家の川上未映子さんは、

すごく特殊な場合を除いて、出産というのはほぼ親のエゴだと思うんですよ。親の事情というか、思い。親の都合で子どもが登場させられると。

と語っていた。

www.nhk.or.jp

棚村教授は旧統一教会の養子縁組を「大人の都合を優先して」と批判した。しかし、川上未映子さんは、出産そのものがほぼ全て「親のエゴ」だと言い切っている。

だから第三者の精子提供による出産も(親のエゴという点では同じだから)肯定すべきというのだ。

そしてNHKは「多様化する家族の“いま”」と称し、日本社会はこの現実を受け入れ、遅れている制度の整備を急ぐべきと示唆していた。

「大人の都合を優先した」精子提供や「出産は親のエゴ」と言い切るNHKクローズアップ現代は批判しない棚村政行教授のご都合主義

旧統一教会の養子縁組を批判する棚村教授は、当然、「親のエゴ」を優先した第三者の精子提供による妊娠・出産も批判しなければおかしいが、クローズアップ現代放映時、批判の声を上げたのだろうか? 

あるいはこの番組とは関係なく、棚村教授は精子バンクやSNSを通じた第三者の精子提供による妊娠・出産についても、「子どもの福祉に反する」「大人の都合を優先して」と厳しく批判したのだろうか?

本来、棚村教授は、こういったケースについて、旧統一教会を批判した何倍、何十倍もボルテージを上げて批判しなければ筋が通らない。

なぜなら、旧統一教会の養子縁組においては、生まれた子どもは自らの出自を明確に知ることができる。交流もできる。自分が夫婦の愛の結晶として生まれたことに疑問を抱く必要はない。

しかし、第三者の精子提供によって生まれた子どもは、自らの出自すら分からない可能性があるからだ。

分かったとしても、実の父親は精子をモノのように提供したか、何の愛情関係もないのに実際に女性と性交して提供したか、そのいずれかだろう。

子どもが自らのアイデンティティー喪失に苦しむのは、ほとんど必然的と言ってもいいほどだ。

自分の勘違いかもしれないが、寡聞にして棚村政行教授が、精子バンクやSNSを通じた第三者の精子提供による妊娠・出産を、旧統一教会批判の何倍ものトーンで厳しく批判し続けてきたとは聞いていない。

それは一体なぜなのか、理由を聞かせていただきたいものだ。

なお、SNSによる精子提供の危険性については、だいぶ前に一度書いた。

tsurishinobu.hatenablog.com